水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

舞台「アルキメデスの大戦」①

2022-10-29 | 鈴木拡樹

先週は忙しい1週間でした

クリエで「アルキメデスの大戦」を観て、東京国立博物館の国宝展を見に行って、

週末はDCで再び「アルキメデスの大戦」を観ました。幸せな1週間でした

舞台が止まることなく上演されることの有難さそれが普通であってほしいです。

 

戦争物なので重厚感、緊張感がありましたが、笑いどころも結構あって楽しかったです。

がっつり会話劇で、マイク無しだったことには驚きましたけど、

何の問題も無かったのにもビックリでした

DCは一回り大きいのでどうなるかなと思いましたが大丈夫でしたね。

映画と舞台のネタバレありますよ。

無駄に長いのでお暇な方だけどうぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーは映画と大体同じですが、カットされていたり変更になっていたところはありました。

一番違っていたのは終わり方ですかね。

映画では山本提督が乗艦する大和が出航していくのを見送る櫂少佐が、静かに涙を流しているところで終わっていました。

映画も舞台も巨大戦艦建造阻止をストーリーの中心にすることで、一つの作品として上手くまとめているのですが、

舞台ではその後が描かれ、メッセージ性が強くなっていました。

 

原作漫画は未読ですが連載がまだ続いていて、映画・舞台とはまた違った展開になるようなので

結末の描き方はそれぞれ違ったものになるのかなと思います。

 

映画の冒頭は戦艦大和が攻撃されて沈没するシーン。

巨大戦艦が傾いて大勢の「人がゴミのよう(byムスカ)」に海上になだれ落ちていくさまが、

CGも使ってリアルで迫力のあるシーンになっていたのは映像ならではだなと思いました。

 

舞台の始まりも大和の沈没から。暗い舞台に響く効果音や音楽で、攻撃にさらされているのを表現していて、

そういえば戦闘機が攻撃をしかけてくる時の音楽に弦楽器がよく使われるな、なんて思いながら観てました

モールス信号の音が聞こえて、海軍省の一室で通信兵たちが信号を受信している場面になり、

中の一人が大和沈没の報を受け棒立ちになる。

凍り付くその場に居合わせた人たちの驚愕、悲嘆にくれる様子に戦艦大和の存在の大きさを感じました。

戦争を知らない世代でも、戦艦大和は様々な作品に頻繁に取り上げられるので、知らない人はいないですよね。

 

主人公の櫂直は軍人嫌いで偏屈な帝大数学科の元学生。

日本を捨ててアメリカ留学しようとしていたのに、山本五十六に誘われて海軍に入り、巨大戦艦建造阻止に協力することに。

思ったことを頓着無しに口にする、態度が横柄な変わり者の天才だけれど、

若者らしい純粋さ素直さ人間らしさもあり、正義感・責任感も強い。

行動基準は「美しいか美しくないか」ただし数学脳的に、ですけど

だから山本少将を完全に信じているわけではないけれど、協力するのは彼の中でちゃんと筋が通ってるんですよね

 

この作品、妨害工作や無理難題を次々乗り越えながら、櫂の天才的頭脳によって数学的に解決していくのが爽快で楽しいです。

初めて映画を見た時は、第二次大戦を描くのに“数学”⁉ってあまりに切り口が斬新で驚きましたけど

 

駆け引きやら息もつけない激しい議論に、展開も二転三転して目が離せなかったです。

ベテラン陣がお芝居をカッチリ締めてくれていて、一筋縄ではいかない老獪な山本少将の神保悟志さん、

平山造船中将の岡田浩暉さんには盛大にヤられました

 

二人とも日本がアメリカと戦争すれば負けると理解している。

だから回避するためにも、時代遅れな超巨大戦艦はお金の無駄、と建造を阻止しようとする山本少将。

伝統だの見た目のカッコ良さにとらわれず、戦略・戦術を見通しているのは流石です。

ところが喰えない少将には実は別のプランが

 

建造阻止のため、予算の嘘を暴こうと平山案の図面を起こした櫂は、その美しさに感嘆します。

戦争嫌いの平和主義者でも、アニメや映画に出て来る戦艦や戦闘機を、ついカッコイイと思ってしまうことはありますからね

櫂の図面を見て驚嘆した平山は、櫂を同じ種類の人間と認め、平山案に魅せられたはずだし、実物を見たいと思うだろう、

戦艦が出来ても出来なくても日米開戦は止められないところまで来ている。だから、その後のために戦艦が必要なのだ、と言い

平山案の弱点を修正するために必要な方程式を教えろと迫ります。

 

平山中将の「日本人は負け方を知らない民族だ」という言葉が印象的でした。

蒙古襲来では「神風」が吹いてモンゴル軍の方から撤退してくれましたし、

日露戦争の勝利はギリギリの綱渡りでしたが、上手くいきすぎました

日本人を目覚めさせるために、世界最大最強の超巨大戦艦の犠牲が必要なのだと櫂に説く平山。

平山中将の計画怖すぎました

 

 

他に戦艦建造派で俗物の海軍少将と海軍大臣、建造阻止に協力してくれる造船会社の社長など皆さん凄かったなぁ

2.5次元舞台はキャリアの浅い若い役者さんが多くて、座組の中で拡樹くんが一番年上なんてこともありますから、

沢山勉強になったでしょうし楽しそうでしたね(いつも楽しそうですが

 

(続く)


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