えーっと、どうしようかな。
無いネタから無理矢理引っ張り出してみようか・・・。
しばらく前にNHKの 「アインシュタインの眼」という番組で、弓道を題材にしていた。
自慢では無いが、運動音痴の俺が運動系で資格を唯一持っているのが弓道である。 初段だけどね。
弓道は、流派が「小笠原流」 や 「日置流」 等々色々有るようだが、俺がやっていたのは小笠原流 (多分 ) である。
前記の番組に出ていたのはおそらく 「日置 (へき) 流」だと思うのだが (流派が多い為とはっきり区別が出来ないていない所もあり、断言は出来ない。やっていたのが20年ぐらい前だしね。) 、結構面白かった。
和弓の場合、大切なのは左手 (弓手 (ゆんで) と言う) の “手の内” という握り方で、弓を引いていくのと同時に雑巾を絞るように弓にひねりを加えていく。
基本的に弓の真ん中に弦がある為、これが出来ていないと、弦で耳や手を打ってしまうし、矢がとんでもない方向に飛んで行ってしまう。
弓にひねりを加える事によって、弦が外を回るように通り、どこも打たずに矢がまっすぐ飛んで行ってくれるのである。
これを、練習で身につけた感覚で行うのだから、結構大変なのだ。
きちんとした手の内が出来ていれば、弦を放した後弓を握りしめていても150~180度くらいは回ってくれる (これを “弓返り (ゆがえり) ” という) 。
また、きちんとした手の内を作る為、手のひらの部分は弓から浮かせていなければならない。
手のひら全体で弓を引く事を 「ベタ押し」 と言い、これをやると重い弓も結構簡単に引けてしまうのだが、そのまま弦を放すと悲惨な目に遭うのは間違い無い。
ちなみに、弓の 「軽い」 、 「重い」 は、矢の長さ分弦を引く時に、弦に何キロの荷重が掛かっているかで表記される。
弓が重くなるに従って、弦を放した時の音 ( “弦音” (つるね) と言う。) が高くなっていき、20kgほどの弓になると、ほぼ金属音に近くなっていく。
また弦を引く方の手 (馬手 (めて) と言う) は、矢をつがえた弦を引く時、ほんの少しだけ矢を弓に押しつけるようにする。
この力が足りないと、弓を引いている途中で矢が落ちてしまうし、強すぎると矢飛びが悪くなってしまう。
この時、手首の力は抜いておかなければならず、肘から手の先まで一直線になっているのが理想とされる。
「矢は肘で引け。」 と言われる所以である。
これがまたなかなか難しい。
心技体が揃わないとなかなか的当たってはくれない。
武道と言われるのもこのためなのかな。
これが揃うと、弦を放す前に 「これは当たる。」 と確信が持てる時がある。
三年間やっていて一度しかなかったけど・・・。
ついでに、今の競技用の鏃は深く刺さらない構造になっている。
それでも、当たり所が悪ければ大変な事になるので、ルールはしっかり守る必要があるのは当然の事だ。
ちなみに的は “近的” 競技用の “霞的” で直径36cm、射場から的まで28m有る。
弓は昔からの竹弓と、グラスファイバーやカーボンファイバー製の物があり、前者の方が手入れが難しい。
また、断面形状は結構複雑に出来ている。
基本的に竹弓には、麻の繊維で出来た弦を、ファイバー製の弓にはアラミド繊維製、俗に言う “ケブラー” 繊維製の物を使う。
竹弓の場合、適当な所で切れる事により、その反動で弓の形が元に戻ってくれるし、膠で接着してある為、ケブラー製の弦では弦が強すぎて弓が持たないのだ。
また、弦のメンテナンスに “くすね” という、松ヤニを煮込んだ物を使う。
これは。滑り止めに弓手に使う事もあり、これが 「手ぐすねを引いて待つ。」 って言葉の語源になっている。
矢は、竹製とジュラルミン製があり (今はカーボン製もあるのかな?) 、四本ワンセットで同じデザインになっており、基本的に同じデザインの物はない。
これは、自分の矢と他人の矢を間違えない為で、矢の長さは各個人の手の長さを基準に切り揃えてある。
だから、一本壊してしまうと、特注で同じデザインの物を作ってもらわなければならない。
命中率は腕次第だけど、洋弓には遠く及ばない。
先輩の、アーチェリーを借りてやってみた事があるが、初めて一時間も経たないうちに、28m先の筒状のポテトチップスの容器のふた程度の範囲に矢を集める事が出来た。
和弓は36cmの霞的に当てるのでさえ、結構難しい・・・。
近的競技は、一度に五人が射場に立ち、一本ずつ前から順番に二回撃ち、次の五人と入れ替わる。
それを五回繰り返し、合計十射してその的中本数を競う。
これでも結構プレッシャーがあるんだぞ。
練習とはいえ、最初に十射十中をした時は、後半ものすごいプレッシャーが・・・、練習だったんだけど、それだけ難しいって事なのさ。 いや、ただのへたくそだって。
ま、この話をすると、とんでもなく長くなっちゃうんで、この辺にしておこう。