戦いのメタファーは、老夫婦ばかりに適用されるのではない。
長男ゲイリーの家庭でも同じだ。
ゲイリーとその妻、富裕なクエーカー教徒の家柄を誇るキャロラインは、フィラデルフィアの高級住宅地に住む。
「最後のクリスマス」を、子どもたちはむろん、嫁や孫たちも全員招いて、中西部の自宅で祝いたいという姑の「気違いじみた執着」(嫁キャロラインの言葉)をめぐって、内戦が勃発。
彼らの場合は、寝室が戦場となり、故郷でのクリスマスに固執するゲイリーと、彼を「鬱病」と決めつける妻とのあいだで戦いが引き起こされる。
「キャロラインは今や夫への敵意を夫の“健康”への“気遣い”に偽装する技を身につけている。
この生物兵器に、彼が使用している家庭争議用の通常兵器は太刀打ちできないのだ。
彼が意地悪く彼女の人格を攻撃するのに対して、彼女は高潔に彼の病気を攻撃する、という構図になっている」
そうした夫婦の諍い、嫁姑の確執など家庭内の争いを、フランゼンはなぜ「戦争」のメタファーによって描くのか。
(つづく)
長男ゲイリーの家庭でも同じだ。
ゲイリーとその妻、富裕なクエーカー教徒の家柄を誇るキャロラインは、フィラデルフィアの高級住宅地に住む。
「最後のクリスマス」を、子どもたちはむろん、嫁や孫たちも全員招いて、中西部の自宅で祝いたいという姑の「気違いじみた執着」(嫁キャロラインの言葉)をめぐって、内戦が勃発。
彼らの場合は、寝室が戦場となり、故郷でのクリスマスに固執するゲイリーと、彼を「鬱病」と決めつける妻とのあいだで戦いが引き起こされる。
「キャロラインは今や夫への敵意を夫の“健康”への“気遣い”に偽装する技を身につけている。
この生物兵器に、彼が使用している家庭争議用の通常兵器は太刀打ちできないのだ。
彼が意地悪く彼女の人格を攻撃するのに対して、彼女は高潔に彼の病気を攻撃する、という構図になっている」
そうした夫婦の諍い、嫁姑の確執など家庭内の争いを、フランゼンはなぜ「戦争」のメタファーによって描くのか。
(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます