タイトルの変遷で分かる「あるある問題」の捏造悪質化=外部調査委の報告
【PJ 2007年04月25日】- 関西テレビ「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造問題で、日本民間放送連盟(広瀬道貞会長)は19日、臨時総会を開き、関西テレビを除名処分とすることを正式決定した。民放連が関西テレビを除名した理由は、「関西テレビの外部調査委員会が出した報告書で、社内調査結果(4件)を上回るねつ造や改ざんがあったことで、視聴者の信頼を損ない、放送界全体の信用を失墜させた責任は重い」というものであった。
PJニュースは、この事件発覚直後から、放送内容を納豆業者が事前に知っていた事実を突き止めていた。さらに、このほど、サプリメント製造業者が、放送内容を事前に知っていたことを突き止めた。この事実は、インサイダー取引に該当する行為だと思われ、刑事事件として、捜査機関が捜査に着手するべき案件であろう。
ところで、「あるある」が、高視聴率を稼いでいた一因として、サプリメント関連企業等が、事前に放送内容を知っていたことで、代理店が小売店に、小売店が一般消費者に、「あるある」を見るよう宣伝をかねて告知することもできたことが考えられる。それにより関係者が同番組を視聴したことで、視聴率が恒常的に上がったのかもしれない。
3月23日に公表された外部調査委員会の報告書においては、当然、その時点で、サプリメント製造業者が放送内容を事前に知っていた事実を、同委員会が把握していなかったに違いない。同委員会は、関西テレビが、ねつ造番組を制作した背景・要因について、「高視聴率を確保するために、無理な制作手法がとられるようになった」と結論づけ、高視聴率を稼ぐようになったプロセスを推移する報告が次のようになされている。
「あるあるⅡ」の沿革と制作体制
(1)「あるあるⅠ」から「あるあるⅡ」への変更と番組制作スタンスの変遷
ア 「あるあるⅠ」の番組視聴率の推移
「あるあるⅠ」は、比較的高い視聴率を安定して得ていたが、平成15年4月ころから視聴率が低下し、番組打ち切りの危険もある状況に陥った。視聴率の推移は以下のとおりである。
番組開始当初は、10パーセント台前半の視聴率も少なくなかったが、他方、一桁台の視聴率に甘んじることも1年のうち2、3回にとどまっており、全体として安定した視聴率を確保し、放送開始から約1年が経過した平成9年12月ころから、15パーセントを超える視聴率を安定して確保する「高視聴率番組」となった。ところが、番組開始から約6年半が経過した平成15年4月ころから、視聴率の低下が始まった。20パーセント以上の視聴率はおろか、15パーセント以上の視聴率を取ることもまれとなり、一桁台の視聴率にとどまることも珍しくなくなった。そして平成16年3月には月間平均視聴率が9.3パーセントにまで落ち込んだ。
このような視聴率推移の中で、電通の実施したアンケートにより「あるあるⅠ」の番組内容が専門的すぎ、また、説明的すぎて視聴者の興味を引いていないことが視聴率低下の原因であるとされ、もっと番組内容を分かりやすく、面白くし、コンパクトにまとめ、お役立ち感のあるものにするという企画が提案された。
イ 「あるあるⅡ」の立ち上げと企画の変更
そこで、視聴者にとって、面白く分かりやすく、より強く訴えかけることにより視聴者の気を強く引きつけるために、まず、「あるあるⅠ」では一回の放送につき、一つのテーマを通して取り上げていたのに対し、「あるあるⅡ」では、3つのテーマ(海外情報、メインテーマ及びタレント志村けん氏の食材情報)を取り上げることとした。
メインテーマについては、「あるあるⅠ」において、例えば、「納豆」という名詞の題材をテーマにし、納豆の良いところを紹介するというスタンスの作り方であり、仮に納豆のダイエット効果を示すことに失敗しても、納豆の他の効果が確実に存在すれば、それを紹介することによって、番組を成立させることができた。つまり、番組制作にあたり、捏造等の無理をする必要はなかった。
これに対し、「あるあるⅡ」においては、例えば、「納豆ダイエット」というように、テーマが絞り込まれ、一つの食材で一つの効能を特定して伝えるようになった。この状況は次第にエスカレートし、例えば、ダイエットをテーマにする回では、「お酢を飲むとヤセるのか!?」(平成16年5月16日第7回放送)、「にがりで本当にヤセるのか!?」(平成16年5月30日第9回放送)と当初は疑問形でテーマ設定していたものが、「呼吸法でお腹がヤセる」(平成18年4月2日第101回放送)、「足裏刺激でヤセる」(平成18年10月8日第128回放送)と、仮説に過ぎないテーマを断定的な表現で強調するようになり、平成19年1月7日第140回の本件放送回では、「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」と効果を断定するように変化していき、番組制作にあたり、全体として、後述のとおり捏造等の背景・要因となるような無理な制作手法がとられるようになった。
このように、一定の仮説を立て、実験での検証、研究者や論文での裏付け、そしてタレントによるトークによって、意外性があり、視聴者の興味を強く引くメッセージを視聴者に定着させる手法が取られるようになったのである。
すなわち、あるあるⅡはあるあるⅠのマンネリ化と視聴率の低迷を踏まえ、日曜日午後9時からの番組枠の維持・確保と高視聴率の確保等のため、教養情報番組でありながら、バラエティー色をより加味させ、番組の基本的制作スタンスは番組内容の面白さ、分かりやすさ等に重点を置き、番組内容や情報内容の正確性等の充分なる確保にはあまり重きを置かない視点で制作される傾向を強めていったのである。関西テレビを頂点とし、テレワークを中核とし、各制作会社をその傘下に置くピラミッド型制作体制によるテレワーク主導型の本件番組の制作は、全体として、上記視点で制作されていったとみられる。
ウ 視聴率の上昇
この手法を取った結果、「お酢は飲むとヤセるのか!?」は18.4パーセントの視聴率を、また前記「にがりで本当にヤセるのか!?」は、17.9パーセントの視聴率をそれぞれ獲得するなど、かつての全盛期に勝るとも劣らない視聴率を取るようになった。そして、平成17年6月には、月間平均視聴率20.8パーセントを獲得するに至った。月間平均視聴率が20パーセントを超えるというのは、「あるあるⅠ」の時代にもなかったことであり、その後も月間平均視聴率は15パーセント前後で推移していた。【了】(PJニュースより引用)
「関西テレビ」だけでなく、連日、いろんな会社が「お詫び広告」を出している。本の少し前までは「ナーナー」になっていた事が「雪印」「不二家」「関西テレビ」の件で、チェックの目が厳しくなり、浮き出てきたのだろう。まだまだいろんな業界から「不祥事」が出ると思う。「健康や命に関わるもの」は、会社自体が自ら開示して欲しいものである。
【PJ 2007年04月25日】- 関西テレビ「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造問題で、日本民間放送連盟(広瀬道貞会長)は19日、臨時総会を開き、関西テレビを除名処分とすることを正式決定した。民放連が関西テレビを除名した理由は、「関西テレビの外部調査委員会が出した報告書で、社内調査結果(4件)を上回るねつ造や改ざんがあったことで、視聴者の信頼を損ない、放送界全体の信用を失墜させた責任は重い」というものであった。
PJニュースは、この事件発覚直後から、放送内容を納豆業者が事前に知っていた事実を突き止めていた。さらに、このほど、サプリメント製造業者が、放送内容を事前に知っていたことを突き止めた。この事実は、インサイダー取引に該当する行為だと思われ、刑事事件として、捜査機関が捜査に着手するべき案件であろう。
ところで、「あるある」が、高視聴率を稼いでいた一因として、サプリメント関連企業等が、事前に放送内容を知っていたことで、代理店が小売店に、小売店が一般消費者に、「あるある」を見るよう宣伝をかねて告知することもできたことが考えられる。それにより関係者が同番組を視聴したことで、視聴率が恒常的に上がったのかもしれない。
3月23日に公表された外部調査委員会の報告書においては、当然、その時点で、サプリメント製造業者が放送内容を事前に知っていた事実を、同委員会が把握していなかったに違いない。同委員会は、関西テレビが、ねつ造番組を制作した背景・要因について、「高視聴率を確保するために、無理な制作手法がとられるようになった」と結論づけ、高視聴率を稼ぐようになったプロセスを推移する報告が次のようになされている。
「あるあるⅡ」の沿革と制作体制
(1)「あるあるⅠ」から「あるあるⅡ」への変更と番組制作スタンスの変遷
ア 「あるあるⅠ」の番組視聴率の推移
「あるあるⅠ」は、比較的高い視聴率を安定して得ていたが、平成15年4月ころから視聴率が低下し、番組打ち切りの危険もある状況に陥った。視聴率の推移は以下のとおりである。
番組開始当初は、10パーセント台前半の視聴率も少なくなかったが、他方、一桁台の視聴率に甘んじることも1年のうち2、3回にとどまっており、全体として安定した視聴率を確保し、放送開始から約1年が経過した平成9年12月ころから、15パーセントを超える視聴率を安定して確保する「高視聴率番組」となった。ところが、番組開始から約6年半が経過した平成15年4月ころから、視聴率の低下が始まった。20パーセント以上の視聴率はおろか、15パーセント以上の視聴率を取ることもまれとなり、一桁台の視聴率にとどまることも珍しくなくなった。そして平成16年3月には月間平均視聴率が9.3パーセントにまで落ち込んだ。
このような視聴率推移の中で、電通の実施したアンケートにより「あるあるⅠ」の番組内容が専門的すぎ、また、説明的すぎて視聴者の興味を引いていないことが視聴率低下の原因であるとされ、もっと番組内容を分かりやすく、面白くし、コンパクトにまとめ、お役立ち感のあるものにするという企画が提案された。
イ 「あるあるⅡ」の立ち上げと企画の変更
そこで、視聴者にとって、面白く分かりやすく、より強く訴えかけることにより視聴者の気を強く引きつけるために、まず、「あるあるⅠ」では一回の放送につき、一つのテーマを通して取り上げていたのに対し、「あるあるⅡ」では、3つのテーマ(海外情報、メインテーマ及びタレント志村けん氏の食材情報)を取り上げることとした。
メインテーマについては、「あるあるⅠ」において、例えば、「納豆」という名詞の題材をテーマにし、納豆の良いところを紹介するというスタンスの作り方であり、仮に納豆のダイエット効果を示すことに失敗しても、納豆の他の効果が確実に存在すれば、それを紹介することによって、番組を成立させることができた。つまり、番組制作にあたり、捏造等の無理をする必要はなかった。
これに対し、「あるあるⅡ」においては、例えば、「納豆ダイエット」というように、テーマが絞り込まれ、一つの食材で一つの効能を特定して伝えるようになった。この状況は次第にエスカレートし、例えば、ダイエットをテーマにする回では、「お酢を飲むとヤセるのか!?」(平成16年5月16日第7回放送)、「にがりで本当にヤセるのか!?」(平成16年5月30日第9回放送)と当初は疑問形でテーマ設定していたものが、「呼吸法でお腹がヤセる」(平成18年4月2日第101回放送)、「足裏刺激でヤセる」(平成18年10月8日第128回放送)と、仮説に過ぎないテーマを断定的な表現で強調するようになり、平成19年1月7日第140回の本件放送回では、「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」と効果を断定するように変化していき、番組制作にあたり、全体として、後述のとおり捏造等の背景・要因となるような無理な制作手法がとられるようになった。
このように、一定の仮説を立て、実験での検証、研究者や論文での裏付け、そしてタレントによるトークによって、意外性があり、視聴者の興味を強く引くメッセージを視聴者に定着させる手法が取られるようになったのである。
すなわち、あるあるⅡはあるあるⅠのマンネリ化と視聴率の低迷を踏まえ、日曜日午後9時からの番組枠の維持・確保と高視聴率の確保等のため、教養情報番組でありながら、バラエティー色をより加味させ、番組の基本的制作スタンスは番組内容の面白さ、分かりやすさ等に重点を置き、番組内容や情報内容の正確性等の充分なる確保にはあまり重きを置かない視点で制作される傾向を強めていったのである。関西テレビを頂点とし、テレワークを中核とし、各制作会社をその傘下に置くピラミッド型制作体制によるテレワーク主導型の本件番組の制作は、全体として、上記視点で制作されていったとみられる。
ウ 視聴率の上昇
この手法を取った結果、「お酢は飲むとヤセるのか!?」は18.4パーセントの視聴率を、また前記「にがりで本当にヤセるのか!?」は、17.9パーセントの視聴率をそれぞれ獲得するなど、かつての全盛期に勝るとも劣らない視聴率を取るようになった。そして、平成17年6月には、月間平均視聴率20.8パーセントを獲得するに至った。月間平均視聴率が20パーセントを超えるというのは、「あるあるⅠ」の時代にもなかったことであり、その後も月間平均視聴率は15パーセント前後で推移していた。【了】(PJニュースより引用)
「関西テレビ」だけでなく、連日、いろんな会社が「お詫び広告」を出している。本の少し前までは「ナーナー」になっていた事が「雪印」「不二家」「関西テレビ」の件で、チェックの目が厳しくなり、浮き出てきたのだろう。まだまだいろんな業界から「不祥事」が出ると思う。「健康や命に関わるもの」は、会社自体が自ら開示して欲しいものである。