ビーガンもボルトン同様
「漸進的非核化はない…トータルソリューションが必要」
登録:2019-03-13 06:11 修正:2019-03-13 08:35
「漸進的非核化はない…トータルソリューションが必要」
登録:2019-03-13 06:11 修正:2019-03-13 08:35
「トランプ大統領の立場は明確、米政府の立場と完全に一致」
「すべてのWMDを除去すべき」、「外交の扉は開かれている」
ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表(右)が今月11日(現地時間)、ワシントンのロナルド・レーガンビルで、カーネギー国際平和基金の主催で開かれた核政策カンファレンスで発言している。左側は司会のヘレン・クーパー記者=ワシントン/ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社
朝米非核化交渉の窓口であるスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が「漸進的非核化はない」として、強硬な対北朝鮮原則を明らかにした。熱心な交渉派として知られる彼が、「スーパータカ派」のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)と同じ態度に転じたのだ。これは「ゼロか100か」(all or nothing)のアプローチで米政府が一致団結したことを示すもので、第2回朝米首脳会談の合意が見送られた以降、膠着状態の長期化に対する懸念が高まっている。
ビーガン代表は11日(現地時間)、ワシントンでカーネギー国際平和基金の主催で開かれた核政策カンファレンスで、「我々は(北朝鮮の)非核化を漸進的に進めない」とし、「大統領はその点を明らかにしており、行政府はその立場で完全に一致している」と述べた。さらに「政府の立場が強硬になったわけではなく、最初から最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)が目標だった」とし、「トータルソリューション(完全な解決策)が必要だ」と強調した。ビーガン代表がハノイ首脳会談後、公の場で発言したのは今回が初めてであり、「ビッグ・ディールでなければノー・ディール」という米国の立場を公式化する意味がある。彼の言った「トータルソリューション」とは、核兵器と生物化学兵器など大量破壊兵器(WMD)の完全な除去と制裁解除を同時に交換する方法を指す。
ニューヨーク・タイムズ紙の国防総省担当、ヘレン・クーパー記者が「米国が生物化学兵器まで交渉のテーブルに載せた。ゴールを移したのではないか」と問うと、ビーガン代表は「私がこの職に就いた初日から、朝鮮半島に永久的な平和をもたらす努力は、すべての大量破壊兵器の除去と関連していた」としたうえで、「核兵器の脅威の除去を目指しながら、生物化学兵器の存在を認めるのはあり得ない」と答えた。また「寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄という部分的な非核化の見返りとして制裁を解除すれば、北朝鮮のほかの大量破壊兵器に資金を提供することに他ならないため、受け入れることができなかった」と述べた。完全な非核化が実現するまでは、制裁の一部解除もあり得ないという意味だ。
このため、司会者は「あなたの(同時的・並行的履行方針を明らかにした1月31日の)スタンフォード大学での発言と、国務省の高官が7日『現在、米政府では誰もステップバイステップ(段階的)アプローチを支持しない』とした発言のうち、どちらが正しいのか」と追及する場面もあった。
ビーガン代表は、トランプ大統領やボルトン補佐官同様、対話の余地は残した。「外交は依然として生きている。 外交の扉は開かれている」とし、「今日そこに到達するには、(朝米の見解の)隔たりがまだ大きすぎる」と述べた。しかし「北朝鮮と協力して進めば、目標を1年以内に達成できるだろう」と付け加えた。
「ゼロか100か」のアプローチは現実性に欠けるという指摘もある。マサチューセッツ工科大学のヴィピン・ナラン教授はインターネットメディア「VOX」とのインタビューで、「このような立場から離れなければ、どこにも進めない。北朝鮮に完全な降伏を要求すれば、合意の空間がなくなる」と指摘した。ミドルベリー国際問題研究所のジョシュア・ポーラック研究員は「膠着を続ける公式」だと皮肉った。
これと関連し、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官は12日、寛勲クラブ招請討論会で「寧辺の核施設をまず廃棄するのが現実的アプローチ」だと強調した。ブッシュ政権初期、米国側が北朝鮮の「高濃縮ウラン計画」疑惑を前面に掲げて朝米枠組み合意を破ったことで、北朝鮮側の反発を招き、「第2次核危機」が起きた前例から教訓を得て、「ビッグ・ディール」よりも寧辺の核施設の廃棄から始めるのが現実的だという助言だ。また、ハノイ会談後の情勢の打開を模索する経路として、(1)文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が板門店(パンムンジョム)で“ワンポイント首脳会談”→(2)文大統領とトランプ大統領の韓米首脳会談→(3)3~9月の国連総会を契機とした南北米3者または南北米中4者首脳会議の推進を提案した。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、イ・ジェフン先任記者、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)