「刀を抜いたチュ・ミエ長官」、ユン検察総長の参謀陣を大幅に交替
登録:2020-01-09 09:47 修正:2020-01-09 11:03
登録:2020-01-09 09:47 修正:2020-01-09 11:03
「ユン・ソクヨルの側近」ハン・ドンフン、パク・チャンホ
釜山高検・済州地検に左遷
カン・ナミル次長も大田高検に
政権と対立した幹部を入れ替え
ユン・ソクヨルの“力を抜く”意志を反映
法務部、ユン総長と調整せず
大統領府「人事権は大統領にある」
政権に関連する捜査への影響は避けられず
チュ・ミエ法務部長官が8日昼、京畿道果川の政府果川庁舍を後にしている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社
法務部が8日、今月13日付で検事長級の検事32人に対する人事を断行すると明らかにした。今回の人事でハン・ドンフン最高検察庁反腐敗強力部長(司法研修院27期)、パク・チャンホ最高検察庁公共捜査部長(26期)など、ユン・ソクヨル検察総長の主要な参謀らが大幅に交代された。検察内部では、「生きた権力を捜査した報復人事」「ユン・ソクヨルを孤立させる人事」という反応が出た。大統領府は「人事権は大統領にある」と強調した。
■「ユン・ソクヨル参謀」全面交代
法務部はこの日午後7時半に報道資料を出し、「高検長級5人と検事長級5人を昇進させ、22人を転補した。これまで空席や辞職で発生した高等検察庁長級の欠員を充員する通常の定期昇進および異動人事」だと明らかにした。法務部はさらに「特定部署中心の従来の人事から脱し、これまでちゃんと評価されなかった第一線の優秀な検事たちを積極的に重用した」とし、「公正でバランスの取れた人事」と自評した。
しかし、こうした評価とは異なり、法務部は政権を狙った捜査を指揮してきた最高検察庁の幹部らを「左遷」させたという見方が出ている。「チョ・グク前法務部長官一家」に関する捜査を指揮してきたハン・ドンフン部長は釜山高等検察庁次長に送られ、「大統領府選挙介入・下命捜査疑惑」の捜査を取り仕切ってきたパク・チャンホ部長は済州地検長に転補された。ハン・ドンフン部長の空席はチュ・ミエ法務部長官の人事聴聞会準備団・言論広報チーム長だったシム・ジェチョル南部地検1次長(27期)が埋め、パク・チャンホ部長のポストはペ・ヨンウォン水原地検1次長(27期)に任された。
このほかにも、最高検察庁でユン総長を補佐してきた主要参謀の大半を交代させた。大統領府と対立していた最高検察庁幹部を交代させ、ユン総長の力を抜くという趣旨と読みとれる。検察の「ナンバー2」格のカン・ナムイル最高検察庁次長(23期)は大田高検検事長にポストを移す。イ・ウォンソク最高検察庁企画調整部長(27期)は水原高等検察庁次長に転補された。チョ・サンジュン最高検察庁刑事部長(26期)はソウル高等検察庁次長に送られた。高検次長は初任検事長が勤める補職であり、イ・ウォンソク部長とチョ・サンジュン部長もハン・ドンフン部長と同じく左遷されたという話が出ている。最高検察庁の参謀8人のうち5人が新規検事長の26期(3人)、27期(2人)で埋められた。
また、「チョ前長官一家」捜査と「大統領府選挙介入疑惑」の捜査を指揮したペ・ソンボム・ソウル中央地検長(23期)は高等検察庁長の法務研修院院長に左遷栄転した。ユン総長と近い間柄であるユン・デジン水原地検長(25期)も閑職である司法研修院副院長に退いた。今回、政府が強調してきた「法務部の脱検察化」の基調に合わせ、法務部の主要ポストを「非検事」が担うという観測があったが、検事長級の企画調整室長と検察局長はそのまま検事に任せた。法務部企画調整室長はウ・ビョンウ元大統領府民情首席を捜査したシム・ウジョン・ソウル高等検察次長検事(26期)が担う。検察の人事と予算を総括する法務部検察局長はチョ・ナムグァン・ソウル東部地検長(24期)が手に入れた。彼はソウル東部地検長でとして「ユ・ジェス監察もみ消し疑惑」を捜査したが、今回事実上栄転を果たし、注目を集めている。チョ検事長は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が民情首席だった時代、特別監察チーム長を務めた。
ユン・ソクヨル検察総長が7日午後、京畿道果川法務部庁舎でチュ・ミエ法務部長官を訪問した後、庁舎を後にしている=果川/ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
■大統領府の捜査に与える影響は?
今回の人事で、現在検察が進めている現政権・与党関連の捜査が影響を受ける可能性があるという予想が出ている。法務部がチョ・グク前長官一家の捜査、下命捜査疑惑など、大統領府を相手に強力な捜査を指揮した幹部に対して左遷性の人事を多く出したためだ。
代わりに法務部は、大統領府などに対する捜査を続けるソウル中央地検長に文大統領と縁があるイ・ソンユン検察局長(23期)を任命した。イ局長は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代に特別監察チーム長を務め、文大統領と慶煕大学の同窓で有力なソウル中央地検長候補に挙げられてきた。ユ・ジェス監察もみ消し疑惑の捜査を行っているソウル東部地検長は、ユン総長と同期であるコ・ギヨン釜山地検長(23期)を任命した。文大統領と縁があったり、ユン総長を牽制できる人物を主要ポストに据えたのだ。特別捜査を指揮する最高検察庁の反腐敗強力部長を「強力通」であるシム・ジェチョル次長検事に任せたことも注目される。彼はパク・サンギ法務部長官時代、法務部報道官を務めた。今回、幹部人事に続いて行われる部長検事などの人事がどのように行われるかも注目される。現在捜査を担当している実務検事らまで変える場合、捜査介入をめぐる論争がさらに深まりかねないからだ。
■法務部・最高検、人事案をめぐって対立
この日の検察高官人事を控え、法務部と検察は強く衝突した。両者はこの日午後、人事に対する各自の立場を書いた内容のショートメッセージを交互に2回ずつ記者団に送るなど、人事発表直前まで対立した。
法務部はこの日午前9時半、最高検察庁に連絡し「午前10時半までにユン・ソクヨル総長は法務部庁舎に来るように。チュ・ミエ長官が人事案に対する意見を聞く」としたが、ユン総長はこれを拒否した。最高検察庁は「検察人事委員会開催を30分後に控えて検察総長を呼び出すのは、要式手続に終わる恐れがある」と、拒否の理由を明らかにした。法務部はこれとは別に、最高検察庁に「今日の午後4時までに人事に対する最高検察庁の意見がほしい」という趣旨の業務連絡も送ったが、最高検察庁はこの要求にも応じなかった。人事リストを見ないまま意見を出すのは不適切だということだ。
両機関の対立に、大統領府関係者は「すべての省庁の高官任命権限は大統領にある」とし、「人事権に対する定義をもう一度考えてほしい」と述べた。
チェ・ウリ、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )