4年前に韓国に来たソムナンも、過労で病気になるたびに、故郷の子供と両親を思いながら耐えている。

2020-01-26 16:35:34 | 真の解決目指して

[ルポ]「具合が悪くても仕事…

母国の料理を食べて頑張る」農村移住労働者の食卓

登録:2020-01-21 23:21 修正:2020-01-26 10:42
 
[2020労働者の食卓](4)農村移住労働者

1日12時間、果てしない野良仕事…ビニールハウス80棟管理

月25万ウォンずつ払うビニールハウス
“冷たい床のコンテナ”が宿舎
暖房はおろか温水も出ない…“干し魚”と故郷風のカレーが特別食
素朴な晩餐準備する間にも、台所の水道はしょっちゅう止まる

 
 
京畿道郊外の農場で働くカンボジア移住労働者の食卓。故郷でよく食べるチャー・クダオ、トレイチュアーをおかずに夕食をとっている。午前6時から12時間近い辛い労働ゆえに農業移住労働者は三食を準備し食べる時間も余力もない=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 香ばしい魚の臭いが鼻を刺すと、プカー(45・以下すべて仮名)の顔が明るくなった。どれほど久しぶりに味わう「トレイチュアー」(干した魚)なのか分からない。魚をしっかり干して作ったトレイチュアーは、韓国のスケトウダラの生干しのような魚だ。プカーの故郷のカンボジアでは常備菜の一つで、塩辛いカワハギの干物(チポ)の味がする。カンボジアの市場には、どこでも糸を通して干したトレイチュアーが吊されている。8年前に韓国に移住した農業労働者のプカーが、ホームシックにかかった時のために用意しておく“ソウルフード”(心を慰める食べ物)だ。「具合が悪くても働かなければなりません。風邪を引いても休めません。病んだ時、トレイチュアーとお湯をかけて食べるご飯が一番です」。京畿道郊外のある農場のビニールハウス内のコンテナで会ったプカーが、フライパンの上のトレイチュアーをひっくり返しながら話した。取っ手のないフライパンなので、ティッシュを巻いて危なっかしそうに掴んでいた。煙を吸い込むフードは、煤煙が焦げ付いて真っ黒になっていた。

 
 
先月12日、京畿道郊のある農場のビニールハウスで、カンボジア出身移住労働者プカーと同僚がサンチュを収穫している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社
 
 
カンボジア人がよく食べるチャー・クダオ(鶏肉のカレー炒)とトレイチュアー(干し魚)、そしてご飯=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 トレイチュアーを飛行機で持ってきたのは、カンボジアに行って前日帰ってきた農場の同僚だ。農場近隣の東南アジア食料品店でもトレイチュアーを売っているが、値段は3~4倍になる。とても買おうは思えない。同僚のおかげでちゃんとした故郷の食卓ができた。囲んで座ってカンボジア式の食卓を整えたので、故郷の家にいるように笑い声があふれた。集まって座った場所が家ではなくコンテナで、床が氷のように冷たいことを別にすれば。

午前6時から12時間も農作業をしても…

 先月12日の夜、京畿道郊外のあるビニールハウスを訪れた時、プカーを含むカンボジア人8人は、しゃがんでサンチュを穫っていた。皆同じようにタオルを巻いた帽子に土まみれのダウンジャケット、トレーニングズボンを履いていた。1棟当たり横10メートル、縦100~150メートル大のビニールハウス80棟が8人の仕事場だ。1人が10棟ずつ管理しなければならない。ここでは、夏はキュウリを栽培し、冬はサンチュやホウレンソウを栽培する。ビニールハウスを60棟持っている農場主は、1年に20億ウォン(約1.9億円)ほど稼いでいるという。午前6時から午後6時過ぎまで、座る間もなく仕事をする農業移住労働者が生み出す利益だ。

 しかし、農業移住労働者の暮らしは、事実上の“召使い”に近い。移住労働者は入国する時に製造業と農業に分かれるが、韓国語の点数が低ければ農業、高ければ製造業に直行する。農業移住労働者は、農場主に呼ばれれば週末も仕事に出なければならない。農閑期に仕事が早く終れば、突然ビニールハウスの寒波防止のような追加労働もさせる。移住労働者は、事業主の不当な指示にも逆らえない。移住労働者の非専門就労ビザは、基本3年滞留に1年10カ月の延長が可能だ。韓国に再び来るためには、特別韓国語試験を受けた後、「誠実労働者」として認められなければならない。誠実労働者は、事業場を変わることなく一つの事業場で勤めてきた労働者に限定される。事業主の評価は、移住労働者が韓国に再移住する際の絶対的な基準だ。

 プカーの同僚は月給170万ウォン(約16万円)を受け取る。農場主は、給与から毎月“寮”費25万ウォン(約2.4万円)を控除する。昨年7月からは、韓国に居住する外国人が健康保険の「地域加入者」に分類され、毎月健康保険料も11万2850ウォン(約1万700円)ずつ引かれる。昨年基準で週40時間働く韓国人労働者の最低賃金は月174万5千ウォン(約16.6万円)。プカーと同僚は、一日11~12時間働く上に、週6日以上労働するので、最低賃金をはるかに上回らなければならないが、現実は法の例外状態に置かれている。韓国語の点数が低いからなのか。韓国の労働基準法は農畜産業労働者に対しては労働時間、休憩時間、休日に関して例外条項を設けている。移住労働者の支援活動をしているキム・ダルソン牧師は「私たちの食卓に上がるすべての野菜は移住労働者の手で作られている。日曜日になれば、京畿道の農村地域には移住労働者だけがいると言えるくらいだ」として「ほとんど20~30代の若々しい年齢でここに来て仕事をして、まるでバッテリーを取り替えるように5年もたたずに交替させられる」と話した。プカーのような農業移住労働者は、法務部基準で2万8千人ほど(2018年)だ。

氷のように冷たい15坪のサンドイッチパネル宿舎

 15坪(49.6平方メートル)ほどの寮は、ビニールハウス内にサンドイッチパネルで作ったコンテナだ。プカーをはじめとする女性5人、男性3人がここで暮らす。5坪のワンルーム3つを繋いだ構造で、2~3人で部屋を分けて使う。火災に脆弱なことはもちろんで、いつでもビニールハウスから出動できるように農場の端に作られているため、彼らは田畑と一体になって暮らしている。三つ葉、ホウレンソウ、サンチュ、フダン草の箱が数百個、そして軍手が山のように入口の両側に積まれている。

 
 
カンボジア移住労働者プカーが、取っ手のないフライパンを掴んでチャー・クダオを調理している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 東南アジアで生まれて育った彼らにとって、韓国の京畿道北部の冬はひときわ寒いが、組立式の仮設建物には暖房がない。部屋の床が氷のように冷たい。温熱器だけがぽつんと置かれている。暖かいシャワーさえ使えない。冷たい水さえ出たり出なかったりだ。飲料水を除けば、地下水で洗って料理するが、農作物に撒く農薬が簡単に混じってしまう構造だ。8人が暮らす寮の冷蔵庫には、最近買ってきたトレイチュアー意外には食べものも入っていない。代わりに台所の片隅には、彼らが飢えをしのいだバナナとミカンの皮が積まれていた。

 豊かに暮らそうと思って韓国まで来たが、彼らの食卓はカンボジアにいたときより貧しい。仕事に追われるうえに、劣悪な台所事情まで重なるので、まともな食事を準備して食べることは不可能だ。「カンボジアでは料理が好きで、食事には料理3品は作っていたが、韓国では誕生日にもおかず一品で食べています。仕事が大変で、調理する時間もありません」。プカーと共に仕事をするソムナン(30)が話した。

 韓国のテレビでは、一日中「グルメ番組」をやっているが、プカーと同僚は年に一度、肉料理屋に行くことも難しい。夜明けに起きて仕事に行かなければならなので、朝食は抜くしかない。30分前後の昼休みにも、調理することは難しい。だから大概はラーメンで済ませる。10年間この地域で東南アジア食料品店を営んできたある韓国人は「近くに東南アジアの食材を売る店が30カ所ほどあるが、商品の中ではラーメンが一番よく売れる」と伝えた。

 終日空かせたお腹を充たすべき夕食も、大盛りのご飯におかず一つが全てだ。ただしこの日は“特別食”のトレイチュアーがあったので2品のおかずを準備できた。プカーがトレイチュアーを焼き、カンボジア式カレーの「チャー・クダオ」を作る間にも、台所の水道は度々断水した。フライパンに油をしいて、調味料を炒め、カンボジア式魚醤のフィッシュソースを足して下ごしらえした鶏肉を入れた。赤唐辛子を薄く切って入れ「ロッティ」(タイの調味料)を入れると、チャー・クダオができあがった。プカーが「できたよ」と言って、サンドイッチパネルの壁を叩くと、すぐにクメール語のお喋りの声とともに同僚がやって来た。

 
京畿道郊外のある外国人飲食料品店。ここでは小規模工場と農場で多くの移住労働者が働いているため、外国の食料品店が多い=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

それでも未来のために木を植える

 山盛りのご飯は20分で空になった。短い食事時間、故郷の家族の話を交わす彼らの顔に活気が戻った。夫と死別して韓国に来たプカーは、カンボジアの両親と弟妹を養っている。プカーは、韓国で稼いだお金で土地を買い、トロピカルフルーツの木を植える。プカーが韓国で他人の土地を世話している間に、家族はプカーの土地の世話をする。

 4年前に韓国に来たソムナンも、過労で病気になるたびに、故郷の子供と両親を思いながら耐えている。他の農場で働いているカンボジアの女性と2年前に結婚した。8カ月になる子供は、カンボジアの両親が世話をしている。

 「子供に会いたい。けれど、私たちの未来ために韓国で働き続けてお金たくさん稼ぎたいのです」。コンテナ部屋の冷気のために小さくからだを丸めていたソムナンだが、子供の名前を呼ぶ彼の顔にはしばし故郷カンボジアのカンポットのそよ風が吹いたようだった。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「いくらかかるかわからないリニアや北陸新幹線(延伸)に使うカネがあったら、市民の福祉とくらしに使うべきです」と訴え

2020-01-26 09:57:20 | スポーツは世界をつなぐ!

京都市長

福山和人さんの勝利で“

市民の暮らし必死で守る市政”に

   志位委員長・山本れいわ代表が訴え

 大激戦となっている京都市長選(2月2日投票)で、「つなぐ京都2020」の福山和人候補を必ず押し上げようと、日本共産党の志位和夫委員長は25日、市内3カ所を駆けめぐり、支援を訴えました。志位氏が「『市民のくらしを必死のパッチで守る当たり前の市政を』と訴える福山和人さんを、みんなの力で必ず市長にしよう」と力を込め、四条烏丸では、福山候補、志位氏、応援に駆け付けたれいわ新選組の山本太郎代表、法政大学教授で、市民連合呼びかけ人の山口二郎氏らが手を結ぶと、盛大な拍手に包まれました。


写真

(写真)声援にこたえる(左から)守田敏也、山口二郎、山本太郎、福山和人、志位和夫、白坂有子の各氏=25日、京都市下京区

 福山候補は、市民のくらしには乗り越えられない壁があり、しんどい思いをしていると話し、「その壁を削るのが政治の仕事」と強調。「くらし応援すぐやるパッケージ」で、普通の市民生活を送ってもらい、それが京都経済を温めることになるとして、「京都を再生させる大チャンス。大きなお力添えを」と訴えました。

 志位氏は、「いま京都ではしんどいくらしをしている方、商売をたたもうかと悩んでおられる方、未来に希望がもてない若者がたくさんいると思います」と語りかけ、「その時に、しんどいのはあなたのせいじゃない、政治の責任だ、市民のくらしを必死で守る市政をつくる」と言い切る福山候補こそ市長にふさわしいと訴えました。

 福山候補の「くらし応援すぐやるパッケージ」が大評判になっていると話した志位氏は、「かゆいところに手がとどくものではないでしょうか」と語りかけ、市民と何度も相談してつくったもので、「すぐに実行できるものばかりです」と強調。その内容として、「みんなで食べる温かい中学校給食」、「子どもの医療費を中学校卒業まで無料にする」、子ども1人あたり3万3000円という「子ども分の国民健康保険料は免除」、「返さなくてもいい奨学金制度」などについて紹介。奨学金の公約では、「これで大学に進学できる」「読みたい本が買える」と大評判となっており、福山市長で実現をと訴えました。

 「すぐやるパッケージ」は、市の年間予算1%である80億円でできると指摘。討論会で現職市長が「200億円足りない」と語り、福山候補が「市の財政当局に確認している」と計算根拠をただすと、現職市長は「またあらためて」と答えず、いまだに根拠を示していないとのべて、「このやりとりではっきりしたことがあります。京都市政にないのはお金ではありません。やる気ではないでしょうか。やる気のある人に代わってもらおうではありませんか」「いくらかかるかわからないリニアや北陸新幹線(延伸)に使うカネがあったら、市民の福祉とくらしに使うべきです」と訴えました。

街頭演説に声援

 志位氏は、京都のまちを守ることも大争点だと指摘。安倍政権が「インバウンド」(訪日外国人)を増やせ、ホテルを建てろと大号令をかけ、真っ先にこたえたのが京都市だと批判しました。

 南禅寺や名勝・無鄰菴(むりんあん)、老舗料亭「瓢亭」のある地域や、世界遺産・仁和寺の門前での大型ホテル計画で景観が壊されると批判し、「福山さんの勝利で、京都の景観を守れ、世界遺産を守れの声をあげよう」と呼びかけました。

 これまで市内乗り入れの高速道路、大文字山へのゴルフ場など、京都こわしの建設計画が持ち上がった際、「それを許さなかったのは、京都を愛する市民の運動でした。今度は、福山和人さんで、世界に誇る歴史文化都市を未来に引き継ごう」と訴えました。

 現職市長陣営が、福山候補が勝てば「市庁舎に赤旗が立つ」と攻撃していることについて、「半世紀前と少しも進歩がありません」と批判。共産党が与党の全国63自治体で赤旗が立っているところは一つもないとして、「建ったのは、保育園であり介護施設です」と紹介。市長選は国政にも大きな影響を与えるとして、「桜を見る会」疑惑にこたえない安倍首相の姿勢を批判し、「野党共闘で徹底追及し、総辞職においこみます。福山和人さんで日本の政治に『福』を呼ぶ勝利を勝ち取ろう」と訴えると、大きな拍手と声援が響きました。

 れいわの山本氏は、「素晴らしい候補がいることを知ってもらうために京都に来た」と訴え。市民生活が困窮しているとして「京都を変えるには京都の市民の力が必要。あなたの力を貸してほしい」と強調し、福山候補の「すぐやるパッケージ」を紹介。中小企業が相次いで休廃業し、非正規雇用率は政令市でワースト1位だとして「これを変えるには、政治で変えるしかない。だから福山さんを市長にするしかない。福山さんの政策にはあなたが、京都が底上げされるメニューであふれている」と訴えました。

 市民連合の山口氏は「日本の民主政治を立て直す大仕事を京都から始めていただきたい」と訴えました。

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