米軍の駐留していたアフガン・バグラム空軍基地、中国の手に?
アフガン駐留米軍最大の基地「象徴性」
中国、影響力拡大…「米国の失敗」浮き彫り狙う
アフガニスタン駐留米軍の最大基地であり、作戦運用の心臓部だったバグラム空軍基地が、中国の手に渡る可能性があるという指摘が相次いでいる。現実となれば、激化する米中の戦略競争の中で「米国の失敗」を浮き彫りにする象徴となるという評価が出ている。
8日の「USニューズ&ワールド・レポート」(以下、「USニューズ」)の報道を総合すると、中国軍当局は今後の「一帯一路(陸・海上シルクロード)」事業に沿った海外投資計画と関連して、バグラム基地に労働者や兵力、支援人員などを派遣する問題について、妥当性の検討作業を行っている。
首都カブールから北に約45キロ離れたバグラム基地は、この20年間にわたってアフガン駐留米軍の最大の基地だった。1979年からアフガンとの10年戦争を繰り広げた旧ソ連軍もバグラム基地を根拠地としていた。米軍は撤退を控えた7月2日、同基地の指揮権をアフガン政府軍に渡しており、先月15日のアフガン軍の降伏でタリバンの手に渡った。
USニューズは内部消息筋の話として「中国のバグラム基地進出が迫っているわけではなく、現実のものとなっても最大で2年あまりかかるだろう」とし「また基地を丸ごと掌握するというよりは、タリバン政権の招請に沿って必要な人員や装備などを送るかたちを取るだろう」と伝えた。またUSニューズは「過去の経験に照らすと、中国は米国がバグラム基地に残していったものを喜んで手に入れようとするだろう」とし「バグラム基地進出を通じて中国は、域内への影響力拡大のための拠点を手にするだけでなく、国際社会において米国の地位に決定的な打撃を与えうる」と指摘した。
中国のバグラム基地掌握を初めて警告したのは、米国のニッキー・ヘイリー元国連大使だ。ヘイリー元大使は1日のFOXニュースとのインタビューで「バグラム基地に関する中国の動きを注意深く観察する必要がある」とし「中国はアフガンにおいて、パキスタンと協力してインドに対する攻勢の水準を高める可能性が大きい」と主張している。続いてインドメディア「パイオニア」が6日に「タリバンは、米軍が使用していたバグラム空軍基地は中国に、カンダハル基地はパキスタンに渡す可能性がある」と伝え、波紋が広がった。
同メディアは内部消息筋の話として「パキスタン空軍所属の航空技術陣がカンダハル、バグラム、カブールなどの5つの空軍基地の点検を行っている」とし「中国もタリバンの高官と接触し、バグラム空軍基地の使用問題を含む様々な安保問題について論議した」と伝えた。そして「米国がアフガンに放置していった各種の航空機とヘリコプターは200機あまりに達する」とし「タリバンが中国やパキスタンと協力することになれば、米軍が残していった軍事装備が中国側に渡る可能性があり、中国はこれを分解し、組み立てることによって、自国の国防技術の向上に利用しうる」と警告した。
中国外交部の汪文斌報道官は前日の定例会見で、この問題についての問いに対し、「フェイクニュースにすぎない」と一蹴した。