「朝鮮半島『終戦宣言』のために、国際社会が力を集めてくれるようもう一度お願いしたい」と述べ、「南北米の3者、または南北米中の4者が集まり、朝鮮半島での戦争が終わったことを共に宣言することを提案

2021-09-24 08:12:05 | アメリカの対応

文大統領が「4者終戦宣言」を再び持ち出した理由は

登録:2021-09-23 07:05 修正:2021-09-23 07:40
 
最後の国連演説で繰り返し提案 
「3者または4者」と宣言の主体を明示 
実現性は低くても、重要性を刻む
 
 
文在寅大統領が21日(現地時間)、米国ニューヨークの国連総会会場で基調演説を行っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、今任期中最後となる国連演説で「終戦宣言」を朝鮮半島の平和の扉を開くキーワードとして繰り返し提示した。最後まで朝鮮半島平和プロセスを止めないという意向を示したわけだ。ただし、米中対決の局面が続き、南北関係も凍りついているため、実現性は高くないと見られる。

 文大統領は21日(現地時間)、ニューヨークの国連本部で開かれた第76回国連総会の高官級会議での基調演説で「朝鮮半島『終戦宣言』のために、国際社会が力を集めてくれるようもう一度お願いしたい」と述べ、「南北米の3者、または南北米中の4者が集まり、朝鮮半島での戦争が終わったことを共に宣言することを提案する」と語った。

 文大統領は「終戦宣言こそ、朝鮮半島における『和解と協力』の新しい秩序を作る重要な出発点になるだろう」と述べ、「朝鮮戦争の当事国が集まって『終戦宣言』を成し遂げる時、非核化の不可逆的な進展とあわせ、完全な平和を始めることができると信じている」と説明した。韓国、北朝鮮、米国、中国は朝鮮戦争の当事国であり、北朝鮮、米国、中国は停戦協定の署名国だ。

 文大統領が国連総会演説で「終戦宣言」を直接取り上げ提案したのは、今回を含めて3回目だ。文大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との最初の首脳会談(4・27板門店首脳会談)直後の2018年9月、国連総会演説で「非核化のための果敢な措置が関連国の間で実行され、終戦宣言につながることを期待する」と述べ、昨年9月のオンラインでの国連総会演説でも「『終戦宣言』こそ、朝鮮半島での非核化とともに『恒久的な平和体制』への道を開く扉になるだろう」と主張した。「不可逆的な朝鮮半島非核化と平和の呼び水」として「終戦宣言」が必須だというのは、文大統領の持論だ。

 しかし、任期中に「終戦宣言」が実現する可能性は極めて低い。南北はもちろん朝米関係は、2019年2月のハノイでの第2回朝米首脳会談の決裂後、長い膠着状態から抜け出せずにいる。

 文大統領がそれでも「終戦宣言」という話題を再び持ち出した理由を、多方面から探る必要がある。

 まず、文大統領は来年3月9日の大統領選挙まで5カ月ほど残っているが、最後まで首脳外交を中心とするトップダウン方式の情勢突破を止めないという意向を表現したものだとみられる。実現性の有無から離れ、北朝鮮、米国、中国の3国と国際社会に「朝鮮半島の恒久的かつ完全な平和」へと進む飛び石として「終戦宣言」の重要性を刻印しようとする戦略的な意図だと解釈することもできる。文大統領は「韓国は、朝鮮半島に恒久的かつ完全な平和が確実に根付くよう全力を尽くす」と強調した。

 これとは異なる次元で、文大統領が今回、「南北米の3者または南北米中の4者」と終戦宣言の主体を改めて明示したことに注目する必要がある。表面だけを見るならば、これは2018年の4・27板門店宣言の第3条3項「南北米の3者または南北米中の4者」の再確認だ。しかし、文大統領は、2018年と2020年の国連総会演説の際には、終戦宣言の主体は具体的には明らかにしなかった事実に留意しなければならない。

 2018年の3回の南北首脳会談と2018、2019年の2回の朝米首脳会談、2019年6月30日の史上初の南北米首脳による板門店会合など、過去数年間の朝鮮半島情勢の巨大な転換が「南北米3者」を中心になされたため、文在寅政権は「3者」より「4者」の終戦宣言に力を入れてきた。文大統領が今回、「南北米中の4者」による「終戦宣言」方式を再び持ち出したのは、中国の役割を期待するという外交的なシグナルだと読みとれる。

 表立っては強調しなかったが、「中国の積極的な役割」と韓中協力への努力をこれまで以上に強化し、朝鮮半島情勢の突破への新たな動力にするという「戦略調整」を念頭に置いた言及であるのかもしれない。平昌(ピョンチャン)冬季五輪が2018年の首脳外交の舞台を作ったように、来年2月の北京冬季五輪は新しい舞台になり得る。

 しかし、見通しは明るくない。南北首脳が4・27板門店宣言で合意し、朝米首脳が「6・12シンガポール共同声明」で「(4・27)板門店宣言の再確認」を確約しても「終戦宣言」が実現していない理由は、根本的には朝米間の不信の増大と米国の消極的な態度にあるからだ。

 米国は「終戦宣言」に公の場で反対した事実はない。米国のジョー・バイデン大統領は21日(現地時間)の国連総会演説で、イランの核合意復帰を促し、「これに似た形で、我々は朝鮮半島の完全な非核化を追求するために、真剣かつ持続的な外交を模索する」とし、「朝鮮半島と域内の安定を増進し、北朝鮮の住民の生活を改善する実質的な約束とあわせ、可能な計画に向けた具体的な進展を追求する」と述べた。

 しかし、米国はどのような種類の「終戦宣言」でも覇権戦略の中心的な軍事手段である在韓米軍駐留の名分を損なう可能性があるという判断により、「終戦宣言」の推進には積極的でない。

 北朝鮮側もハノイでの朝米首脳会談の決裂後は「終戦宣言」の必要性を公の場で提起したことはない。しかし、4・27板門店宣言が雄弁に語るように、終戦宣言に対する北朝鮮の態度は友好的だ。「終戦宣言は、朝鮮半島での恒久的かつ強固な平和体制の構築の最初の工程」(2018年9月4日、北朝鮮外務省軍縮および平和研究所長)だということだ。

 結局、カギは米国の態度だ。政府高官は22日、「北朝鮮の反応が重要」だと述べたが、外交安全保障分野の重鎮は「終戦宣言のカギは米国が握っていると言っても過言ではない」と指摘した。

イ・ジェフン先任記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする