[社説]「戦争のできる国」へと向かう日本、
歴史の教訓を忘れてはならない
日本政府は北朝鮮や中国などのミサイル基地を直に攻撃する「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を保有することを16日に決定し、事実上「戦争のできる国」へと変貌した。戦後70年あまりにわたって維持してきた専守防衛(攻撃を受けた時にのみ防衛力を行使すること)の原則を揺るがすもので、5年後には国防予算において日本が米国と中国に次いで世界3位の軍事大国となる。東アジアの軍拡競争をさらに激化させ、緊張を高めるなど、大きな影響を及ぼすことが懸念される。
日本政府がこの日閣議決定した「国家安保戦略」には、「反撃能力」という表現で敵基地攻撃能力が明示されている。日本政府は攻撃能力を強化するため、1000キロ以上の射程を持つ長距離巡航ミサイルなどを1000発以上確保する予定だ。それに向けて、5年後までに防衛費を現在の2倍にすることを決めた。日本の軍備強化は、中国の浮上による国際秩序の変化や北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対応を大義名分にしている。日本の市民社会が「戦争できる国に変わるなど、現行の平和憲法では認められない内容」だと批判の声を強めているにもかかわらず、高まる安保に対する懸念に埋もれており残念だ。
今年相次いで弾道ミサイルを発射している北朝鮮はこの日も、固体燃料を使用した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発のためのエンジン試験に成功したことを公開した。北朝鮮は140tf(140トンの重量を押し上げる推力)規模のロケットエンジンの地上噴射試験に前日成功し、これを現場で指導した金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「もうひとつの新型戦略兵器の最短期間内の出現を期待する」と述べたことを同日公開した。ICBMに固体燃料を使用した場合、事前に発射を探知することは難しいため、韓国のキルチェーンなどが無力化する恐れが高い。
北朝鮮の核・ミサイル能力の強化と日本の軍事力強化が影響し合っていることは、緊張の高まりと軍拡競争の悪循環の深い沼に陥っている朝鮮半島周辺の現実を象徴的に示している。北朝鮮は中国、ロシアとの関係強化をもとに核・ミサイル能力を強化し続けるという戦略で疾走しており、韓米は拡大抑止の強化、韓米日軍事協力の強化で対抗している。このような構図の中で、日本の軍事力強化と敵基地攻撃能力の推進には拍車がかかっている。日本は安保に対する懸念ばかりを強調する前に、侵略と植民地支配にさらされた韓国をはじめとする周辺諸国の憂慮を直視し、歴史をきちんと反省すべきだ。この日、日本が国家安保戦略でまたしても「独島(ドクト)領有権」を主張したことは実に嘆かわしい。