警察はその年の8月4~5日、警察特攻隊と機動隊などを工場に投入し、催涙液とテーザーガン、ヘリやクレーンなどを動員してストライキを強制鎮圧した。

2022-12-02 09:13:47 | 韓国を知ろう

双龍自動車の労働者、

「損害賠償の足かせ」13年目にして解かれた=韓国

登録:2022-12-01 10:12 修正:2022-12-01 11:52
 
 
双龍自動車の国家損害賠償および国家暴力被害当事者らが11月30日午前、ソウル西大門区警察庁前でトラウマ診断書提出と損害賠償訴訟の取り下げを求める記者会見を行っている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 13年間にわたり双龍自動車ストライキ労働者を締め付けてきた警察の損害賠償請求訴訟で、最高裁(大法院)が6年5カ月目にして労働者側に軍配を上げた。警察のヘリコプターを利用した催涙液散布など、生命・安全を脅かす水準の過剰鎮圧に対抗する過程で起きた労組の不法行為は、正当防衛に当たるということだ。

 最高裁1部(主審ノ・テアク最高裁判事)は30日、警察が2009年に双龍自動車ストライキ鎮圧の過程で被った損害の賠償を要求し、金属労組双龍車支部と双龍自動車の労働者などを相手に起こした損害賠償請求訴訟で、「正当防衛の成立と損害賠償責任を改めて判断せよ」とし、事件をソウル高裁に差し戻した。

 最高裁は、警察の損害賠償請求額の大部分を占めたヘリとクレーンの修理費用に対して、労組の賠償責任を認めた控訴審の判断が誤りだとみなした。控訴審は、スト鎮圧のための警察によるヘリとクレーンの使用は正当だったという前提のもと、警察の一部過失などだけを反映し、労組に11億2891万ウォン(約1億1600万円)を賠償するよう判断した。裁判が長びいたことで賠償遅延にともなう利子が付き、最高裁判決時点の賠償額は30億ウォン(約3億円)あまりに増えた。

 この日最高裁は、「不法座り込みの鎮圧方法やどのような装備を使うかは警察の裁量範囲にあるが、法令で定めた通常の用法とは異なり、装備を使って生命と身体に危害を加えたとすれば、警察の職務遂行は違法だとみなければならない」との前提で「生命・身体への危害を免れるために組合員が直接対抗する過程で警察の装備を損傷させたとしたら、これは正当防衛に該当する」と判断した。クレーンの損傷の責任についても「警察が高価なクレーンを利用して障害物を壊すなど用法を外れた方法で使用した。また、鎮圧作戦の過程で組合員の攻撃を積極的に誘導もした」として、労働者側に80%の賠償責任を負わせた控訴審判断は行き過ぎだとみなした。

 双龍自動車の労働者たちは、全人員の37%減員という会社の大規模な整理解雇案に反発し、2009年5月、工場を占拠するストライキに突入した。会社と双龍車支部の交渉が決裂すると、警察はその年の8月4~5日、警察特攻隊と機動隊などを工場に投入し、催涙液とテーザーガン、ヘリやクレーンなどを動員してストライキを強制鎮圧した。警察の投入でストライキは77日目の8月6日に終了した。その後、警察は鎮圧の過程で装備が破損し警察官が負傷したとし、労働者を相手に巨額の損害賠償請求訴訟を起こした。

 この日の判決後、金属労組双龍車支部は最高裁判所前で記者会見を行い、「国家は被害者ではなく加害者だった。労働者のストライキに損害賠償仮差押えで報復する行為はなくさなければならない」と述べた。2019年に双龍車スト過剰鎮圧に対し謝罪しながらも、結局訴訟を取り下げなかった警察庁は「判決文を受けて分析した後、今後の対応方向を決める」と述べた。

シン・ミンジョン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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