韓国人被爆者を支援している「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の中谷悦子広島支部長は「G7首脳が原爆の惨状を知るために朝鮮半島出身の被爆者に会うことは、ごく当然のことです。

2023-05-07 20:16:25 | 韓国を知ろう
 

「広島訪問のG7首脳、朝鮮人被爆者の声を聞いてください」

登録:2023-05-04 08:21 修正:2023-05-05 05:47
 
[現場]「G7サミット」広島に行く 
米国・日本が謝罪したことはない
 
 
広島の平和記念公園の近くにある「原爆ドーム」。1915年に物産陳列館として建てられたこの建物は、原爆の惨禍と平和を訴える象徴として保存され、1996年にユネスコの世界遺産に登録された=広島/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 先月26日に訪問した広島市中区の「広島平和記念資料館」には、団体で見学に来た日本の中高生と外国人観光客で足の踏み場がなかった。ここを訪問すると、今から78年前の1945年8月6日午前8時15分、米国が人類史上初めて使用した原子爆弾「リトルボーイ」の惨状を示す展示物に会うことができる。重い気持ちで入場者の後を追った。

 人類が原爆投下を通じて犯した惨状を示す広島が、ふたたび世界の人々の関心を集めることになったのは、19~21日にここで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が予定されているためだ。広島は岸田文雄首相の選挙区に当たる場所で、日本政府は、G7首脳の資料館見学はもちろん、被爆者たちとの直接の面会を推進している。米国のバラク・オバマ大統領(当時)は7年前の2016年5月にここを訪問し、演説後に被爆者たちと非公式の短い面会の場を設けたことがある。ジョー・バイデン大統領が被爆者たちと別途面談の場を設け対話するのであれば、原爆を落とした米国大統領と被爆者の間の事実上初となる公式の面会となる。

 だが、広島で被爆した人たちのなかには、日本人だけがいたのだろうか。複雑な気持ちを抱いて首脳らが訪問する資料館を調べている間、「故郷を離れた土地で」という展示物に視線が止まった。「足を怪我した朝鮮の女性」と題した図の下に書かれた説明に注目が向いた。「原爆は国籍や民族の区別なしにすべての人々を襲った。当時広島には、朝鮮半島から来た多くの人々をはじめ、台湾や中国大陸から来た人々や日系アメリカ人たちが住んでいた。そのなかには、徴兵や徴用された人々も含まれている」

 
 
2019年4月に広島平和記念資料館は改装され「故郷を離れた土地で」という展示物が追加された。朝鮮人を含む他国の被爆者を伝える展示だが、日本の植民地支配など「加害者の省察」を入れた内容は抜けている=広島/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 すぐそばの展示物には、「韓国原爆被害者協会」の郭貴勲(クァク・ギフン)名誉会長(1924~2022)の写真と被爆の事実が簡単に記されていた。「朝鮮での徴兵実施に伴い1944年(昭和19年)9月、広島の部隊に配属されました。郭さんは爆心地から約2000メートルの地点で服務中に被爆して頭や背中にひどい火傷とけがを負いました」。韓国で生活していた郭会長は、被爆者は日本から他国に移住したとしても「被爆者はどこにいても被爆者」だと主張し、日本政府は同じように手当などを支給しなければならないと激しい法廷闘争を行い、最終的に勝訴に導いた人物だ。

 被爆という惨状を体験した人々は日本人だけではないというこの展示物は、2019年4月に資料館を改装して追加された内容だ。以前より一歩前進したことは事実だが、なぜ多くの朝鮮人・韓国人が広島で被爆しなければならなかったのかに対する説明が抜けている。日本の朝鮮に対する植民地支配やアジア侵略などの歴史的な真実と向きあい反省し省察しようとするそぶりは見いだせなかった。

 こうした日本の現実と共に生きてきた被爆者1世たちは、複雑で息苦しいという気持ちを隠さなかった。広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖(キム・ジンホ)会長(78)は「なぜ、朝鮮人が日本で米軍が投下した核爆弾の被害者にならなければならなかったのか。朝鮮が日本の植民地でなければ、こうしたみじめな結果にはならなかっただろう」と語った。「にもかかわらず、日本と米国は朝鮮人被爆者に謝罪したことはない。資料館の展示にはそのような内容は一つも入っていない」。金会長はさらに、展示されている郭会長の判決も履行されずにいることを指摘した。日本と現在も国交が結ばれていない状態にある北朝鮮が存在するためだ。金会長は「北朝鮮の被爆者は、(日本と)国交正常化されていないという理由で、これまで何の支援も受けられずにいる。反人権的な処置」だと述べた。

 
 
左から、韓国民団広島本部「原爆被害者対策特別委員会」権俊五副委員長、「広島県朝鮮人被爆者協議会」金鎮湖会長、「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」中谷悦子広島支部長=広島/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島は世界で日本の次に被爆者が多いところだ。韓国側は、1945年8月当時広島に住んでいた朝鮮人約8万人のうち5万人ほどが被爆にあい、そのうち3万人が死亡したと推算している。だが、正確な被害規模は現在も不明で、論議が続いている。資料消失などによって実態を把握できないためだ。広島市は、日本人被爆者の犠牲者数が約14万人で、うち朝鮮半島出身の死亡者は5000~8000人だと推計している。米国のオバマ大統領も過去の訪問で朝鮮人被害者に言及し、「数千名の朝鮮人」と表現した。それによって、朝鮮半島出身被爆者が大きな傷を負った。

 
 
広島・長崎の朝鮮半島の原爆死亡者。広島は韓国側推定で約3万人、日本側推定で5000~8000人。長崎は韓国側推定で約1万人、日本側推定で1500~2000人//ハンギョレ新聞社

 解放(日本の敗戦)後、故郷に戻れず広島に残った朝鮮人は、朝鮮人に対する「差別」と被爆者という「烙印」に加え、壮絶な「貧困」という三重苦のなか、痛恨の年月を耐えなければならなかった。被爆によって原因不明の病気に苦しむ被爆者も多かった。被爆者2世で在日本大韓民国民団広島本部「原爆被害者対策特別委員会」の権俊五(クォン・ジュノ)副委員長は、「日本が起こした戦争とはまったく関係ない朝鮮半島出身の数万人が原爆被害にあったという事実を絶対に忘れてはならない。G7首脳にもそうした事実を伝えたい」と述べた。だが、権氏は、韓国人被害者には「機会は来ないだろう」として、苦々しいと語った。「朝鮮半島出身の被爆者は、日本にとって、被害者であり加害者である二重性を示させる存在です。日本政府は(19日の面会に)参加させないでしょう」。これは、過去の経験を通じて学んだ現実でもある。オバマ大統領が広島を訪問した時も、日本人だけでなく韓国人被爆者も会わせるようにしてほしいと何度も要請したが、受けいれられなかった。

 
 
広島平和記念公園にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」。韓国人被爆者と在日本大韓民国民団を中心に1970年に作られた慰霊碑は、広島市の反対で当初は公園の外に建てられ、1999年5月に現在の位置に移された=広島/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 今回のG7サミットには尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も招待された。韓国大統領の広島訪問は今回が初めてだ。尹大統領が韓日関係の中心的な懸案である強制動員被害者の賠償問題で一方的な譲歩案を提示したなか、G7サミットでも韓国人被爆者問題が排除される場合、韓日関係改善に冷や水を浴びせかねない。広島で会った人々は、7~8日にソウルで予定されている韓日首脳会談で尹大統領が「韓国人被爆者」問題を岸田首相に伝える必要があると語った。

 韓国人被爆者を支援している「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の中谷悦子広島支部長は「G7首脳が原爆の惨状を知るために朝鮮半島出身の被爆者に会うことは、ごく当然のことです。これらの人々をいない人として扱ってはなりません」と述べた。中谷氏はさらに一歩踏みだし、広島で韓国と日本の首脳が会い、被爆者問題について議論することを望むと訴えた。「ふたたびこのような歴史が繰り返されないためには、日本の直接謝罪がなければなりません。韓国と日本がともに朝鮮半島出身被爆者の実態を適切に把握することも緊急の課題です」

広島/キム・ソヨン特派員

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広島・長崎、朝鮮人被爆者が多かった理由は

 広島と長崎に朝鮮人被爆者が多かった理由は、両都市が日本の代表的な軍需都市だったためだ。

 「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会」が2010年に出した報告書「広島・長崎朝鮮人原爆被害に対する実情調査」によると、広島の朝鮮人人口は、1930年の7189人から1945年には8万4886人にまで増加した。長崎も同期間に4944人から6万1773人に増えた。

 日本は、1931年9月の満州事変と1937年7月の日中戦争の15年にわたる戦争の泥沼に陥った。その直後の1938年に国家総動員体制が構築され、翌年から本格的に朝鮮人強制動員が始まった。最終的に、1945年8月6日に広島、8月9日に長崎に原子爆弾が投下され、朝鮮人はそれぞれ3万人と1万人が死亡したと推定されている。

 米国は日本を降伏させるため、それまでは爆撃の被害をさほど受けていなかった軍需都市を原爆投下の対象にした。日本海軍の中心地だった広島には、三菱重工業広島造船所、東洋工業株式会社、広島港運株式会社などがあり、長崎には三菱長崎造船所などがあった。米軍が最終的に標的とした都市は広島・小倉・新潟・長崎だった。

広島/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「核兵器禁止条約に参加する日本を、核兵器のない世界をいま実現せよ。このメッセージを世界に発信し続けよう」と語りかけました。

2023-05-07 11:14:45 | 世界平和を実現するために

核兵器の廃絶実現いまこそ

国民平和大行進が出発

東京で集会

写真

(写真)核兵器廃絶、戦争のない世界の実現をめざして広島にむけて行進する人たち=6日、東京都江東区

 2023年原水爆禁止国民平和大行進の東京→広島コースの出発集会が6日、東京都江東区の夢の島で開かれ、被爆者ら450人が参加し、核兵器禁止・廃絶を求めアピールしながら歩き始めました。

 出発集会の主催者あいさつで、原水爆禁止世界大会実行委員会運営委員会の高草木博共同代表は、核大国間の、力対力、核兵器対核兵器の対立では平和と安全はつくれないどころか、これが危機の元凶だと批判。「核兵器禁止条約に参加する日本を、核兵器のない世界をいま実現せよ。このメッセージを世界に発信し続けよう」と語りかけました。

 連帯あいさつした第五福竜丸平和協会の奥山修平代表理事は「原水爆による被爆者は私を最後にしてください」と語った第五福竜丸の船員・久保山愛吉さんの願いを受け継ごうと呼びかけました。

 日本原水爆被害者団体協議会の家島昌志代表理事は「核兵器は人類と共存できない。国民の声として原爆、核兵器が許されないことを訴えていこう」と語りました。

 4年ぶりに再開した通し行進では、東京→広島コースを歩く被爆2世の村上厚子さんが「4年前に歩くはずでした。出会いを楽しみに広島まで歩き通したい」と語りました。

 フィリピンから来た国際青年リレー行進者があいさつしました。

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ここ数年は、北京、上海、杭州、重慶など40を超える省・市で関連の管理規定や実施細則が打ち出された。公道テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで

2023-05-07 10:31:35 | 中国を知らなければ世界はわからない

【中国キーワード】

中国は無人運転時代に突入 

他を一気に抜き世界トップクラスへ

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2022年08月15日10:02
 

                                                無人運転がまもなく現実のものになる。

重慶市と武漢市の地方政府当局がこのほど、全国に先駆けて自動運転の完全無人化による商用化テスト政策を打ち出すとともに、百度(バイドゥ)に全国初の無人化試行営業許可証を発行し、安全員が乗車していない自動運転車両が公道で商用化サービスを展開することを認可した。この政策が実施されたことで、重慶と武漢の居住者は全国で初めて無人運転による移動サービスを利用できるようになった。

ここ数年の間に、無人運転は一歩ずつ前進し、中国は後発組ながら世界のトップクラス入りを果たした。

重慶市永川区と武漢経済技術開発区で完全無人自動運転

百度は重慶と武漢の両地方政府が発行した完全無人自動運転営業許可証を取得した。

現在、百度の無人運転車両の営業範囲はまだ両市の全ての公道をカバーしていない。百度の関係者が8日に述べたところでは、「重慶市永川区と武漢経済技術開発区で、百度の完全無人運転移動サービスを体験できる。百度の自動運転移動サービスプラットフォーム『蘿蔔快跑』は両エリアで、安全員が乗車していない車両による自動運転の有料移動サービスをすでに提供している。現在、投入されている車両はARCFOX社の第5世代『Apollo Moon(アポロ・ムーン)』で、今後さらに台数を増やす予定であり、他の車種を増やすことも検討している」という。

コストが大幅低下

自動運転産業全体を見ると、2020年7月に文遠知行(WeRide)が無人運転タクシー(ロボタクシー)のテスト許可証を取得して、広州市で無人運転テストを開始し、22年初めに無人運転ミニバスの乗客を乗せた営業をスタートした。同年7月20日には百度が北京市の無人化移動サービス商用化テストの許可証を取得し、「運転席が無人」という新たな段階に突入し、8月8日に全国初の完全無人運転営業許可証を取得した。この2つの許可証は、中国で初めての完全に無人化した自動運転の営業許可証でもある。

易観分析の自動車交通産業研究総監の劉影氏によると、「商用化という視点に立てば、車内に安全員のいない無人運転は、自動運転のコスト上の優位性をよりよく発揮できるものと言える。従来のタクシーは1キロメートル走行すると大体1.89元(1元は約19.8円)のコストがかかり、安全員のいるロボタクシーの同コストは約2.2元だが、安全員のいないロボタクシーならわずか0.82元で済む。ロボタクシーは従来のタクシーの43%までコストが下がり、従来のタクシーや安全員のいるロボタクシーより大幅なコストカットになる」という。

無人運転の安全性はどうか?

自動運転が完全無人化を実現すると聞くと非常に素晴らしく聞こえるが、安全性はどうやって保障されるのだろうか。

SNSでは、ユーザーから「(ロボ)タクシーに乗ると、自分で運転できるのか?」との質問が投げかけられた。これについて百度の関係者は次のように答えた。「もしも車内の乗客がハンドルを持ち去るなど悪意ある行動を取ろうとした場合、プログラムは乗客が運転席に侵入したことを自動的に検知し、侵入行為であると判断すれば、車両を道路の端に強制的に停車させる。車両が突然停止するなどの緊急事態が発生すれば、百度アポロプラットフォームが『5Gクラウド運転代行』技術により迅速にクラウド端末を通じて車両の管理を引き継ぎ、車両の安全を保障する。こうした管理の引き継ぎはシステムの自動検知を通じて行われる。乗客が『5Gクラウド運転代行』のボタンを押して操作することも可能だ」。

同関係者によると、「重慶と武漢の両政府の要求を踏まえ、完全無人化営業を展開するには、テスト、モデル応用、無人化テスト、さらに車両全体の無人化営業の各プロセスの要求を遵守しなければならない。百度の第5世代ロボタクシーの場合、無人化営業を申請するには、1台あたりの走行距離が累計数千キロメートルに到達していなければならない。その上、一定量のニーズがあり、さらに有責事故が発生しないなどの条件を満たして初めて申請を提出することができる」という。

相次いで打ち出される産業支援政策

ここ数年、中央政府は一連の支援政策を相次いで打ち出し、無人運転技術の進歩と商用化の実現を後押ししてきた。

20年2月、国家発展改革委員会、工業・情報化部(省)など11の部・委員会が共同で通達した「スマートカーイノベーション発展戦略」は、ハイレベルの自動運転の発展を加速させることを打ち出した。

今年8月3日には、自然資源部が「スマートコネクテッドカーの高精度地図応用テスト関連業務の着実な実施に関する通知」を通達し、北京、上海、広州、深セン、杭州、重慶の各市でスマートコネクテッドカーの高精度地図の応用テストを展開し、さまざまなタイプの地図が自動運転向けに多様なルート検索の応用を提供するよう支援した。同8日には、交通運輸部が「自動運転車両による輸送の安全なサービスの手引き(試行版)」を発表し、社会から広く意見を募集した。

産業の発展の可能性は巨大

現在、中国のスマートコネクテッドカー産業は急速に発展している。情報によれば、中国国内には自動運転テスト用に開放された道路が5千キロメートル以上あり、全国の多くの都市が自動運転の信号情報を開放している。北京、上海、杭州、深センといった一線都市だけでなく、重慶や長沙など40を超える省・市で自動運転関連の管理規定や実施細則が打ち出され、道路テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで、さまざまな段階にわたり積極的な探求を続けている。

関連機関の予測では、30年までに、中国の自動車の50%が自動運転を実現し、世界の自動運転レベル4-5の車両は8千万台前後に達し、30年の中国自動運転車サービス市場の規模は1兆3千億元に達するという。この産業には非常に大きな発展の可能性があるということだ。

中米の比較 中国は公道テスト実現をさまざまな角度から保証

実際、世界各国がこぞって自動運転分野で追いつ追われつの競争を展開している。今回、重慶と武漢で車内に安全員がいない自動運転の商用化試行営業サービスが正式にスタートしたことは、中国の科学技術イノベーションと科学技術政策の開放レベルが世界のトップクラスに達したことを示している。

中国は6年間で10件を超える国家級の政策を相次いで発表し、デジタル交通、インフラ建設、スマートコネクテッドカーの発展、スマートコネクテッドの標準などさまざまな角度から自動運転の全方位的な発展を保証してきた。ここ数年は、北京、上海、杭州、重慶など40を超える省・市で関連の管理規定や実施細則が打ち出された。公道テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで、さまざまな段階にわたり積極的な探求が続けられている。

同じ6年の間に、米国は5件の国家級政策を相次いで打ち出し、主に自動運転関連の法律を制定することで商用化を推進してきた。標準には革新的な点が多いため、関連の実施細則はまだ十分ではない。たとえば、22年6月にゼネラルモーターズ傘下のクルーズが初めてカリフォルニア州サンフランシスコで完全無人化自動運転タクシーの有料営業を許可された企業になったものの、その車両は市の中心部を走ることができないばかりか、営業時間が夜の10時から朝の6時までの間に限られていた。

ここからわかるのは、中国では道路関与者とその複雑さが米国の何倍にも達し、公道での自動運転テストをさまざまな角度から保証し、実現させているということだ。(人民網日本語版論説員)

>>>丸わかり!中国キーワード

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ここ数年は、北京、上海、杭州、重慶など40を超える省・市で関連の管理規定や実施細則が打ち出された。公道テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで

2023-05-07 10:31:35 | 中国を知らなければ世界はわからない

【中国キーワード】

中国は無人運転時代に突入 

他を一気に抜き世界トップクラスへ

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2022年08月15日10:02
 

                                                無人運転がまもなく現実のものになる。

重慶市と武漢市の地方政府当局がこのほど、全国に先駆けて自動運転の完全無人化による商用化テスト政策を打ち出すとともに、百度(バイドゥ)に全国初の無人化試行営業許可証を発行し、安全員が乗車していない自動運転車両が公道で商用化サービスを展開することを認可した。この政策が実施されたことで、重慶と武漢の居住者は全国で初めて無人運転による移動サービスを利用できるようになった。

ここ数年の間に、無人運転は一歩ずつ前進し、中国は後発組ながら世界のトップクラス入りを果たした。

重慶市永川区と武漢経済技術開発区で完全無人自動運転

百度は重慶と武漢の両地方政府が発行した完全無人自動運転営業許可証を取得した。

現在、百度の無人運転車両の営業範囲はまだ両市の全ての公道をカバーしていない。百度の関係者が8日に述べたところでは、「重慶市永川区と武漢経済技術開発区で、百度の完全無人運転移動サービスを体験できる。百度の自動運転移動サービスプラットフォーム『蘿蔔快跑』は両エリアで、安全員が乗車していない車両による自動運転の有料移動サービスをすでに提供している。現在、投入されている車両はARCFOX社の第5世代『Apollo Moon(アポロ・ムーン)』で、今後さらに台数を増やす予定であり、他の車種を増やすことも検討している」という。

コストが大幅低下

自動運転産業全体を見ると、2020年7月に文遠知行(WeRide)が無人運転タクシー(ロボタクシー)のテスト許可証を取得して、広州市で無人運転テストを開始し、22年初めに無人運転ミニバスの乗客を乗せた営業をスタートした。同年7月20日には百度が北京市の無人化移動サービス商用化テストの許可証を取得し、「運転席が無人」という新たな段階に突入し、8月8日に全国初の完全無人運転営業許可証を取得した。この2つの許可証は、中国で初めての完全に無人化した自動運転の営業許可証でもある。

易観分析の自動車交通産業研究総監の劉影氏によると、「商用化という視点に立てば、車内に安全員のいない無人運転は、自動運転のコスト上の優位性をよりよく発揮できるものと言える。従来のタクシーは1キロメートル走行すると大体1.89元(1元は約19.8円)のコストがかかり、安全員のいるロボタクシーの同コストは約2.2元だが、安全員のいないロボタクシーならわずか0.82元で済む。ロボタクシーは従来のタクシーの43%までコストが下がり、従来のタクシーや安全員のいるロボタクシーより大幅なコストカットになる」という。

無人運転の安全性はどうか?

自動運転が完全無人化を実現すると聞くと非常に素晴らしく聞こえるが、安全性はどうやって保障されるのだろうか。

SNSでは、ユーザーから「(ロボ)タクシーに乗ると、自分で運転できるのか?」との質問が投げかけられた。これについて百度の関係者は次のように答えた。「もしも車内の乗客がハンドルを持ち去るなど悪意ある行動を取ろうとした場合、プログラムは乗客が運転席に侵入したことを自動的に検知し、侵入行為であると判断すれば、車両を道路の端に強制的に停車させる。車両が突然停止するなどの緊急事態が発生すれば、百度アポロプラットフォームが『5Gクラウド運転代行』技術により迅速にクラウド端末を通じて車両の管理を引き継ぎ、車両の安全を保障する。こうした管理の引き継ぎはシステムの自動検知を通じて行われる。乗客が『5Gクラウド運転代行』のボタンを押して操作することも可能だ」。

同関係者によると、「重慶と武漢の両政府の要求を踏まえ、完全無人化営業を展開するには、テスト、モデル応用、無人化テスト、さらに車両全体の無人化営業の各プロセスの要求を遵守しなければならない。百度の第5世代ロボタクシーの場合、無人化営業を申請するには、1台あたりの走行距離が累計数千キロメートルに到達していなければならない。その上、一定量のニーズがあり、さらに有責事故が発生しないなどの条件を満たして初めて申請を提出することができる」という。

相次いで打ち出される産業支援政策

ここ数年、中央政府は一連の支援政策を相次いで打ち出し、無人運転技術の進歩と商用化の実現を後押ししてきた。

20年2月、国家発展改革委員会、工業・情報化部(省)など11の部・委員会が共同で通達した「スマートカーイノベーション発展戦略」は、ハイレベルの自動運転の発展を加速させることを打ち出した。

今年8月3日には、自然資源部が「スマートコネクテッドカーの高精度地図応用テスト関連業務の着実な実施に関する通知」を通達し、北京、上海、広州、深セン、杭州、重慶の各市でスマートコネクテッドカーの高精度地図の応用テストを展開し、さまざまなタイプの地図が自動運転向けに多様なルート検索の応用を提供するよう支援した。同8日には、交通運輸部が「自動運転車両による輸送の安全なサービスの手引き(試行版)」を発表し、社会から広く意見を募集した。

産業の発展の可能性は巨大

現在、中国のスマートコネクテッドカー産業は急速に発展している。情報によれば、中国国内には自動運転テスト用に開放された道路が5千キロメートル以上あり、全国の多くの都市が自動運転の信号情報を開放している。北京、上海、杭州、深センといった一線都市だけでなく、重慶や長沙など40を超える省・市で自動運転関連の管理規定や実施細則が打ち出され、道路テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで、さまざまな段階にわたり積極的な探求を続けている。

関連機関の予測では、30年までに、中国の自動車の50%が自動運転を実現し、世界の自動運転レベル4-5の車両は8千万台前後に達し、30年の中国自動運転車サービス市場の規模は1兆3千億元に達するという。この産業には非常に大きな発展の可能性があるということだ。

中米の比較 中国は公道テスト実現をさまざまな角度から保証

実際、世界各国がこぞって自動運転分野で追いつ追われつの競争を展開している。今回、重慶と武漢で車内に安全員がいない自動運転の商用化試行営業サービスが正式にスタートしたことは、中国の科学技術イノベーションと科学技術政策の開放レベルが世界のトップクラスに達したことを示している。

中国は6年間で10件を超える国家級の政策を相次いで発表し、デジタル交通、インフラ建設、スマートコネクテッドカーの発展、スマートコネクテッドの標準などさまざまな角度から自動運転の全方位的な発展を保証してきた。ここ数年は、北京、上海、杭州、重慶など40を超える省・市で関連の管理規定や実施細則が打ち出された。公道テスト、人を乗せたテスト、試行営業から無人化まで、さまざまな段階にわたり積極的な探求が続けられている。

同じ6年の間に、米国は5件の国家級政策を相次いで打ち出し、主に自動運転関連の法律を制定することで商用化を推進してきた。標準には革新的な点が多いため、関連の実施細則はまだ十分ではない。たとえば、22年6月にゼネラルモーターズ傘下のクルーズが初めてカリフォルニア州サンフランシスコで完全無人化自動運転タクシーの有料営業を許可された企業になったものの、その車両は市の中心部を走ることができないばかりか、営業時間が夜の10時から朝の6時までの間に限られていた。

ここからわかるのは、中国では道路関与者とその複雑さが米国の何倍にも達し、公道での自動運転テストをさまざまな角度から保証し、実現させているということだ。(人民網日本語版論説員)

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