かいつぶりの日々

山林関係に強い不動産鑑定士「合同会社鳰不動産鑑定」のブログです
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不動産の鑑定評価・相談・コンサルティング

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【法改正】災害と法改正(宅地造成及び特定盛土等規制法)

2024年11月12日 | 改正
先週は商工会で災害をテーマに講演会を企画し、講師に不動産鑑定士の先生をお招きしました。
近年短い間隔で災害が起こってますが、我々自身が常に意識しておくべき事項を上記講演会で改めて確認しました。

不動産に関する法律ですが、昔から災害が起こるたびに法改正が進みます(特に建築基準法)

令和3年に起こった静岡の土砂崩れを機に、昨年令和5年の話ですが、宅地造成及び特定盛土等規制法 が改正され、法規制がさらに厳しくなりました。
宅建試験では宅造法として扱われてますね、

具体的には宅地造成規制区域が二種類に分かれ、宅地造成等工事規制区域と盛土規制区域となりました。
宅地造成工事規制区域はいわゆる「宅地部分」や今までのところ
盛土等規制区域はその他の宅地から離れた山の斜面等をイメージしてください。

法改正では
1盛り土の安全性の確保…地形、地質などに応じて災害防止のための許可基準を設定、具体的に擁壁の設置、地盤の締め固め、排水施設の設置といった内容。土地所有者はこれに同意しなくてはなりません、また、周辺住民への事前周知も要件となります
施工中は定期検査、中間検査、完了検査により安全基準への適合の確認が必要です。他方、盛土に限らず単なる土捨て行為や一時的な堆積も規制対象となります。堆積の高さ、斜面勾配、境界柵の設置などをチェックします。

2.責任の所在の明確化
盛土等で形質変更が行われた土地の所有者、管理者、占有者は、常にその土地を安全な状態に維持しなくてはなりません、災害防止を目指すためには、現在の関係者だけでなく、当時盛土等を行った業者、過去の土地所有者たちにも是正措置や施工停止を命令できます、もちろん過去の土地所有者も所有者責任を免れないことになります。

3.上記の関係者に、無許可もしくは安全基準違反、命令違反などが認められた場合、最大懲役3年、罰金1000万円が課せられます。法人への抑止力も高めるため、法人重科は最大3億円…、事業者や土地所有者には厳しい処遇ですが、これで安全な土地利用が担保されることになります。
むやみやたらにソーラーパネルが設置されることも徐々に少なくなると思いますね、
(写真は阿蘇に行った時のもので本文とは関係ありません)


【法改正】農業振興地域の整備に関する法律の改正

2024年10月22日 | 改正
久しぶりに農地の話です、
農地法は大体皆さん知ってらっしゃいますと思いますが、軽く復習
農地法は農地を保全することを目的としています。主な特徴は以下の3.つ

3条許可;売買(取引)に関する許可で取得者制限あり(農業委員会の届け出、許可要)
4条許可;転用許可で農地を農地以外にする場合に必要(宅地見込地とか)
5許可;売買して転用する場合に必要な許可

このうち、3条許可が昨年ちょっと改正されました。
具体的には、取得面積要件の緩和、取得者の取得不許可要件の緩和で、例えば一般のサラリーマンが小さい畑を買って農業するということが、以前では難しかったのが、許可を受けられるようになりました。

タイトルにもあります、農業振興地域の整備に関する法律(以下農振法)も改正となり、来年くらいに施行となります。
これの大きな特徴は、農地確保と農業、食料生産の安定化を趣旨としていまして、また農地所有適格法人の経営基盤強化をもって農産物の安定供給を目的としています。

農地法による転用許可について、転用後の定期報告の義務発生や国や県による農用地面積の指定などがあります。
この背景には工業用地などに農地が転用され、農地が不足しまたは周辺の農地が荒廃するという問題の懸念からきてますね。

農地法も合わせて施行されると、来年度以降から農用地を397ha(令和12年度目標)確保して食料安定供給や自給率のUPのためあらゆる施策がとられるようですね。
ちなみにこのままいくと令和元年で400万haだった農地が385万に減少するようです。
食糧事情、毎年何から悪化してまして、今年は特にお米が高いですw
食料を自分とこで栽培、収穫して食べるってすごい重要な話ですね(^^♪

我々鑑定士は普段から宅地目線で考えることが大半ですが、農地目線で考える良い機会となりました。






【法改正】地域再生法の改正

2024年03月13日 | 改正
平成17年に制定された地域再生法の法改正が閣議決定されました。
地域再生法は地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生を総合的、効果的に推進するため のもので以下の措置を定める法律です。
1)地方公共団体による地域再生計画の作成とその認定 
2)認定地域再生計画に基づく事業に対する支援措置 
3)地域再生土地利用計画の作成等 
4)地域再生推進法人の指定 

地域再生法改正案は、市町村が区域を定めて、住宅団地再生のための総合的な事業計画(地域住宅団地再生事業計画)を作成した場合、住宅の用途を変更しても、住宅に適用されていた容積率の緩和措置を引き続き適用できるようし、転用にはコンビニ、コミュニティカフェなどの施設を想定しています。

同様に、住宅団地内での廃校活用も進め、第一種低層住居専用地域などでは、10mまたは12mの高さ制限がありますが、学校は高さ規制の対象外となっております。しかし、廃校活用は学校ではないため、このままでは高さ制限の規制を受けることになりますので、改正では廃校をコワーキングスペースや多世代交流施設として活用する場合には、引き続き高さ制限の適用を除外します。


背景には昔作られたニュータウンの過疎化問題、空き家問題があります。ニュータウンにおける空き家問題の解消に、コンビニエンスストアやカフェなどの転用を認めるというところに大きなポイントがあるでしょう。

昔、造成されたニュータウンは都市計画法の第一種低層住居専用地域に指定されていることが多く、住宅以外のものを建てようとすると規制が入り建築できないようになっています(趣旨は、店とか建てるのを規制して、人がわんさか集まらないようにして閑静な住環境を保つ…ということですね)

また、建築基準法の容積率や高さなどの制限は、建築物の用途を変更すると、変更後の規制が適用になります。共同住宅では、共用廊下や階段は床面積に含まれず、容積率計算の対象外になる緩和措置があり、改修して住宅以外の用途にすると、共用廊下などは床面積に含まれ、容積率の緩和措置は受けられなくなってしまいますので今回の転用を認める措置となったのでしょうね。
この改正案が国会で成立した場合には、公布後6カ月以内の施行となります、

しかし、昔の法令規制が現代の土地情勢に合わなくなってきたのが顕著に出た改正ですね。


【法改正】二地域居住促進のための法改正が閣議決定

2024年02月14日 | 改正
表題の二地域(にちいき)居住促進のための法改正が進んでます
正式には
「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」
というそうです。
二地域とは、都会に暮らす人が、週末などを定期的に、あるいは、年間の一定期間(1ヵ月以上とされる)を農山漁村で過ごす生活様式のことを指しています。「別荘」とは少しニュアンスが異なりますが、
バカンスではなく、テレワークなどでオフィスに出る必要のない時には、田舎で過ごして仕事するといった、コロナ禍で成り立った生活様式という感じでしょうか。
二つの生活拠点を持つライフスタイルの後押しするため、今回の法改正となったようです。
具体的な内容として、
法改正の趣旨は、二地域居住を促進し、地方への人の流れを創出・拡大し、地方部をはじめとした人口減少が進む地域の活性化を図るのが目的。

コロナ禍において若者・子育て世帯を中心に二地域居住に対するニーズが高まったことや、関係人口の創出・拡大を進めるためにも、これを促進する必要があると判断されました。
すなわち、二地域居住には「住まい」「なりわい(仕事)」「コミュニティ」に関するハードルがあり、なかなか地方への関係人口の増加につながらなかったが、今後はこれらの課題に対して、地域の実情に合わせた環境整備を制度として支援していくということです。

法案の内容は、
(1)二地域居住(※)促進のための市町村計画制度の創設
(2)二地域居住者に「住まい」「なりわい」「コミュニティ」を提供する活動に取り組む方針の指定制度の創設
(3)二地域居住促進のための協議会制度の創設等があげられる。

⑴は二地域居住に向けて都道府県が計画(広域的地域活性化基盤整備計画 )を策定した場合に、市町村が「特定居住促進計画」 の策定を行うことを可能としました、これは二地域居住に向けた基本計画、コミュニティ拠点や就業・利便性向上に資する施設の整備などについて盛り込むものであり、法令上の特例を設置できるものとする。
⑵はNPO法人や、不動産会社らの民間企業等を「特定居住支援法人」として指定する権限を市町村長に付与すること。市町村長は空き家(不動産情報について本人同意が必要)や仕事、イベント等の情報を、同法人に提供することができる。さらに、同法人は市町村長に対して特定居住促進計画の策定・変更を求めることが可能となります
すなわち空き家問題、人手不足などの諸問題にこれらの法案で対応するの事。
⑶特定居住促進計画を策定するための「特定居住促進協議会」を市町村が組織できることを規定しました。この協議会の構成員は、市町村・都道府県、特定居住支援法人、地域住民、不動産会社、交通事業者、商工会議所等を想定しているそうです。

地方創生、人口減などの問題にこのような二地域居住を積極的導入して対応するといった感じでしょうか、

施行は6か月後だそうです。地方の動向に注意ですね(^^♪ 

【規制緩和】空き家譲渡益の3000万円特別控除の規制緩和

2024年01月24日 | 改正



写真はイメージですw

今年の1月より
相続した空き家の売却益のうち、3,000万円が実質非課税となる譲渡所得税の特例がありましたが、この特例の適用を受けるには建物の耐震改修や解体をおこなってから売却する必要でした。しかし今年1月からは、売却後に買主がおこなえば適用を受けられるようになりました

過去にブログでご紹介した税制改正の一部が緩和されるようです(記事の⑥の部分ですね)。
上記記事ではサラっと流してましたが(期限が昨年の12月末でした)

今回はその期間が延長となり、令和6年1月1日以降の譲渡が対象となります(期限は令和9年12月31日)

概要は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の住まいを相続した相続人が、その家屋 又は敷地の譲渡にあたり一定の要件を満たした場合、その譲渡にかかる譲渡所得の金額から3,000万円(※家屋と敷地のい ずれも相続した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円)を特別控除することができます。
また、この場合の譲渡相手の買主が耐震工事、建物収去等した場合においても控除の対象となるのがポイントです。
すなわち、令和6年1月1日以降の譲渡につい ては、譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋の耐震改修又は 除却工事を行った場合も対象となりました。


適用の要件も以下の通り。
  • 相続または遺贈により取得した空き家が、旧建築基準法下の一戸建てであり、亡くなった人以外に居住者がいないこと
  • 相続時から売却時まで事業、貸付け、居住などに使用しておらず、売却時に空き家が一定の耐震基準を満たすこと
  • 空き家を取り壊して売却してもよいが、取り壊し後に他の建物などを建築していないこと
  • 相続開始時から3年以内に売却すること
建物の耐震改修や解体を買主におこなってもらうことで特例の適用を受けようとする場合には、上記要件のほか基本的に売買契約の中で特約を付けることが必要となります。
租税特別措置法第35条第3項(空き家譲渡3,000万円控除の特例)に定める書類を売主に交付するかを記載することや、履行できなかった場合の、税控除額相当額の損害賠償請求を盛り込んでおくことも推奨されています。
なお、この空き家譲渡3,000万円控除特例の適用を受けるには、条件が揃っているかどうかを市区町村に確認してもらうことが必要となり、具体的には、市区町村の担当窓口で「被相続人居住用家屋等確認申請書・確認書」の交付を受けて、確定申告書に添付提出することが必要。

しかしこれらがしっかり履行されると、相続財産引き継いだけど売却益で税金がすごいことに…(取得原価が不明な場合は売却金額の5%を取得原価とみなすってことになってますんで)
というリスクを考えると、これから検討すべきことになりそうです。

規制緩和することにより住宅ストック問題が解決すればと思います。