かいつぶりの日々

山林関係に強い不動産鑑定士「合同会社鳰不動産鑑定」のブログです
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不動産の鑑定評価・相談・コンサルティング

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【法改正】建築基準法の改正

2025年01月15日 | 改正
法改正のシーズンですが、今年(も)たくさんの法の改正がありますね。
そのうち大きなものは建築基準法

どのような改正かというと

2025年4月1日以降に着工する住宅や建築物について、省エネ基準の適合が義務化されます。
また、4号特例の縮小により、建築確認申請が必要となる建物が増えます。

改正の主な内容は次のとおりです。
  • 新築の住宅や商業建築は、省エネ基準への適合が義務化される

  • 2階建て以上の住宅や延べ面積200㎡超の住宅は、建築確認が必要となる

  • 木造2階建てなどの建物でも、大規模なリフォームの際は建築確認申請が必要となる

  • 木造化を促進するための防火既定の合理化などが盛り込まれる

また、カーポートなどの壁のない開放性のある建築物については、建築面積の端から1メートル以内までは建築面施には算入されないという緩和措置が適用されます。

そもそも4号特例とは…?

建築士が設計した4号の建造物をさし、建築基準法の「建築物基準法第6条第1項第4号」に、定められています。木造と非木造で条件は異なります。それぞれの該当条件は、以下の通りです。
  • 木造:「2階建て以下」かつ「延べ面積500平方メートル以下」かつ「高さ13mもしくは軒高9m以下」
  • 非木造:「平家」かつ「延べ面積200平方メートル以下」
今まではこれらの建物についての建築確認審査の一部を省略、構造計算書の提出を不要としていましたが、この度の改正で省略された審査項目が追加され、構造計算書の提出が必要となりました。

こうした背景には
・省エネ基準に適合しているかどうかチェック
・倒壊しない建物の建築
を目的としています。

能登半島の震災などが記憶に新しいと思いますが、これらの災害を踏まえての措置かと考えられます。

安全性は向上するかと思いますが、不動産鑑定的には工期の延長、建築士の書面が必要となることによる付帯費用の増額などが価格形成につながるのかなととも考えます。

ちなみに木造平屋建 200㎡以下の建物であれば、従来の4号建物と同類として取り扱われます⇒ここだけ考えると平屋が勢力アップしそうですね…。

写真は関係ありませんw

【税制改正大綱】住宅ローン減税

2024年12月20日 | 改正
税制大綱が発表されました、
いわゆる103万円問題がクローズアップされている中、不動産系の減税は住宅ローン減税が延長…という点だけですね。

そもそも住宅ローン減税はどんなのか…

そもそも、「住宅ローン減税」とは何でしょうか。住宅ローンを借りて、マイホームを新築・購入、増改築等をする人は、年末調整もしくは確定申告により、年末(12月31日)時点での住宅ローン残高の一定割合が、一定期間、所得税から還付、つまり税金が安くなる制度です。所得税だけで控除できない分は住民税からも控除できます。

適用される条件としては
住宅ローン減税を受けられる対象者は以下のとおりです。
  • 住宅ローンを借りて新築住宅(建売住宅やマンション)を購入した人
  • 住宅ローンを借りて注文住宅を建てた人
  • 住宅ローンを借りて中古住宅を購入した人
  • 住宅ローンを借りて一定規模以上の増改築・リフォームなどを行った人
さらに詳細な要件として

要件1 住宅ローン減税を受ける人が自ら居住すること
住宅の引き渡し、または工事完了から6カ月以内に、住宅ローン減税を受ける人自身が住むこと(投資目的の物件は対象になりません)。賃貸用住宅、別荘、セカンドハウス、親や子どものために建てた住宅で、自分が住まない場合は対象となりません。

要件2 住宅ローンの借入金の返済期間が10年以上

要件3 合計所得金額(※すべての所得、家賃収入などを合算した所得金額)が2000万円以下
夫妻が別々に借りるペアローンの場合、所得はローンを組む人それぞれで判断するため、各人の合計所得金額が2000万円以下であることが要件。

要件4 床面積は原則50m2以上。所得1000万円以下の方は40m2以上(2023年までに建築確認を受けた新築住宅の場合)
対象となる住宅の床面積は原則50m2以上、ただし、合計所得金額(※)が1000万円以下の人に限り40m2以上50m2未満でも対象になります。なお、住宅の一部を店舗や事務所などで事業用としている場合は、床面積の2分の1以上を自己の居住用として使う場合に限ります。

要件5 増改築・リフォームの場合の追加要件、工事費が100万円超

増改築・リフォームの場合も要件1~4は共通。ただし、要件4の「床面積の2分の1以上が自己の居住用」の部分は、「増改築・リフォーム費用の2分の1以上が自己の居住用」となります。増築する床面積についての条件はありません。

要件6 中古住宅(既存住宅)の場合、築年数要件は1982年1月以降に建てられた住宅であること

中古住宅(既存住宅)の場合、築年数要件も満たしている必要があります。築年数要件は1982年以降に建築された住宅であることです。ただし、現行の新耐震基準に適合する住宅であれば、1981年以前に建築された住宅も対象となります。

以下、2024年バージョンですが借入金額上限と住宅の種類の一覧です。


住宅ローン減税(控除)を受ける場合には初年度はちゃんと確定申告しなくてはなりません。(詳しくはご近所の税理士さんへ)

しかし、建築費高騰や物価高のなかで減税措置の延長はありがたいですね。





【法改正】災害と法改正(宅地造成及び特定盛土等規制法)

2024年11月12日 | 改正
先週は商工会で災害をテーマに講演会を企画し、講師に不動産鑑定士の先生をお招きしました。
近年短い間隔で災害が起こってますが、我々自身が常に意識しておくべき事項を上記講演会で改めて確認しました。

不動産に関する法律ですが、昔から災害が起こるたびに法改正が進みます(特に建築基準法)

令和3年に起こった静岡の土砂崩れを機に、昨年令和5年の話ですが、宅地造成及び特定盛土等規制法 が改正され、法規制がさらに厳しくなりました。
宅建試験では宅造法として扱われてますね、

具体的には宅地造成規制区域が二種類に分かれ、宅地造成等工事規制区域と盛土規制区域となりました。
宅地造成工事規制区域はいわゆる「宅地部分」や今までのところ
盛土等規制区域はその他の宅地から離れた山の斜面等をイメージしてください。

法改正では
1盛り土の安全性の確保…地形、地質などに応じて災害防止のための許可基準を設定、具体的に擁壁の設置、地盤の締め固め、排水施設の設置といった内容。土地所有者はこれに同意しなくてはなりません、また、周辺住民への事前周知も要件となります
施工中は定期検査、中間検査、完了検査により安全基準への適合の確認が必要です。他方、盛土に限らず単なる土捨て行為や一時的な堆積も規制対象となります。堆積の高さ、斜面勾配、境界柵の設置などをチェックします。

2.責任の所在の明確化
盛土等で形質変更が行われた土地の所有者、管理者、占有者は、常にその土地を安全な状態に維持しなくてはなりません、災害防止を目指すためには、現在の関係者だけでなく、当時盛土等を行った業者、過去の土地所有者たちにも是正措置や施工停止を命令できます、もちろん過去の土地所有者も所有者責任を免れないことになります。

3.上記の関係者に、無許可もしくは安全基準違反、命令違反などが認められた場合、最大懲役3年、罰金1000万円が課せられます。法人への抑止力も高めるため、法人重科は最大3億円…、事業者や土地所有者には厳しい処遇ですが、これで安全な土地利用が担保されることになります。
むやみやたらにソーラーパネルが設置されることも徐々に少なくなると思いますね、
(写真は阿蘇に行った時のもので本文とは関係ありません)


【法改正】農業振興地域の整備に関する法律の改正

2024年10月22日 | 改正
久しぶりに農地の話です、
農地法は大体皆さん知ってらっしゃいますと思いますが、軽く復習
農地法は農地を保全することを目的としています。主な特徴は以下の3.つ

3条許可;売買(取引)に関する許可で取得者制限あり(農業委員会の届け出、許可要)
4条許可;転用許可で農地を農地以外にする場合に必要(宅地見込地とか)
5許可;売買して転用する場合に必要な許可

このうち、3条許可が昨年ちょっと改正されました。
具体的には、取得面積要件の緩和、取得者の取得不許可要件の緩和で、例えば一般のサラリーマンが小さい畑を買って農業するということが、以前では難しかったのが、許可を受けられるようになりました。

タイトルにもあります、農業振興地域の整備に関する法律(以下農振法)も改正となり、来年くらいに施行となります。
これの大きな特徴は、農地確保と農業、食料生産の安定化を趣旨としていまして、また農地所有適格法人の経営基盤強化をもって農産物の安定供給を目的としています。

農地法による転用許可について、転用後の定期報告の義務発生や国や県による農用地面積の指定などがあります。
この背景には工業用地などに農地が転用され、農地が不足しまたは周辺の農地が荒廃するという問題の懸念からきてますね。

農地法も合わせて施行されると、来年度以降から農用地を397ha(令和12年度目標)確保して食料安定供給や自給率のUPのためあらゆる施策がとられるようですね。
ちなみにこのままいくと令和元年で400万haだった農地が385万に減少するようです。
食糧事情、毎年何から悪化してまして、今年は特にお米が高いですw
食料を自分とこで栽培、収穫して食べるってすごい重要な話ですね(^^♪

我々鑑定士は普段から宅地目線で考えることが大半ですが、農地目線で考える良い機会となりました。






【法改正】地域再生法の改正

2024年03月13日 | 改正
平成17年に制定された地域再生法の法改正が閣議決定されました。
地域再生法は地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生を総合的、効果的に推進するため のもので以下の措置を定める法律です。
1)地方公共団体による地域再生計画の作成とその認定 
2)認定地域再生計画に基づく事業に対する支援措置 
3)地域再生土地利用計画の作成等 
4)地域再生推進法人の指定 

地域再生法改正案は、市町村が区域を定めて、住宅団地再生のための総合的な事業計画(地域住宅団地再生事業計画)を作成した場合、住宅の用途を変更しても、住宅に適用されていた容積率の緩和措置を引き続き適用できるようし、転用にはコンビニ、コミュニティカフェなどの施設を想定しています。

同様に、住宅団地内での廃校活用も進め、第一種低層住居専用地域などでは、10mまたは12mの高さ制限がありますが、学校は高さ規制の対象外となっております。しかし、廃校活用は学校ではないため、このままでは高さ制限の規制を受けることになりますので、改正では廃校をコワーキングスペースや多世代交流施設として活用する場合には、引き続き高さ制限の適用を除外します。


背景には昔作られたニュータウンの過疎化問題、空き家問題があります。ニュータウンにおける空き家問題の解消に、コンビニエンスストアやカフェなどの転用を認めるというところに大きなポイントがあるでしょう。

昔、造成されたニュータウンは都市計画法の第一種低層住居専用地域に指定されていることが多く、住宅以外のものを建てようとすると規制が入り建築できないようになっています(趣旨は、店とか建てるのを規制して、人がわんさか集まらないようにして閑静な住環境を保つ…ということですね)

また、建築基準法の容積率や高さなどの制限は、建築物の用途を変更すると、変更後の規制が適用になります。共同住宅では、共用廊下や階段は床面積に含まれず、容積率計算の対象外になる緩和措置があり、改修して住宅以外の用途にすると、共用廊下などは床面積に含まれ、容積率の緩和措置は受けられなくなってしまいますので今回の転用を認める措置となったのでしょうね。
この改正案が国会で成立した場合には、公布後6カ月以内の施行となります、

しかし、昔の法令規制が現代の土地情勢に合わなくなってきたのが顕著に出た改正ですね。