かいつぶりの日々

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【法改正】地域再生法の改正

2024年03月13日 | 改正
平成17年に制定された地域再生法の法改正が閣議決定されました。
地域再生法は地域における雇用機会の創出など地域の活力の再生を総合的、効果的に推進するため のもので以下の措置を定める法律です。
1)地方公共団体による地域再生計画の作成とその認定 
2)認定地域再生計画に基づく事業に対する支援措置 
3)地域再生土地利用計画の作成等 
4)地域再生推進法人の指定 

地域再生法改正案は、市町村が区域を定めて、住宅団地再生のための総合的な事業計画(地域住宅団地再生事業計画)を作成した場合、住宅の用途を変更しても、住宅に適用されていた容積率の緩和措置を引き続き適用できるようし、転用にはコンビニ、コミュニティカフェなどの施設を想定しています。

同様に、住宅団地内での廃校活用も進め、第一種低層住居専用地域などでは、10mまたは12mの高さ制限がありますが、学校は高さ規制の対象外となっております。しかし、廃校活用は学校ではないため、このままでは高さ制限の規制を受けることになりますので、改正では廃校をコワーキングスペースや多世代交流施設として活用する場合には、引き続き高さ制限の適用を除外します。


背景には昔作られたニュータウンの過疎化問題、空き家問題があります。ニュータウンにおける空き家問題の解消に、コンビニエンスストアやカフェなどの転用を認めるというところに大きなポイントがあるでしょう。

昔、造成されたニュータウンは都市計画法の第一種低層住居専用地域に指定されていることが多く、住宅以外のものを建てようとすると規制が入り建築できないようになっています(趣旨は、店とか建てるのを規制して、人がわんさか集まらないようにして閑静な住環境を保つ…ということですね)

また、建築基準法の容積率や高さなどの制限は、建築物の用途を変更すると、変更後の規制が適用になります。共同住宅では、共用廊下や階段は床面積に含まれず、容積率計算の対象外になる緩和措置があり、改修して住宅以外の用途にすると、共用廊下などは床面積に含まれ、容積率の緩和措置は受けられなくなってしまいますので今回の転用を認める措置となったのでしょうね。
この改正案が国会で成立した場合には、公布後6カ月以内の施行となります、

しかし、昔の法令規制が現代の土地情勢に合わなくなってきたのが顕著に出た改正ですね。


【法改正】二地域居住促進のための法改正が閣議決定

2024年02月14日 | 改正
表題の二地域(にちいき)居住促進のための法改正が進んでます
正式には
「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」
というそうです。
二地域とは、都会に暮らす人が、週末などを定期的に、あるいは、年間の一定期間(1ヵ月以上とされる)を農山漁村で過ごす生活様式のことを指しています。「別荘」とは少しニュアンスが異なりますが、
バカンスではなく、テレワークなどでオフィスに出る必要のない時には、田舎で過ごして仕事するといった、コロナ禍で成り立った生活様式という感じでしょうか。
二つの生活拠点を持つライフスタイルの後押しするため、今回の法改正となったようです。
具体的な内容として、
法改正の趣旨は、二地域居住を促進し、地方への人の流れを創出・拡大し、地方部をはじめとした人口減少が進む地域の活性化を図るのが目的。

コロナ禍において若者・子育て世帯を中心に二地域居住に対するニーズが高まったことや、関係人口の創出・拡大を進めるためにも、これを促進する必要があると判断されました。
すなわち、二地域居住には「住まい」「なりわい(仕事)」「コミュニティ」に関するハードルがあり、なかなか地方への関係人口の増加につながらなかったが、今後はこれらの課題に対して、地域の実情に合わせた環境整備を制度として支援していくということです。

法案の内容は、
(1)二地域居住(※)促進のための市町村計画制度の創設
(2)二地域居住者に「住まい」「なりわい」「コミュニティ」を提供する活動に取り組む方針の指定制度の創設
(3)二地域居住促進のための協議会制度の創設等があげられる。

⑴は二地域居住に向けて都道府県が計画(広域的地域活性化基盤整備計画 )を策定した場合に、市町村が「特定居住促進計画」 の策定を行うことを可能としました、これは二地域居住に向けた基本計画、コミュニティ拠点や就業・利便性向上に資する施設の整備などについて盛り込むものであり、法令上の特例を設置できるものとする。
⑵はNPO法人や、不動産会社らの民間企業等を「特定居住支援法人」として指定する権限を市町村長に付与すること。市町村長は空き家(不動産情報について本人同意が必要)や仕事、イベント等の情報を、同法人に提供することができる。さらに、同法人は市町村長に対して特定居住促進計画の策定・変更を求めることが可能となります
すなわち空き家問題、人手不足などの諸問題にこれらの法案で対応するの事。
⑶特定居住促進計画を策定するための「特定居住促進協議会」を市町村が組織できることを規定しました。この協議会の構成員は、市町村・都道府県、特定居住支援法人、地域住民、不動産会社、交通事業者、商工会議所等を想定しているそうです。

地方創生、人口減などの問題にこのような二地域居住を積極的導入して対応するといった感じでしょうか、

施行は6か月後だそうです。地方の動向に注意ですね(^^♪ 

【規制緩和】空き家譲渡益の3000万円特別控除の規制緩和

2024年01月24日 | 改正



写真はイメージですw

今年の1月より
相続した空き家の売却益のうち、3,000万円が実質非課税となる譲渡所得税の特例がありましたが、この特例の適用を受けるには建物の耐震改修や解体をおこなってから売却する必要でした。しかし今年1月からは、売却後に買主がおこなえば適用を受けられるようになりました

過去にブログでご紹介した税制改正の一部が緩和されるようです(記事の⑥の部分ですね)。
上記記事ではサラっと流してましたが(期限が昨年の12月末でした)

今回はその期間が延長となり、令和6年1月1日以降の譲渡が対象となります(期限は令和9年12月31日)

概要は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の住まいを相続した相続人が、その家屋 又は敷地の譲渡にあたり一定の要件を満たした場合、その譲渡にかかる譲渡所得の金額から3,000万円(※家屋と敷地のい ずれも相続した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円)を特別控除することができます。
また、この場合の譲渡相手の買主が耐震工事、建物収去等した場合においても控除の対象となるのがポイントです。
すなわち、令和6年1月1日以降の譲渡につい ては、譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋の耐震改修又は 除却工事を行った場合も対象となりました。


適用の要件も以下の通り。
  • 相続または遺贈により取得した空き家が、旧建築基準法下の一戸建てであり、亡くなった人以外に居住者がいないこと
  • 相続時から売却時まで事業、貸付け、居住などに使用しておらず、売却時に空き家が一定の耐震基準を満たすこと
  • 空き家を取り壊して売却してもよいが、取り壊し後に他の建物などを建築していないこと
  • 相続開始時から3年以内に売却すること
建物の耐震改修や解体を買主におこなってもらうことで特例の適用を受けようとする場合には、上記要件のほか基本的に売買契約の中で特約を付けることが必要となります。
租税特別措置法第35条第3項(空き家譲渡3,000万円控除の特例)に定める書類を売主に交付するかを記載することや、履行できなかった場合の、税控除額相当額の損害賠償請求を盛り込んでおくことも推奨されています。
なお、この空き家譲渡3,000万円控除特例の適用を受けるには、条件が揃っているかどうかを市区町村に確認してもらうことが必要となり、具体的には、市区町村の担当窓口で「被相続人居住用家屋等確認申請書・確認書」の交付を受けて、確定申告書に添付提出することが必要。

しかしこれらがしっかり履行されると、相続財産引き継いだけど売却益で税金がすごいことに…(取得原価が不明な場合は売却金額の5%を取得原価とみなすってことになってますんで)
というリスクを考えると、これから検討すべきことになりそうです。

規制緩和することにより住宅ストック問題が解決すればと思います。




【民法改正】隣接地の木の枝問題

2023年03月08日 | 改正

先日、相続土地国庫帰属制度についてお話しました。前回記事

関連する空家対策措置法が改正されるというお話もずいぶん前に解説しましたが、空家対策措置法の記事


空家空地の絡みでよくあるのが隣の樹木が越境してくるという問題

今回は民法改正のお話になります、

よく、宅建の試験で相隣関係(民法233条)の問題を見ます( `ー´)ノ

例題;隣の家の庭の木の枝が伸びたらどうする、無断で切ってよいのか?

今までの答えとしては枝は勝手に切ってはダメ、ちゃんと隣の土地所有者に頼んでねというものでしたが、

今回の民法改正では条件付きで自ら切っても良いということになりました
(この4月からなんで3月中はやってはいけませんよ!)
※ちなみに木の根っこが越境してきた場合は切っても大丈夫です(*'▽')

条件というものが

一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

三 急迫の事情があるとき。

三。はともかくとして

上の一、二についてどうするか?

少なくとも隣接地の土地登記簿を入手して登記簿上の所有者を確認する必要があります、
空家、空地の場合は相続して所有者が不明な場合も多いですが、自らの裁量による情報収集を行い、連絡を取る(例えば登記簿上の所有者の住所に郵送で木の枝の処理について依頼するなど)必要があります。

ここまでやって、連絡がつかないのであれば、処理は可能という解釈となるようです。

ただし、まだ改正直後は中々浸透していない可能性もありますので、この辺の処理は慎重に行った方が良いかと思います。

空家空地問題に絡んだ法改正、今後も増えてくるかもしれませんね。

【改正】相続土地国庫帰属制度の創設

2023年02月21日 | 改正
※写真はイメージです。

以前ブログでご紹介しました所有者不明土地の法整備の件ですが、今年の5月に施行されます

ご紹介したときは案の段階でしたので、ようやく形になってきたという感じでしょうか。
これは、土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの、土地を手放したいと考えている方が増加している現状や、相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担増により管理の不全化が生じている現状を解決すべく整備された制度です。
 所有者不明土地の発生を抑えるため、相続や遺贈により土地の所有権を取得した方が、法務大臣の承認により土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度として創設されました。

①申請者は土地を相続、遺贈により取得した相続人となります。
   土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。

②なんでもかんでも申請できるわけではなく、ある程度の要件が設けられています。
㈠申請ができない土地は以下の通り

・建物の存する土地→更地でないとダメ
・担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
貸していたり、地役権が設定されていたり、担保に出してたりしてたらダメ

・通路その他の他人による使用が予定される土地として、以下の(1)から(4)が含まれる土地
(1)現に通路として使用されている土地
(2)墓地内の土地
(3)境内地(神社・お寺の土地)
(4)現に水道用地・用悪水路・ため池などは他の人が利用している土地

そのほか
・土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質により汚染されている土地
・境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
🉂承認ができない土地
  ※㈠と異なり、審査の段階で該当すると判断された場合に不承認となる土地を指します。
・崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を有するもの(崖は勾配30度以上であり、かつ高さが5メートル以上のものが該当)
・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
・除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(地下の埋設物がある場合など…)
・隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地
(例)囲繞地なのに民法上の通行権利が妨げられている土地

・そのほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用や労力を要する以下の土地
(例)土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地→イメージとしては獣害がひどい農地など…。

③負担金について
国庫に帰属する承認を得た場合には、負担金として10年分の管理費を納付する必要があります。
いくらになるか、令和4年度中にまとめられるそうですが
法務省のHPに負担金の算出方法が記載されていますね。

これに関連して不動産登記法もだいぶ厳しくなるようですね。
相続して放置ってパターンが減り、土地の流通を促すきっかけになれば良いと思います。