ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅         マリー・・・・・18

2012-02-01 | 2部1章 マリー

 
 十月も中旬に入るとデリー裁判所、特に外国人審理を行うパテラハウス高裁は方針を変更した。理由は不明。今まで裁判審理の遅延により判決なく長期収監されていたプリズナーはケースに対する判決を受ける事なくリリースされた。メインバザールの揚げ物屋で夕食の買い物をしていたぼくに声を掛けてきたのはパラとチャーリーだった。パラはアフリカンの強靭な肉体で第一刑務所内で集団発生した肝炎から快復していた。パラそしてチャーリーと握り合ったお互いの手は力強かった。
 メインバザールはアフリカン・ドラック・シンジケートの売人達が見え隠れする。「フィリップスが捜してたぞトミー、良いブツが入った、いつでも声を掛けてくれ」
自由になった彼らは商売に余念がない。それしか生きる手段はないのだから。祖国ナイジェリアの内戦を逃れてきた彼等に行く先はない。
 ぼくはオーバードースに入ってしまった。つまりスタッフの摂取過多である。強いキックと深いトリップに内臓が耐え切れなくなった。毎日、何もする事はない、何もやる気持ちが起きない、ただ吸い続けた。胃の調子が悪く食欲はない、スタッフが抜けた朝だけはトースト、牛乳、ティー等を食べる事が出来た。夜は毎日、同じアフリカ料理と称する奴だ、飽きもせず良く食べられると尊敬するよ。味付けはトマト、トマトピューレに塩、胡椒だけ、それに肉を入れたスープでスパゲッティー、マカロニ、ライス、アタ等、何でもそれで食べる。マリーのアパートに来て、この料理が出ない日はなかった。ぼくは次第に食事を残すようになり、それの処分に困った。インドでも買物をするとビニール袋に入れてくれる。食べ残した物はそれに包んで外出する時、マリーに気づかれないようにしてゴミ捨て場に捨てた。

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