フルムーンの夜 Lをtake した彼が部屋に入ってきた ビクリとも動かず、黒く円いインドメガネ その奥の目はグルーのように空の一点を見ていた
アジャンタ 乞食がパイサを乞う パイサはない 本当にないのか ない
ケースの中から全てのビリを地面に置いた 丁寧にビリを拾った乞食は振り返ることなく去った
ベナレス お前は神を見たのか まだだ だからこうして修行をしているのだ 神を見ることなく死んでいくかもしれない しかし こうするより仕方ないじゃないか
リシケシ 肩からずだ袋をさげてアシュラムを出る 乾季のガンガは細い流れ 河畔には大小の石が上流から流されていた その間から1人のインド人が手招きする あの日陰へ行きたい 歩けない彼に手を貸し日陰で身体を横たわらせた
太陽は高くライトブルーの陽射しが舞う 日陰は小さくなりそこに彼は横たわっていた
バナナとオレンジを渡そうとすると彼は右手を腹に当てその手を左右に振った 両手を顔の前で合わせ小さく微笑んだ 渡されたペットボトルを持ってガンガへ 河畔の石の間を歩く 視界がぼやけて頬に涙がこぼれる why why why why why ・・・
ばかやろう 死が怖くないのか お前はただのインド人だ 修行者ではない どうしてそんなにおだやかな心で死を受けいれられるのか ガンガの聖水がお前の病を治すのか 喉の乾きを癒してくれるだけだ 聖水の入ったペットボトル彼に手渡しぼくは歩き出した
翌朝 その場所に彼の姿はなかった カルマだ カルマが彼の姿を見えないようにした
かれはそこにいる
しばらくお休みします
次のブログ更新は年明けになると思います tomy