国境へ・・・4
列車がスピードを落とし始めた。停車駅が近い、ぼくはパケを持ってトイレへ向かった。列車が走っていると窓から風が吹き込みパケは開けられない。停車している間に今日、最後のスタッフをスニッフで吸い込んだ。スタッフを入れると少し身体が温かくなる。ベッドに戻ると皆は横になっていた。バッグを枕にしてぼくは横になる、がどうせ眠れないだろう。
昨日、マリーと別れた後ぼくはフレッドの部屋へ行き、最後のスタッフ5gを手にした。その後、8時頃までジュース屋でネパール人からのコンタクトを待った。諦めてはいたが一縷の望みは捨て切れなかった。だが無駄だった。近寄って来たのは背丈190㎝はあるアフリカの野蛮人(そうぼくは呼んでいた)がフィリップスとフレッドには話してある、スタッフ3gを買ってくれ。次はガニ股男アシュラムだ、マナリのチャラスどうだ。こんな奴ばかりだ。二ナには会いに行かなかった。後に心が残る。今、スタッフの手持ちは10gだ。カトマンズからの出国準備が遅れると20日頃の出発になるかもしれない、そこで5gは使ってしまう。帰国ルートはカトマンズ→バンコック→成田になる。バンコックでは空港から外へは出ない。乗り継ぎの接続時間をできるだけ短くしたい。空港内でもスタッフの手持ちは危険だ精々、小パケ3個が限度だろう。時間待ちの間に空港内で1度、搭乗ロビーで1度と最後は成田着陸前に機内トイレで入れる。5gは国内に持ち込むつもりだ。この程度だったら100パーセント安全に持ち込める。帰国して10日以内で神奈川にある住所と銀行預金を九州へ移す。住まいを決め区役所で住民登録をして健康保険証を入手する。生活必需品を揃えて精神科の病院の所在を確認しておく。デリー精神病院のドクターから貰った処方箋がある、その薬以外に痛み止めと睡眠薬を手に入れる。闘病生活は時間との闘いだ、生活費用は今の預金で何とかなる。今回は禁断治療だけでなく、薬物による後遺症からの回復まで治療を続ける。