岩の前はババの作業場だ。土に埋もれた石の台がありその前に今日回収したゴミをずだ袋を逆さまにしてふるい落とした。それはぼくから見るとただのゴミでしかないがババにとっては一定の価値を持った物であるということか。木や紙くずは部屋の中へ持ち込み残ったビンの蓋をかき集めるババ。これが金になる、というビンの蓋は15個程あった。木や紙くずは貴重な燃料として食事の煮炊きに使われる。ババは林の中に住んでいる、周りの木を燃料にすれば良いと思うのだがインド人はそれをやらない。枯れた枝や落ち葉は集めるが生きた木を傷つけることはしない。最後に残ったビンの蓋を手に持ってババはぼくの顔を見てにやりと笑った。ぼくは石の台の横に座って彼が何をやろうとするのか見ていた。ババは蓋を台の上に置くと手に持った石で叩き潰し中に張り付いていたコルクを取り出す、潰した蓋は小さいずだ袋に入れた。袋を持ってみるとずしりと重い、ババはどうだとばかりにぼくの顔を見てうんうんと頷く。金になるとはビンの蓋を回収して鉄くず屋に売るという事か、ぼくはあほ臭くなってアシュラムへ帰った。
8月だというのに夏は終わった 台風前 初秋に鳴く蝉 つくつくぼ~しの鳴き声を数度聞いた
季節は変わっていた もうすぐ秋になるだろう と思っていたのに
九州にある前線について気象庁は秋雨前線だという 2週間ほど早いらしい 早すぎる
前線は北上し明日から傘マークが続く それも自然 どうすることもできない