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ガンジス・河の流れ
インド・ネパール。心の旅・追想
海
2014-05-30
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おやじ・海
福岡県一級河川の一つ遠賀川 その河口 やっぱぁでけぇ~ しかし暑かった
釣果は二人でキス約20 まあそんなもんだろう 久し振りの遠投で足 腰 肩が痛い
鳥居には厳島神社 文化一四年とある 右建物の塀際に車を停めて釣りに行く
ちょっと すんませんね と手を合わせる お賽銭箱はない
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・68
2014-05-28
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
デリー中央第一刑務所はイギリス植民地時代に建てられたと聞いた事がある。事実かどうかぼくには分からないが、しかし建て方は英国風と言えそうな気がする。広い中庭を中心にそれを囲むような形で収監者用バラックが建っていた。バレー、バトミントン用コートが各一面あり、ライブラリーと隣には卓球台がある。井戸は3カ所、バラックの外周は100m以上ありウオーキングが出来るようになっていた。大便用トイレは6個並んだ長屋形式で3棟ある。当然だが中からの鍵はない。用が済んだ後お尻を洗う水は素焼きの瓶に入れて持ち込まなければならない、忘れるとちょっと不味いことになる。各バラック内にあるトイレは施錠の間のみ使用する。外便所はインド人がいるからなのか汚い。トイレの仕方を知らないということはあるまい、とんでもない所に排便をしている。便器の落とし穴ではなくその前の小便の受け皿に盛り上がっているのだ。便器の定位置に屈むとそれがちょうど目の前にあってやり難いし、臭いが立ち昇って長居は出来ない。だがスタッフ系のドラッグをやると慢性的な便秘になり長居をする事になる。癌患者の痛み止めにモルヒネを使うと患者は便秘になるというのは良く分かる。昨日はついにその糞を踏んでしまった。トイレ内には電燈はなく薄暗い、これからは暗さに目が慣れるまで入口に立って動かないことだ。ワードが替われば外国人だけになりトイレも汚れなくなるだろう。
1月10日(水曜日)
フィリップスから仕入れた良質だったスタッフは何故だか効きが悪くなった。サンダーに預けていた間に粉を入れ替えられたのだろうか、それは出来ないと思うが。少し多めにスタッフを入れても効いて来ない。身体が慣れたのか湿気で質が落ちたのか理由は分からないが特に昨日から良くない。昨夜と言うか早朝4時頃お腹がごろごろして目が覚めトイレへ直行した、ひどい下痢だ。その後も3回トイレへ通った。スタッフで下痢を止めようとしたが効きが悪いのか駄目だ、良い粉だったら一発で止るのだが。サンダーも信用出来ないのか、でもぼくが預けたスタッフには手を付けてないと思っていたのだが。朝、ノートの間に挟んでいたビリが無くなっていた。それを知っていたのはサンダーとキタしかいない。ビリを挟んだノートはぼくの毛布の間に見えないように隠していた。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・67
2014-05-26
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
フィリップス、マリーは良く働いてくれている。ぼく一人だったら何も出来なかっただろう。英文の書類は全て彼が書きぼくはサインをするだけだ。パールガンジ警察署に保管されているぼくの荷物の中に純金のネックレスがある、それをマリーにプレゼントすると言ったら彼女は嬉しそうだった。
ピーターは逮捕された時の自分の新聞記事を見て真剣に考え込んでいた。ぼくに関する新聞記事は数行の記事だけだったが彼についての報道は大きな写真付だった。それとマガジンはカラー写真で本人と20kgのブツを大きく取り上げていた。その報道記事と写真をじっと見ていたピーター。裁判官の印象は当然悪いだろうしジャッジにも微妙に影響しそうだ。
ここ数日、人間関係が少し良くなってきて精神的に楽になった。昨夜、12時頃いつものようにぼくは空腹で夜食をしようとしていた。狭いベッドとベッドの間にダニエル、ディクソン、ショッカンの3人が眠っていた。食べ物は隣で寝ているアシュラムのベッドのちょうど真中あたりの荷物置き場にある。通路からは取れない。ぼくはアシュラムが寝ているベッドの端に乗って食べ物を取りに行った。ベッドの上から前屈みになりやっと食べ物が入った袋を手に取った瞬間、ぼくは大きく身体のバランスを失ってしまった。ネットを引き摺るようにしてドスンとショッカンのお腹辺りにもろに落ちてしまった。彼はちょうど眠ったばかりだったのだろう、無理矢理起こされて何があったのか分からずネットの下から目を開けきょろきょろしていた。ぼくはショッカンの上に乗ってはいるがぼくもびっくりして何をどうしたら良いのか分からなかった。ショッカンにしてみれば身体は痛いしネットは無茶苦茶になっているそしてぼくが彼の上に座っている、何なんだこれは、と彼は思ったに違いない。スタッフが効いているとはいえぼくには落ちたという意識があるが彼にはそれがない。少しずつ彼は理解し始めた。数日前だったら簡単には済まなかっただろう。寝る前スタッフを回してやっていたし、何かとぼくに接近しようとしていたので、びっくりしただろうがお互い照れ笑いをしてネットの片付けをした。まだ起きていた奴らは手を叩いて笑っていた。今夕も8時ごろから30分ぐらい停電した。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・66
2014-05-23
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
フィリップスが入れた今回のスタッフは効きも良いしハイの時間が長い。午後4時頃、入れたのだが8時になってもビリで引っ張る。寝る前に小パケの半分も入れたらちょうど良い気分になるだろう。アミーゴも詰まらない人間だ、それに口が軽い。ショッカンがぼくの袋の中のパケを探していたことを話したら、もうショッカンに伝わっていた。話して良い事と悪い事くらい分かりそうなものを。ショッカンが本当に髭剃りを探していただけだとぼくに言い訳をしに来た。アミーゴはけちで最近はビリも出さない。ディクソンがショッカンとセガがシックになっている、100ルピーを出してパケを回してくれと頼みに来た。良いスタッフは全部フィリップスに戻して持っていないと言って別の小パケ半分をショッカンに回す事にした。何でぼくが奴らの面倒を見なければならないのか。ショッカンとスタッフを入れる用意をしているとアミーゴがもう鼻を鳴らして吸う準備をしていた。ぼくらは奴を無視してスタッフを入れる、終わったのを確かめると奴はゴロンと横になった。
くだらない日記を毎日飽きもせず書いている。今日も終った。
1月9日(火曜日)
昨夜は激しい雷雨になった。朝、中庭のスポーツ用コートを見ると池のようになっていた。雨も止み午後には晴れ間も出て少し温かくなった。面会でマリーは今日もフルーツの差し入れをしてくれた。少し高いものにつくかもしれないと思ったりもするがバナナなんて10ルピーぐらいで気にする事はない。小切手の両替はすんなりといきそうにない。昨日、書いたアプリケーションではだめだという事で申請書を書き直し明日もう一度トライする。それともう一つの方法としてマリーがぼくのパスポートと小切手を持ってコンノートンにある東京銀行に行く。ぼくの事情を説明しどういう申請書と手続きが必要なのか日本人スタッフに直接会って聞いてきてもらう事にした。フィリップスは楽天的で今週中には上手く解決するだろうと言っている。そう願いたいものだ。この件が遅れる事を考えてドルのキャッシュ60㌦を両替することにした。これには銀行もパスポートも必要ない。銀行より少しレートが良いブラック・マーケットがあるからそこで2000ルピーが手に入る。フィリップスから1g仕入れているので小パケを70ルピーで買う必要がなく出費は少なくて済んでいる。クーポンでの支払いは野菜とビリ代くらいだ。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・65
2014-05-21
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
明日はマリーの面会だ。小切手の現金化の申請書を用意しなければならないのだが、それにはフィリップスの助けが必要だ。フィリップスは今回50gのスタッフが手に入ったと言っていたがどういう意味なのか。1g1000ルピーだと言っていた、が800ルピーに値下げさせた。それでも50gと言えば約4万ルピー、1300㌦だ、相場から言ってもちょっと高い。彼が単独でやる訳はない、釈放される為に裁判所と弁護士に支払う必要な金額なのかもしれない。スタッフは彼がキープしぼくが必要なとき小出しする事で話しがついた。1ヶ月ぼくはどのくらいスタッフを使っているのだろうか。
ディクソンが今回のワード替えについてぼくに話を持ちかけてきた。メンバーはぼくとアミーゴ、ダニエルそれにディクソンの4名だと言った。同じスリランカ人のショッカン、セガ、サンダーを外した。しかしその前にスリランカ人の外国人認定申請が許可されなければその話しはない。スリランカ人のランジャンはケニアの国籍を取っているらしいし、カマルはインド人だがポーランド国籍だからワード替えについて問題はない。ディクソンが言う4名のメンバーだったらぼくも安心できるがどうなるのか。夕方、雨は止んだが冷たい強い風が吹いている。明日、晴れてくれれば良いのだが、もし雨だったらマリーはオート力車で来るから冷たい雨に濡れて大変だろう。
大使館宛の手紙で日本からの送金を依頼した。フィリップスは今回ぼくの裁判費用、弁護士への支払いは全てで3000㌦くらいだろうと楽観的な数字を言っている、多くなっても5000㌦を超えることはないだろうと。そんな金額で年内に出所できれば万々歳だ。ちょっと高い勉強代になるがもう2度と戻ってくる事はない。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・64
2014-05-19
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
1月8日(日曜日)
朝、雨になっていた。6時の開錠、点検で刑務官が起こしに来た。いつもならその後「チョロ、チョロ」
と追い出しに掛かるのだが何も言わないので無視して横になっていた。いつまでも何も言わないのでそのまま又眠ってしまった。ティーで起こされて初めて雨が降っているのに気付いた。そういえば昨夜はちょっと暖かかったそれで蚊が動き出したのだろう。少し温度が高いと蚊は活発に動き出す。まだやっと昼食が終ったばかりなのにもうする事が何もない。気温が下がり始めたのか冷たい風が鉄格子の間から吹いてくる。今夜はかなり冷えるだろう辛い刑務所の冬になりそうだ。
今はとにかくスタッフを入れたい気分だ。小パケを入れたが寒さのせいか身体がだるく少し痛みがあり軽いシック症状みたい。こんな雨混じりの寒い天気が2~3日続くかもしれない、ヒマラヤ山麓、聖地リシケシでもよくあった。ヒマラヤ颪の冷たい風に雹が降った夜、すきま風に震えた。デリーはそれほどではないが嫌な1日になりそうだ。スタッフでもやってこんな気分から逃げ出したい、考えていることはみんな同じなんだろう、アミーゴがお金を見せて1パケ回してくれと言ってきた。ぼくがスタッフを持っているのはみんな知っている。だが本当は昨日チャッカルに行く前スタッフをサンダー預けそのままになっているのだ。奴のベッドはバラックの突き当たりトイレの入口だ。その横がアフリカンの古顔の溜まり場になっていて、とてもスタッフを取りにいける雰囲気じゃない。雨が降って殆どの人間が寝床近くでゴロゴロしている。サンダーも毛布を被って横になっていた。
セガはここから動こうとしないし横になっているショッカンも同じだ、ぼくが粉をやり始めるのを待っているのだ。だが真昼間からネットを張る事は出来ない、やるとしたらトイレしかない。こんな時ディクソンは大体いない仲の良いインド人の所だろう。トーマスのベッドはバラックの入口の直ぐ右側で外からだとちょうど死角になっている。毛布を頭から被ってもぞもぞしているのはスタッフを入れている時だ。入れ終わるとふうぅと顔を出すから直ぐ分かる。プランも分かり易い、やたら鼻の辺りを掻きだす。
「やったんだろう」と言うと
「あぁ~」と楽しそうな顔をする。
久し振りに湾へ釣りに行った 5時 台船から海面を見るとキラキラと光る
よく見ると小さい鰯の群れだ 6本のサビキ針の先に撒き餌を入れたかごをドボンと
海へ投入する すぐ小さい当たりが続く 糸を巻くと鰯だらけだ サギが横に来て
餌を待っている アジ3 このしろ5だけ 鰯の猛攻で降参した
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・63
2014-05-16
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
Cバラックの突き当たりは3つに区切られている。左側は小便用でコンクリートの打ちっ放しだ。朝顔なんて物はない。手前から奥にかけて傾斜がついているだけ、いつも小便で濡れているので入口から放尿する。少し前の方でやれば良いのだが滑るし小便で濡れたサンダルで歩くと出口の住人から文句が出る。右側は大便用だ。用が済んだ後お尻を洗う水が汲み置きしてある。真中が身体を洗う場所で毎朝はジャクソンの専用のようになっている。そこでドイツ人のトーマスが身体を洗っていた。この寒い夜、裸になって1時間は過ぎただろう、目はトローンとしてその洗い方は誰が見ても病的だ。動作ものろのろとして同じ事を繰り返していた。ゲームをしていたジャクソンも首を傾げていたし他の皆も笑っていた。そんな視線を全く感じる風もなく自らの世界に入り込んでいた。それは1人の狂人のようだった。ここのドイツ人は3人とも変っている、ピーターもマーシャルも、それもこれもドラッグのせいだ。それと規制された刑務所の生活が精神を歪めてしまったのかもしれない。真中の通路をアフリカンと南米人のホモが手をつないでウオーキングしている、スリランカ人はトランプゲームで取っ組み合いをやらんばかりに興奮していた。馬鹿につける薬はない。
明日は日曜日か、何もすることがない。まだクラスがあった方が良い午前中、早く時間が過ぎるから。皆もやることがないので井戸端で身体を洗ったり洗濯をしたり時間つぶしだ。床屋が3~4ヵ所で店開きをして列を作っていた。何故なのかインド人もアフリカ人も櫛で髪を綺麗に整える、誰に見てもらう訳でもないだろうに。低いカーストのインド人達は忙しい、各バラックのトイレや房内の掃除、それに天気が良ければ洗濯の注文が多い。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・62
2014-05-14
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
朝、クラスに行っていたが誰も来ない。チャッカルがあるのでクラスは中止になっていたのだろうか、と考えながらCバラックに戻ってみるとショッカンが何やらごそごそやっていた。ベッドの下に40㎝立方くらいの荷物置き場がある。ぼくの荷物はビニール袋に入れそこに置いていたがその袋にショッカンは手を入れ何かを探しているようだ。ぼくが近付くと奴はギクとして
「トミー髭剃り持ってないか」
と言った。奴がぼくのパケを盗もうとしていたのは直ぐに分かった。短パンの内ポケットに入れているのを奴は知っている。最近ぼくは用心して隠し場所を変えていた、奴に何も言わなかったが危ないところだった。ぼくはスタッフをサンダーに預けてチャッカルに行った。ショッカンとセガはチャッカルには行かないとバラックに居残った。チャッカルから帰って袋を調べてみると案の定、袋の中を掻き回していた。根性の悪い奴らだ。暫くサンダーにスタッフを預けていた方が良いのか迷っている、サンダーも同じスリランカ人だ信用はできない。
昼の施錠後ぼくが何をするかセガがじっと見ていた。ぼくがトイレでスタッフを入れたのは分かっている、少し多めに入れたので効いてしまった。夜8時頃になるのにまだシックの症状がない楽だ、良い粉は長い時間引っ張ってくれる。今夕はいつものパケに変った。効きは悪いが眠る事は出来るだろう。
夕食後あるアフリカ人が寝場所の準備をしているのを見ていた。頭がどうかなっている、と思うほど神経質にやっていた。多分毎日同じ事をやっているのだろう、神経質を通り越して偏執狂的に見えてきた。ナイジェリア人だろう、心の貧しい顔をしている。心が全て顔の表情に出る訳ではないが。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・61
2014-05-12
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
ここで1日に消費されるスタッフの量は2~3gくらいだろうと思っている。定期的にスタッフをやっている人間はぼくが知っているだけで10人はいる。それにBバラックとインド人を含めると量はどのぐらいになるのだろうか。フィリップスはシンジケートからの供給が切れることはないとぼくに言った。ショッカンは10gをショットで2度程ワードに持ち込んだ、その手の売人もいるだろう。1日に3g消費すると10gは4日弱で消えてしまうことになる。次の10gがストッカーから流される。ストッカーの手持ち残が20gくらいになると次の50gの仕入れの手配がなされる。スタッフの流れを切る訳にはいかない、多くの中毒者を抱えているのだから。手持ちが少なくなったからと言って値段を上げる事は出来ない。シンジケートは安定した供給と安定した価格を維持しなければならないのだ。ジャンキー達は信用できない組織とは取引しない。
頻繁にSPの手入れを受けているのは末端の中卸しと小売の監房だ。組織のキーマン、ストッカーは絶対安全な場所にいるだろう。もしかしたら模範囚のリーダーの中にいるのかもしれない。それはぼくには分からない。
今日はチャッカルでパンジャビー音楽を聴いた。広い屋外の会場だ。小さい野球場のグランドくらいの広さで舞台を中心に座席は円を描くように作られていた。インド音楽は時々やっているようだ。今日のグループはインドでは有名らしい。ボーカルは素晴らしい声をしていた。日本の演歌のルーツみたいな感じで心にくるものがあった。ただ歌詞が理解出来ないのが残念だった。タブラも良かったしギター、鉄琴、アコーデェオンなんかも使っていた。古い奴はまたチャッカルかと言っていたがチャッカルも馬鹿にしたものではない。今日はちょうど小春日和でショーを見ながら居眠りをしていた。ぼくは粉をやるとよくこっくりと居眠りをして注意された。クラスの時もそうだし裁判所に行く護送車の中でもインド人に凭れ掛かってこっくりする。夢心地で桃源郷を彷徨っている感じだ。
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ジャンキーの旅 No2 Ward・・・・・60
2014-05-09
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3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
1月7日(土曜日)
昨日のフィリップスから渡された粉はかなり効いた。ここでは2番目くらいの良さだった。全部で1gだと奴は言った。幾らなのか金額はまだ分からないが欲しい。スタッフのミックスとは良い粉と悪い粉を混ぜ合わせる事らしい、ぼくは他のケミカルと混ぜ量を増やすのだと思っていた。タイのホワイト・ヘロインの場合はグルコース等とミックスしているように思える。グルコースだったら注射にしても問題はない。ただチェーシングは出来ないだろうグルコースはブドウ糖だから燻ってしまう筈だ。良い粉と悪い粉を混ぜてしまうからここのスタッフは平均化してしまう、そういうことか良く分かった。それはそうだろう誰でも効きの良い粉を欲しがる、悪い粉は売れずいつまでも手持ちになってしまう。
デリー中央刑務所内のアフリカン・ドラッグ・シンジケートは役割り分担をしているのだろう、外部からの仕入れ、中卸し、小売だ。仕入れはニューデリーにあるパテラハウス高等裁判所へ出頭した者が持ち込む。仲卸しは小パケにし売人からの要請にいつでも対応出来るように用意している。しかしこの3分担だけでは組織の統制は出来ない。組織が大きくなった現在もうひとつ大切な部分がある筈だ。それはたぶんストッカーではないだろうか、このストッカーが組織のキーマンなのだ。例えば50gのスタッフが持ち込まれたとしよう、10gの中パケ5個を作り4個は複数のストッカーに渡される。残る10gを5gの中パケにパッキングされる。最後に残った5gは1g単位の5個のパケにし複数の中卸しに渡される。中卸は1gの粉から10個の小パケを作って小売やジャンキーに流す。小パケに大小があるのは中卸しがピンはねしているからだ。ジャンキーの中卸しは信用できない、1gから10個ではなく12個の小パケを作る、2パケは自分用だ。そこで買ったパケは当然小さくなる。
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70~90年代インド・ネパールを中心に旅をしました。当時のノートと少ない写真の記憶です。ヒンディー語やスラングが多用されています。質問はコメントでお答えします。
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