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ブログはじめました/2011/12/10

大エルミタージュ美術館展 (兵庫県立美術館)  2018年1月5日

2018-01-08 15:29:26 | 音楽 絵画 芸術

電車で遠くまで行ってきました。大エルミタージュ美術館展の鑑賞のために兵庫県立美術館へ。 この展覧会は、国内3箇所で開催されていて、
2017年3月18日~6月18日  東京会場(森アーツセンターギャラリー)
2017年7月 1日~9月18日  愛知会場(愛知県美術館)
そして、2017年10月13日~2018年1月14日 兵庫県立美術館が、最後の開催地となっています。 実は昨年4月と5月に国立新美術館のミュシャ展とともに
既に計3回鑑賞しているのですが、ロシアに行かなければお目にかかれない数多くの素晴らしい作品をもう一度この目でしっかりと見ておきたいという思い
を抱いていました。
昨年9月18日までならば、比較的近い愛知県美術館で鑑賞出来、しかも毎週金曜日はすべての作品が撮影可能という好条件でしたが、この時期は多忙で
行くことが出来なかったため、最後のチャンスを逃さないように兵庫へ向かうことにしました。

やはり北信濃から神戸はとっても遠いです
・自宅→ 長野 - 【ワイドビューしなの号】→ 名古屋 -【新幹線】→新大阪-【神戸線、京都線】-灘 -兵庫県立美術館
 約6時間弱の道のりです。しかも日帰り。

 

灘駅南口から外に出ると、まっすぐ先の建物の外壁にティツィアーノの「若い女性の肖像」がもう見えていました。駅から歩いて10分くらいで到着です。
北信濃と違って、ここはとても暖かいです。雨が降っていましたが、寒いという感覚が無く、秋と変わりません。マスクをしている人が非常に少なく
やはり気温が高くて海沿いのしっとりとした空気だと、風邪を引く人が少ないのかな、と思ってしまいます。

到着したのが12時近くだったので、美術館1階のカフェでサンドイッチとホットミルクの軽い食事を取り、それからチケットを買って入口がある2階へ。
3階の会場へはそこからエレベータか階段で。 1階にはコインロッカ(無料)があり、ダウンジャケットはそちらに預けました。

 

 

会場内は6つのセクションに分かれていて、これは森アーツセンターと同じでした。

1 イタリア:ルネサンスからバロックへ
2 フランドル:バロック的豊穣の時代
3 オランダ:市民絵画の黄金時代
4 スペイン:神と聖人の世紀
5 フランス:古典主義的バロックからロココへ
6 ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で

光の環境は、東京とは少し違っていました。 3 オランダ.. については、演色性の良いスポットライトのみによる照明で、部屋全体の照度は小さく、天井も
それほどには高くない空間、即ち森アーツとほぼ同じ光環境ですが、それ以外の5セクション(1,2,4,5,6)は、高い位置から部屋全体を照らす無影の
光天井照明が主体で、かつ作品に対しては、3と同じく、スポットライト併用となっていました。天井から満たされる光で室内全体が明るく(かつ眩しくはない
適度な明るさ)、作品への照度が大きくなり、東京の時よりも作品のディティールがさらにはっきりと見えました。
特に入口に展示されているティツィアーノ・ヴェチェッリオの「羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」は、髪や肌の色、視線などまるで今そこにいる
女性のようで、震えが来そうな臨場感がありました。
ただこの光環境では、下から見上げるような大型作品の上端付近は、天井からの光を反射してしまい、やや離れた位置からでないと見ずらいことも少しありま
した。勿論作品自体の表面保護材によりグレアが発生するのは止むを得ないことであり、それを踏まえても光の環境は、全般照明主体がよいのか、あるいは
作品の位置を考慮したスポット照明によるものかは何とも言えないと思います。
長い時を超えて数えきれない人に感動を与え続けている作品を、それこそ手が届きそうな間近で鑑賞する機会が与えられたことに感謝しています。

今回の展覧会で最も気に入っているカルロ・ドルチの「聖チェチリア」、 肌の色を含めた全体の色彩は、光天井(恐らく光源は美術館用蛍光管)により、
僅かにグリーンがかかっていて、しかしとても驚いたのは、右の頬と額、それに指先の生き生きとした紅色が優しくしかも鮮やかに見えていたことでした。
異教の婚約者(後にチェチリアにより改宗)との結婚の日に、たくさんの楽器の音が彼女を見送ったという伝説から音楽の守護聖人とされているそうです。
ポルタティーフ・オルガンを演奏する姿を描いたカルロ・ドルチの名作は、この上無いほどの美に満たされ、さらに強い意思と深い慈悲を感じさせる眼差
しが印象的です。

東京会場で、昨年5月26日だけ全作品の撮影が許可された際に、カメラに収めた写真のカラーバランスや色温度、そして自分自身が記憶していた作品の
雰囲気もほぼ正しかったことが今回確かめられたのも収穫のひとつとなりました。
会場は、入場した13時前にはあまり混んでいませんでしたが、夕方になるにつれ、かなりの人が入って来ていました。
あれこれと作品を見て、気が付いたことを鉛筆でノートに取り、行きつ戻りつしていると2時間半が過ぎてしまい、乗り継ぎ最終電車で北信濃へ帰宅できる
リミットである美術館出発16時10分に近づいてきました。 会場の作品たちに心の中でお礼を言いながら6セクションを後にし、ポストカードなどを少し
買い求めてから、外の川沿いに出てみました。

 

美術館南側にある少女像、阪神・淡路大震災20年のモニュメントとして建立され、名前は「Sun Sister」、愛称は「なぎさ」ちゃんと言うそうです。
高さが約6メートルもあります。エクスポーネンシャルなスカートがとても力強い、
《 過去・現代・未来を見つめ、希望の象徴としての「輝く太陽」を手に持ち大地に立つ。 世界中すべての災害からの復興・再生を見守っている 》
と書かれています。

大エルミタージュ美術館展、そして兵庫県立美術館、ありがとうございました。
閉展まであと数日しかありません。美術館の近くにお住まいの方、もしまだご覧になっていないようでしたら、是非。


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