だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

映画『笑の大学』

2004-11-01 | movie/劇場公開作品
友達と渋谷で『笑の大学』を見てきました。

愛すべき作品というのは、映画でも演劇でも、
「あそこの、あの場面がさぁ」と皆で語り合うだけで笑いが起こり、
楽しくなるものですが、『笑の大学』はまさにそんな作品です。

私は三谷幸喜といえば、
古畑でもオケピ!でも新選組!でもなく、『笑の大学』なのです。

もともとラジオと演劇で上演された二人芝居で、
1940年頃を舞台に、笑いを愛してやまない浅草の喜劇作家・椿一(稲垣吾郎)と、
今まで笑ったことが一度もないという堅物警視庁検閲係・向坂(役所広司)の
一週間の検閲の様子を描いています。

「低俗な喜劇」の上演許可を出さないために、
わざと椿の台本に無理難題の修正を小出しに押しつける向坂なのですが、
台本を持ち帰った椿が直しをいれていくと、
不思議と話の筋がどんどん良くなっていきます。

「向坂さんのおかげでどんどん面白くなっていく」と喜ぶ椿に、
笑いを認めなかった向坂も、次第に笑いの才能に目覚め?、
生き生きと椿のホンを直すようになります。

舞台版は、向坂役に西村雅彦、椿役に近藤芳正でした。
人気があったので、この芝居のチケットを取ることは出来ず、
代わりにシティーボーイズを見に行った私ですが、
(シティーボーイズだってプラチナチケットなんですが。)
テレビでこの映像を見た時は、本当に幸せな気分でした。
最高の2人芝居だと思って疑いません、未だに。
舞台版では、椿は向坂に対する対抗心をむき出しにして、
毎回必死で苦労して書き直しているところが印象に残っています。
その一方、映画版はぶぅたれながらもスラスラ直してしまう、
「天才肌」な作家に見えました。


そのほか舞台では、映画には出てこなかったエピソードもあって、
椿が向坂にカラスの雛?をプレゼントしたり、
(こののちにこの鳥を巡って向坂さんの家庭の様子も窺えて楽しいのですが…)
いかに笑いというのが人を救うものなのか、椿が語るシーンなどがあったり、
私達としては、その辺が削られていたのが寂しかったのですが、
エピソードとして、映画に出すには少し余分な気もしないでもないし、
これは仕方ないでしょう。
ちょっと気になったのは音楽がすごく強く印象に残る使い方で、
もう少し静かでも内容としては耐えられたんじゃないかと思うのですが。
テレビではこのくらいでもいいかもしれないけれど、
最後の2人の、もう二度と逢うことはないであろう別れのシーンで
涙を誘うような音楽が使われていたのがちょっと残念、
と友人が言ってました(笑)。
私も、あのラストは静かに見送りたかったので、気になってしまいました。

なんだか、何度も見ていて今さら語るのも億劫なくらいです。
とにかく楽しくて、ハンカチが話せませんでした、笑い涙が溢れて。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする