The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』A.J.フィン著

2021-02-06 | ブックレヴュー&情報
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』上&下 早川書房 2018/9/19

”The Woman in the Window”
A.J.フィン(著)、池田真紀子(翻訳)

内容(「BOOK」データベースより)
精神分析医のアナ・フォックスは、夫と娘と生活を別にして、ニューヨークの高級住宅街の屋敷に
十カ月も一人こもって暮らしていた。広場恐怖症のせいで、そこから一歩たりとも出られないのだ。
彼女のなぐさめは古い映画とアルコール、そして隣近所を覗き見ること―。ある時、アナは新しく
越してきた隣家で女が刺される現場を目撃する。だが彼女の言葉を信じるものはなく…。

~ ~ ~ ~ ~ ~

概要を読んだだけでも、ヒッチコックの「裏窓」を思い浮かべます。

ニューヨークのハーレムにある高級住宅街に贅沢な屋敷に1人住むアナ・フォックスは ある出
来事がきっかけのトラウマから広場恐怖症になり、10ケ月も家に閉じこもった生活を送っている。
アナの慰めはワインと古い映画鑑賞、そして ニコンD5500を使っての近所の住宅の覗き行為で
あった。

そんなアナがある日カメラ越しに近所の家で殺人事件を目撃する。
広場恐怖症であり、アルコール依存症の上に薬物の異常摂取をしているアナの言葉は 被害妄
想ではないかと警察にも信じて貰えず、又自分でも妄想の起こした事なのか自問自答し始める。

しかし、次々に不審な事が起こり始め、謎めいた隣人達、怪しげな間借り人の男などに囲まれ、
孤独と不安に怯えるアナの身にも危険が迫ってくる。

上巻はやや冗長な感も覚えるのですが、下巻でアナが広場恐怖症を病むきっかけになった事件
が明るみになり、夫と娘と一緒に住んでいない事が明らかにされる頃から驚きと共に次第に興
味が深まり俄然面白くなります。

途中迄犯人だと思い込んでいた人物が 実は・・・・。
で、思いもよらぬ人物がアナを追い詰めて行く ある種密室サスペンスの様相を帯びて来る後半
はハラハラと息もつかせぬ意外なクライマックスを迎えます。

主人公アナが何故広場恐怖症になったのか、何故夫と娘と別居する様になったのか。
アルコール依存症でもある主人公が覗き見た殺人事件は現実に起きた事なのか、彼女の妄想から
生まれた事なのか。 主人公自身と共に読者も疑いを持ちながら読む事になります。

本筋に加え、彼女の趣味であるモノクロの作品を含めた古い映画が数多く列挙されます。
懐かしく思い出す作品もあれば、観た事も無い作品も多く、この点も非常に興味をそそられます。

冒頭書きました様に、真っ先に「裏窓」を連想するのですが、後半は「暗くなるまで待って」も
思い出しました。

ある種オーソドックスなミステリで かえって新鮮な印象を受けたこの作品は、後書きに書かれ
ていて初めて知ったのですが、既に映画化されており、

”The Woman in the Window”(原題)


監督:ジョー・ライト(「つぐない」等)
脚本;トレーシー・レック(「8月の家族たち」等)
( ↑ 上記映画2本共凄く懐かしい・・・遠い目)

出演;エイミー・アダムス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン他



公開は2021年予定ですが、日時は未定です(日本公開も未定)

ゲイリー・オールドマン出演となれば是非観たい作品です。

↑ 何時もとは随分違う印象なので、一瞬気付かなかった

↓ Official trailer はこちら
https://youtu.be/J0hTmzISOlQ


余談ですが、池田真紀子さんの翻訳は何時も読みやすく好きです。