”The Pale Horse”
「蒼ざめた馬」ハヤカワ文庫、クリスティー文庫 2004/8/18
アガサ・クリスティー(著)、高橋恭美子(翻訳)
≪内容≫
霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数
人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人
の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…。オ
カルト趣味に満ちた傑作、新訳で登場。
(「BOOK」データベースより)
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「蒼ざめた馬」”The Pale Horse”は1961年に出版された アガサ・クリスティーによる推理小説で、
今作は、ポワロもミス・マープルも登場しないいわゆる”ノン・シリーズ”です。
以前BBC版ドラマ放送をご紹介した内容と重複する部分もありますが、ドラマの日本放送を前に
(何時になるか不明ですが)随分久し振りに再読しました。
主人公は学者であるマーク・イースタ―ブルック
彼の視点での語りが途中何か所かに挿入されています。
原稿執筆の為チェルシーに部屋を借りているイースターブルックが立ち寄ったパブ(?)で2人の若い
女性の激しい取っ組み合いを目撃する。一方の女性は髪の毛をごっそり抜かれるが痛くなかったと・・・・
(この辺アレ?っとなりますわね←重要な伏線の1つになっています)
その後、彼は新聞でその女性の死亡記事を見る事になります。
イースタ―ブルックは従姉家族が住むマッチ・ディービングという田舎の教会での募金活動への
協力を依頼する為 知り合いで著名な推理作家であるオリヴァー夫人を訪れる。
一方、霧の夜ある女性の臨終を看取った神父が 彼女の死の間際に残した謎のメッセージと9人の
名前を書いたメモを靴の中に隠したが、その後その神父は帰宅途中に何者かに撲殺されてしまう。
神父の残したメモを偶然見る事になり、そこに書かれた名前の中には 知り合いを含む名前の中の
数人が死んでいるという事実を知ったマーク・イースタ―ブルックは一方で、”誰かを消したければ
『蒼ざめた馬』に行けばいいと言う噂を耳にしたことから 3人の魔女が住むという『蒼ざめた馬』
という名の古ぼけた館を訪れる事になる。
3人の魔女達は魔法による呪いにより人を殺す事が出来るという噂があった。
この噂と死亡した人たちに関連があるのか・・・・。 しかし彼らは明らかに”病死”とされていた。
村で知り合ったジンジャーと呼ばれる女性と共に謎を追い始めるイースタ―ブルック。
ロンドンでは 殺された神父の後を追っていた怪しい男を見たと名乗り出た薬剤師のオズボーン。
又、村に住むヴェナブルズという富豪で車椅子の老人。
オカルト風の魔女による呪いがどの様に実際の事件に結びついて行くのか・・・。
イースタ―ブルックは噂を確かめるために 魔女に依頼し、友人のジンジャーが囮になるという危険
を冒す事になります。
ルジューン警部の協力を得ながら、ジンジャーの身を心配しながらも事実を確かめようとするイースタ―
ブルック。 ジンジャーは身の危険を顧みず、勇敢で行動的な女性で魅力的なキャラクター。
(ところで、このルジューン警部はなかなか良いキャラクターで気に入っています)
アガサ・クリスティーがまさかオカルト殺人でした。となる筈も無く、どの様に納めて行くのか興味を
持って読み進めますが、最後、犯人と殺人手段はなかなか予想も出来なかった結果で驚かされます。
そして、イースタ―ブルックとジンジャーは・・・・。
他のポアロやミス・マープルものとは異なり、若い素人探偵となるイースタ―ブルックの語り口が軽や
かで爽やかにも感じられ、彼を取り巻く女性陣のキャラも賢く、強く、重いテーマにも拘らず読後感も
良い作品で、こんなクリスティー作品も好きです。
ただ、アリアドネ・オリバー夫人の出番は少なく、この点は少し残念。
(にもかかわらず、思わずニヤリとさせられたり 流石の存在感ではあります)
些細な部分ですが、
彼女が うろ覚えであった「蒼ざめた馬」の名前を「ピンクの馬」とか?と言う場面では、とんでもな
くいい加減な記憶かと思ってしまいそうですが、これは翻訳本の辛いところで、英語で言えば ば ”Pink
Horse” であり、”Pale Horse” とは”P” 繋がりですから 当たらずとも遠からずなんですけどね。
ところで、
前にも書きました様に、BBC版(サラ・フェルプス版)ですが、これまで何度も繰り返し書いてはいたの
ですが、既に製作、放送された作品は全て独自の解釈での脚本となっていて、どの作品もビックリさせ
られていたものですが、今回の「蒼ざめた馬」に関して 少しだけ(チラッと)英国放送後の評価を読ん
でみると、やはり戸惑いの声も出ている様です。
原作に拘るか、新しい解釈が気に入るかはそれぞれだとは思います。
が、個人的には過去作品もやはり原作の方が好きでした。
今回はどうなっているのか どちらにしても観てみないと・・・・ですね。
日本での放送が決まりましたら又ご紹介しましょう。
※ BBC版「蒼ざめた馬」の情報はこちら
「蒼ざめた馬」ハヤカワ文庫、クリスティー文庫 2004/8/18
アガサ・クリスティー(著)、高橋恭美子(翻訳)
≪内容≫
霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数
人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人
の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…。オ
カルト趣味に満ちた傑作、新訳で登場。
(「BOOK」データベースより)
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「蒼ざめた馬」”The Pale Horse”は1961年に出版された アガサ・クリスティーによる推理小説で、
今作は、ポワロもミス・マープルも登場しないいわゆる”ノン・シリーズ”です。
以前BBC版ドラマ放送をご紹介した内容と重複する部分もありますが、ドラマの日本放送を前に
(何時になるか不明ですが)随分久し振りに再読しました。
主人公は学者であるマーク・イースタ―ブルック
彼の視点での語りが途中何か所かに挿入されています。
原稿執筆の為チェルシーに部屋を借りているイースターブルックが立ち寄ったパブ(?)で2人の若い
女性の激しい取っ組み合いを目撃する。一方の女性は髪の毛をごっそり抜かれるが痛くなかったと・・・・
(この辺アレ?っとなりますわね←重要な伏線の1つになっています)
その後、彼は新聞でその女性の死亡記事を見る事になります。
イースタ―ブルックは従姉家族が住むマッチ・ディービングという田舎の教会での募金活動への
協力を依頼する為 知り合いで著名な推理作家であるオリヴァー夫人を訪れる。
一方、霧の夜ある女性の臨終を看取った神父が 彼女の死の間際に残した謎のメッセージと9人の
名前を書いたメモを靴の中に隠したが、その後その神父は帰宅途中に何者かに撲殺されてしまう。
神父の残したメモを偶然見る事になり、そこに書かれた名前の中には 知り合いを含む名前の中の
数人が死んでいるという事実を知ったマーク・イースタ―ブルックは一方で、”誰かを消したければ
『蒼ざめた馬』に行けばいいと言う噂を耳にしたことから 3人の魔女が住むという『蒼ざめた馬』
という名の古ぼけた館を訪れる事になる。
3人の魔女達は魔法による呪いにより人を殺す事が出来るという噂があった。
この噂と死亡した人たちに関連があるのか・・・・。 しかし彼らは明らかに”病死”とされていた。
村で知り合ったジンジャーと呼ばれる女性と共に謎を追い始めるイースタ―ブルック。
ロンドンでは 殺された神父の後を追っていた怪しい男を見たと名乗り出た薬剤師のオズボーン。
又、村に住むヴェナブルズという富豪で車椅子の老人。
オカルト風の魔女による呪いがどの様に実際の事件に結びついて行くのか・・・。
イースタ―ブルックは噂を確かめるために 魔女に依頼し、友人のジンジャーが囮になるという危険
を冒す事になります。
ルジューン警部の協力を得ながら、ジンジャーの身を心配しながらも事実を確かめようとするイースタ―
ブルック。 ジンジャーは身の危険を顧みず、勇敢で行動的な女性で魅力的なキャラクター。
(ところで、このルジューン警部はなかなか良いキャラクターで気に入っています)
アガサ・クリスティーがまさかオカルト殺人でした。となる筈も無く、どの様に納めて行くのか興味を
持って読み進めますが、最後、犯人と殺人手段はなかなか予想も出来なかった結果で驚かされます。
そして、イースタ―ブルックとジンジャーは・・・・。
他のポアロやミス・マープルものとは異なり、若い素人探偵となるイースタ―ブルックの語り口が軽や
かで爽やかにも感じられ、彼を取り巻く女性陣のキャラも賢く、強く、重いテーマにも拘らず読後感も
良い作品で、こんなクリスティー作品も好きです。
ただ、アリアドネ・オリバー夫人の出番は少なく、この点は少し残念。
(にもかかわらず、思わずニヤリとさせられたり 流石の存在感ではあります)
些細な部分ですが、
彼女が うろ覚えであった「蒼ざめた馬」の名前を「ピンクの馬」とか?と言う場面では、とんでもな
くいい加減な記憶かと思ってしまいそうですが、これは翻訳本の辛いところで、英語で言えば ば ”Pink
Horse” であり、”Pale Horse” とは”P” 繋がりですから 当たらずとも遠からずなんですけどね。
ところで、
前にも書きました様に、BBC版(サラ・フェルプス版)ですが、これまで何度も繰り返し書いてはいたの
ですが、既に製作、放送された作品は全て独自の解釈での脚本となっていて、どの作品もビックリさせ
られていたものですが、今回の「蒼ざめた馬」に関して 少しだけ(チラッと)英国放送後の評価を読ん
でみると、やはり戸惑いの声も出ている様です。
原作に拘るか、新しい解釈が気に入るかはそれぞれだとは思います。
が、個人的には過去作品もやはり原作の方が好きでした。
今回はどうなっているのか どちらにしても観てみないと・・・・ですね。
日本での放送が決まりましたら又ご紹介しましょう。
※ BBC版「蒼ざめた馬」の情報はこちら
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