”Death Comes as the End”
アガサ・クリスティ(著)、加島祥造(翻訳)
ハヤカワ文庫ークリスティー文庫:2004/4/16
内容「BOOK」データベースより
≪傲慢で美貌の愛妾ノフレトを連れて族長が帰ってきた。その日から、一族のなかには反目や
憎しみが。そしてノフレトが崖の小径から転落死を遂げた。これで再び平和が戻ってくるかに
思われたが―紀元前二千年のナイル河畔で起こった恐るべき惨劇!エジプトの古代都市を舞台に
華麗な世界が展開する異色ミステリ。≫
アガサ・クリスティによる1944年刊の”Death Comes as the End”。
大昔に読んだ事は間違いないものの、今作は全く(強調)覚えていなかったというお粗末な状
況で、今更ですが何気なく手に取り再読。
クリスティ作品でエジプトを舞台にした作品は幾つかあるものの、この作品の舞台はエジプトで
はあるものの、時代設定が紀元前2000年のナイル河畔という珍しい作品です。
結婚8年で若くして夫と死別したレニセンブは幼い娘と共に実家に戻って来た。
墓所守をしている父、二人の兄とその妻、異母弟、祖母、多くの家族がいる実家は8年前と何も
変わっていなかった。 そう感じ幸せに浸っていたレニセンブだが、父が若く美貌の再婚相手
のノフレトを連れて戻って来た為、そんな家族が微妙に変っていくことに気付く。
傲慢で一族の中でトラブルをまき散らすノフレトにより、家族のいがみ合いが巻き起こり始め、
ノフレトを憎み始める。
そんな中、崖下でノフレトの死体が発見され、足を滑らせた転落事故死だろうと思われたが、
その後家族のメンバーやその周囲の人々の不審な死を遂げ始める。
実権を握る父に牛耳られる息子たち、その3兄弟も互いにいがみ合い、それまで一見平和に見え
ていた家族がノフレトの出現、死によってそれまで内に秘められていた家族の本心をさらけ出し
始める。
そんな家族内を冷静に見ている父親の母(レニセンブの祖母であるエサ)、家中をこそこそ歩き
回り、家族の秘密を探り出している召使のへネット、家族とは一歩離れ静かに見守る管理人であ
り書記のホリ等が登場します。
個性豊かなメンバーの思惑が絡み合い、次々と起こる事件、それが実にリアルに描かれ、4000年
前のナイル河沿いの村、人々の暮らし、生活状態を等を含め独特な世界観で綴られます。
ただ、冒頭クリスティ自身が述べている様に、「場所も年代も物語自体にとっては付随的なもの」
そのもので、そのまま現代の舞台劇にもなりそうなキャラクター、物語の進行状態を感じさせら
れます。
探偵役も登場しないながらもスリリングに進行し、ミステリの醍醐味はたっぷり楽しめ、それに
加え クリスティお得意の”ロマンス”もしっかり込められた”人間ドラマ” +古代エジプトの生活、
風俗も楽しめる…と言った盛り沢山の作品と感じます。
特に個人的にエジプト大好きなモノにとってはより嬉しい作品で、風景も思い描きながらミス
テリを楽しめるという”一粒で二度美味しい”(又何時ものひつこいフレーズ)作品です。
『ねじれた家』、『無実はさいなむ』にも通じる、クリスティらしい家族、人間ドラマであり
ますが、ホッとさせられる後味もよろしいですね。
ミステリとしては物足りない等好みが別れる作品でもあるかと思われますが、クリスティ作品
の中では『隠れた名作』とも言われる作品である事は実感させられます。
アガサ・クリスティ(著)、加島祥造(翻訳)
ハヤカワ文庫ークリスティー文庫:2004/4/16
内容「BOOK」データベースより
≪傲慢で美貌の愛妾ノフレトを連れて族長が帰ってきた。その日から、一族のなかには反目や
憎しみが。そしてノフレトが崖の小径から転落死を遂げた。これで再び平和が戻ってくるかに
思われたが―紀元前二千年のナイル河畔で起こった恐るべき惨劇!エジプトの古代都市を舞台に
華麗な世界が展開する異色ミステリ。≫
アガサ・クリスティによる1944年刊の”Death Comes as the End”。
大昔に読んだ事は間違いないものの、今作は全く(強調)覚えていなかったというお粗末な状
況で、今更ですが何気なく手に取り再読。
クリスティ作品でエジプトを舞台にした作品は幾つかあるものの、この作品の舞台はエジプトで
はあるものの、時代設定が紀元前2000年のナイル河畔という珍しい作品です。
結婚8年で若くして夫と死別したレニセンブは幼い娘と共に実家に戻って来た。
墓所守をしている父、二人の兄とその妻、異母弟、祖母、多くの家族がいる実家は8年前と何も
変わっていなかった。 そう感じ幸せに浸っていたレニセンブだが、父が若く美貌の再婚相手
のノフレトを連れて戻って来た為、そんな家族が微妙に変っていくことに気付く。
傲慢で一族の中でトラブルをまき散らすノフレトにより、家族のいがみ合いが巻き起こり始め、
ノフレトを憎み始める。
そんな中、崖下でノフレトの死体が発見され、足を滑らせた転落事故死だろうと思われたが、
その後家族のメンバーやその周囲の人々の不審な死を遂げ始める。
実権を握る父に牛耳られる息子たち、その3兄弟も互いにいがみ合い、それまで一見平和に見え
ていた家族がノフレトの出現、死によってそれまで内に秘められていた家族の本心をさらけ出し
始める。
そんな家族内を冷静に見ている父親の母(レニセンブの祖母であるエサ)、家中をこそこそ歩き
回り、家族の秘密を探り出している召使のへネット、家族とは一歩離れ静かに見守る管理人であ
り書記のホリ等が登場します。
個性豊かなメンバーの思惑が絡み合い、次々と起こる事件、それが実にリアルに描かれ、4000年
前のナイル河沿いの村、人々の暮らし、生活状態を等を含め独特な世界観で綴られます。
ただ、冒頭クリスティ自身が述べている様に、「場所も年代も物語自体にとっては付随的なもの」
そのもので、そのまま現代の舞台劇にもなりそうなキャラクター、物語の進行状態を感じさせら
れます。
探偵役も登場しないながらもスリリングに進行し、ミステリの醍醐味はたっぷり楽しめ、それに
加え クリスティお得意の”ロマンス”もしっかり込められた”人間ドラマ” +古代エジプトの生活、
風俗も楽しめる…と言った盛り沢山の作品と感じます。
特に個人的にエジプト大好きなモノにとってはより嬉しい作品で、風景も思い描きながらミス
テリを楽しめるという”一粒で二度美味しい”(又何時ものひつこいフレーズ)作品です。
『ねじれた家』、『無実はさいなむ』にも通じる、クリスティらしい家族、人間ドラマであり
ますが、ホッとさせられる後味もよろしいですね。
ミステリとしては物足りない等好みが別れる作品でもあるかと思われますが、クリスティ作品
の中では『隠れた名作』とも言われる作品である事は実感させられます。
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