The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

”ポアロ続編” 『モノグラム殺人事件』を読んで

2016-11-20 | ブックレヴュー&情報


モノグラム殺人事件 ”The Monogram Murders”
ソフィ―・ハナ著 山本博、大野尚江訳
ハヤカワ書房(クリスティー文庫)
(2014年 早川書房から単行本として刊行された作品の文庫化されたものです)

驚きました。
「アガサ・クリスティー財団がポアロの新作として認めた初めての正統続編」 という事で
思わず手に取りました。
先日読み終わったのですが、たまたまポアロが話題に出た事でもあるし、丁度良い機会なので
思い出して書いて置こうと思います。

何故今になってポアロの続編が?と不思議に思っていたところ、本書の後書きで数藤康雄氏
が書いていらしたのですが、「クリスティーの著作管理会社や出版社は、ポアロの新作を書
ける実力作家を密かに探していた(中略)ポアロのTV映画が2013年「カーテン」の放映で終了
する事になり、終了後の次の話題作りの目玉として、ポアロ物の出版を企画していたからだ
ろう」とのことでした。
穿った見方なのかも知れませんが そんな理由も納得できるタイミングではある様な気が
します。

以前も書いたことがありますが、「名探偵ポアロ」シリーズは ”カーテン”を以て幕引き
となっていたのですが、この作品は時代を遡って1929年が舞台となり、ヘイスティングスは
アルゼンチンの牧場に居る為不在のなかスコットランドヤードのキャッチプール刑事がポアロ
の相棒にして語り手と言う立場になっています。

作品内容は(ネタバレにならない様に 作品紹介に書かれている部分だけご紹介します。)

名探偵エルキュール・ポアロは、お気に入りの珈琲館で夕べのひとときを過ごしていた。
灰色の脳細胞の束の間の休息。そこへ、一人の半狂乱の女が駆け込んできた。どうやら
誰かに追われているようだ。ポアロが事情を尋ねると、女の口からは意外な言葉が。
彼女は殺される予定だというのだ。しかも、その女ジェニーは、それは当然の報いであり、
殺されたとしても決して捜査はしないでと懇願し、夜の街へと姿を消した。同じ頃、ロンドン
の一流ホテルで三人の人間が殺害された。すべての死体は口にモノグラム(イニシャルの図案)
付きのカフスボタンが入れられていた。ジェニーは被害者ではなかったが、関連を嗅ぎ取った
ポアロは、友人の刑事キャッチプールとともに捜査に乗り出すのだった。
名探偵ポアロ・シリーズ公認続篇!
( 本編のあらすじより)

読み進めた感想はですねぇ・・・・
評価は真っ二つに別れそうですが、個人的な感想としては
先ず、クリスティーのカラーと違う様な気がする これは原作本で読んだ訳ではないので原因
の一部は翻訳のせいもあるのかも知れません。
又当時の時代感が感じられない。
ポアロの特徴あるキャラクターを踏襲しようと思うあまりか ポアロの外見、言動等人物描写
がくど過ぎるにも関わらず一向にポアロを感じられない希薄さが残念でありますね。
フランス語多用しすぎ・・・等々色々気になる点が多い感じがあります。 兎に角ポアロらしさ
が感じられなかった様な気がしました。
否定的な感想になってしまいそうですが それもアガサ・クリスティー作品を愛して来た者だから
こその厳しすぎる見方なのかも知れません。

ストーリーの内容が複雑すぎて この点もクリスティーのスッキリしたスタイルと違うと言う
感じもあります。

とは言え、それら点を別にして考えてみると、本格ミステリー、謎解きとしては秀逸な作品では
あると思います。
ポアロの二次創作と限定しなければ…と言うカッコ付ですが。

シャーロック・ホームズ作品に関しては これまで数え切れない程のパスティーシュ、パロディー版
が出版されています。
以前ご紹介した、「アーサー・コナン・ドイル財団公認の続編」であるアンソニー・ホロビッツ著
「絹の家」、「モリアーティー」に関しても あのホロビッツが書いただけあって内容的には秀逸
だと感じましたが、これでさえも 「公認続編」と言われると今ひとつ納得できないと感じたもの
です。

クリスティーの作品に関しては、今迄パスティーシュも殆んど出ていなかったと記憶していますが
(浅学の為知らないのかも知れません)唯一、TVドラマの「フレンチミステリー」だけがそれに
当てはまるのかも知れないと思います。(見ていませんが)

この作品も敢えて「公認正統派続編」と限定しなければ もう少し読み方、感じ方も違ったので
はないかと思ったりもしました。

全く別の感じ方をされる方も多いかも知れませんが あくまでも個人的な感想なのでお含みおき
下さいマセ。




~~~~~~~~

ところで、
先日来ポアロ=デヴィッド・スーシェの話題でチョット盛り上がっていた折も折、たまたまスーシェ
の情報を得ました。

なんと、Dr. Who S10 にゲスト出演しているそうですね。
ビックリでした。 が、Dr.Whoにはこれまでもかなりの大物俳優、ベテラン俳優がゲスト出演している
ので格別驚きはないのですが、丁度のタイミングで見つけたので嬉しかったですわ。
本国の放送が2017年とのことですので 日本で見られるのは大分先の事になりそうですが楽しみです。

↓こちらがDr.Whoの時の画像


良い機会なので、「ホロウ・クラウン」”Richard II”パートに出演したスーシェも・・・
 
Richard IIパートでは 確かヨーク公だったと思いますが 流石に重厚な演技で良かったですね。









4 コメント

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>今晩は (Ocicat)
2016-11-21 14:33:37
モグモグさん、コメント有難うございます。
色々な考え方があると思いますが お気持ち良く分かります。
私の場合はただ活字中毒、乱読、多読であらゆる小説が好きで 興味ある物には何でも
首を突っ込む傾向がありまして 兎に角読んでみようと言う主義だものですから・・・
勿論、その結果がっかりする事も多いですが 余程気に入って手元に置いておきたい作
品以外は図書館ですから取りあえずの欲求を満たしています。
『好奇心は猫をも殺す』になりそうですが・・・(汗)
パスティーシュに関してもそれぞれのお考えもあるし、期待感も異なるとは思いますが
どうしても特定のキャラクターに対する思い入れも多いし、そんな期待感に沿う形での出
版となるのだと思います。
シャーロック・ホームズのパスティーシュが数限りないのもそういう事でしょうね。
古今東西長年続く難しい課題だと思います。
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今晩は (モグモグ)
2016-11-21 00:23:55
シャーロックもですが、ポアロも作品数が多くて、とてもついていけてません。幸いいろんなチャンネルでやってるので極力見るようにしてるのですが、それでも局により話が前後して、付いていくのが精一杯、面白くて好きなんですけどね。違う作家がスピンオフを、マガジンに書いたりしてるのを見ますが、好きではありません。作家に変わりは有り得ませんよね。出版社の思惑もあるのでしょうが、作家が亡くなったら、悲しいですが登場人物も亡くなると言うことだと思ってます。昨今、好きな作家が次々に亡くなり、とてもさみしいし、登場人物にも逢いたいと思いますが、他の人に書いて欲しいとはおもいません。彼らの変わりは決していませんもの。登場人物は作家のもの、越えてはいけないと思います。
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>こんばんは~✩ (Ocicat)
2016-11-20 18:55:19
kiriyさん、こんばんは♪
早速ご覧頂き有難うございます。 今回は殆どkiriyさんへ向けての発信といった感じに
なりました(笑) 
スーシェ、ポアロをリマインドして頂いたお蔭で先日読んだ本を思い出し(ボケ)、たまたま
Dr. Whoの新情報をチェックしていたらスーシェにぶつかったり 私も嬉しかったですわ。

この作品は微妙ですが、もしお時間があれば読んでみて下さい。
そして感想を聞かせて頂ければ嬉しいです。
実を言うと読んでいる途中で脱落しかけたんですけどね(汗)なかなか複雑なストーリーで
はありました。
 
「公認続編」は非常に難しいモンだと思います。
「ポアロ」や「刑事フォイル」を手掛けたホロビッツでさえSHの続編は賛否両論でしたもん
ね。
原作に対してそれぞれ皆思い入れが大きいからちっとやそっとじゃ満足しないのかもしれませんね。
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こんばんは~☆ (kiriy)
2016-11-20 17:56:31
早速のポワロネタをありがとうございます。
「公認続編」と言うものがある事すら知らなかったのですが、シリーズが終わって寂しい気持ちを埋めるために読みたいと思う方も多いのではと思いました。

>本格ミステリー、謎解きとしては秀逸な作品ではあると思います。
そこの所に重点を置き、私も読んでみたくなりました。

スーシェの情報もありがとう♪♪
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