The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『SHERLOCK S1E0』 "A Study in Pink” Pilot版 回想 (5)

2017-11-08 | SHERLOCK S1E0 : A Study in Pinki (Pilot)
『SHERLOCK』S1E0 : ”A Study in Pink” 『ピンク色の研究』 Unaired Pilot :(5)



・・・・・その(5)


本編ではギリギリまで犯人が誰か気付いていなかったシャーロックですが、E0では早い段階でタ
クシードライバーが犯人だと気づいていたんですね。

酔っ払った振りをしてタクシーに近づいたシャーロックは、窓を叩いて「221Bまで乗せて行ってく
れ」と頼むのですが、勤務中ではないと断るドライバー。

シャーロックはタクシーに寄りかかりながら密かにピンクの犠牲者の携帯に電話を入れます。
それに応えたドライバーにどうやって犠牲者たちに毒を飲ませたのか訊ねるシャーロック。

ドライバーを問い詰めている隙にわきの下に注射器を刺され麻酔薬を打たれてしまうシャーロック。
(「ベルグレーヴィアの醜聞」でアイリーンのシーンに使いまわし?)

その様子を窓越しに見ていたジョンとアンジェロ。
アンジェロは、”All part of the plan. Sherlock always has a plan”「全部計画の一部だよ。シャー
ロックには何時も計画があるんだ」と云うのですが、ジョンは、”Yes, and it's gone wrong”
「分かってる。でも上手くいかなかった様だ」 と心配そうな様子。

シャーロックが麻酔薬の為車のシートに倒れ込みながら弱々しく ”John!”と呼ぶのを聞き(聞こ
えたのか気配を察知したのか?)ジョンは、シャーロックを乗せて走り去ったタクシーを追って走り
出します。



(この時、杖の事をすっかり忘れている。 E1ではシャーロックと共にタクシーを追いかける事に
気を取られて杖を忘れるけど、ここではシャーロックの事を心配する余り・・・って所が良い!)

フラフラのシャーロックが連れ込まれたのは221B のフラット。

「人は自分の家で死にたがるもんだ」と言いながら,バランスを崩して床に倒れ込んだシャーロックに、
「意識を失っていたのは10分だ。 あんたは強いな。たいしたもんだ」と云うドライバー。
住所はシャーロックから聞いたし、鍵もスリ取っていたドライバーは、「僕の部屋だ」というシャー
ロックに、「人は自分の家で死にたがるもんだ」、もがきながら立ち上がろうとするシャーロックに、
あと一時間位はヤクが効いている筈で、今なら何でも好きな事が出来る。心配しなくても良い、あん
たを殺してやるから・・・と余裕でしゃべるドライバー。


(ところで、こんなにヨレヨレのシャーロックは自分で2階に上がれたんだろうか?それのもドライバー
が担いで上がったんだろうか? 妙な事が気になる)



もがきながら立ち上がろうとするシャーロックを椅子に座らせたドライバーは、同じような2つの薬瓶を
出し、それぞれから一錠ずつカプセルを取り出す。

(この辺りからの2人の会話は殆どE1へ引き継がれています)

少しづつ意識がはっきりしてくるシャーロックとドライバーの心理戦。 会話のやり取りもE1と同じ。


そして、シャーロックはドライバーの余命が短い事を見抜きますが、E1の様に子供の存在も出て来ず、
何となくあっさりと流されます。
E1でシャーロックは自ら犯人の懐に入り込み、冷静かつ対等にドライバーと会話し 追い詰めていき
ますが、ここでのシャーロックはヤクで朦朧としているので犯人を追い詰める過程も弱い様な感じ。
仕方ないですね、ヘロヘロなんだから・・・
このドライバーが何故5人もの殺人を犯したのか・・・は、余命が短い為自暴自棄になってという事で、
犯行動機としては何となく曖昧。
E1では子供の存在があり、そしてモリアーティーの影が出る事により、犯行理由により説得力が出ました。
( 犯人が動脈瘤”aneurism”を患っているというのも正典の踏襲です)


ドライバーからどちらかのカプセルを選ぶように指示されていた時、外の通りで車が急停止するブレー
キの音と共に、窓越しに点滅するパトカーのブルーライトが見える。
(カプセルが入っている瓶もE1で透明な瓶に変わり 各瓶にカプセルが一つづつ入っているのが分かり
やすく変更されています)
シャーロックもドライバーもパトカーの存在に気付いている。
その時、部屋の電話の着信ライトが点滅するのに気付いたシャーロック(勿論ドライバーも気付い
ている) シャーロックはニヤリとしながら、”Good old Doctor Waton. I underestimated him”
「ドクター・ワトソン。 彼を見くびっていたよ」(シャーロックは直ぐにジョンからだと分かって
いたんですね)
 ”good old Watson” は正典でもホームズが良く口にするフレーズです)




シャ-ロックは勧められなかった方のカプセルを手に取り、ドライバーがもう一つのカプセルを手に
取る。 シャーロックが取らなかった方をドライバーが手に取り、シャーロックがカプセルを口に入
れようとした時、銃声が響き渡り窓から飛び込んできた弾丸がドライバーの胸を貫通して シャー
ロックの背後の壁に突き刺さりります。
(E1では少しの間息がありシャーロックに痛めつけられたドライバーもE0では即死でした)




カプセルと取り落としテーブルに倒れ込むドライバーを見て衝撃を受けたシャーロックは 一瞬倒れ
たドライバーを見下ろしていたが 慌てて窓へ駆け寄り外の通りを探します。

(ところで又チョット余計な疑問。 ドライバーは窓に背を向けて座っており、シャーロックはドラ
イバーと向かい合わせに座っているのですが、窓越しにドライバーを射撃して銃弾が貫通して向かい
合って座っていたシャーロックに当らず壁に突き刺ささるというのは凄く無理がある様な気がします。
いくら射撃の名手のジョンと言えどもスコープも付いていない訳だし・・・・
で、この点もE1ではシャーロックが窓を背に、ドライバーが向かい合って座るという事で何とか解消
されている。)
 この向かい合った建物の窓から221Bを窓越しに射撃するというのは、正典”The Empty House”
「空き家の冒険」でモラン大佐が221Bのホームズを射撃する事を踏襲しているのでしょう)

その後別のパトカーで駆け付けたレストレードは他の警官たちに、「誰か見た者は? 何処から撃った
んだ?誰が撃ったんだ?今すぐ一帯を封鎖しろ」と叫んでいる時、シャーロックは向かいの建物へ視線
を向けると 一つの部屋に灯りが点いていて窓が少し開いていた。 この窓を見つめるシャーロック。


話が逸れるのですが、このドライバーの訛り(cockney)が聞き取り難くて良く分かりません(汗)
演じているのはフィル・デイヴィスで 思い付くだけでも 「Whitechapel、「Silk」、「Dr.Who」等
数多くの作品に出演しているベテラン俳優ですが、他作品ではこんなに訛ってません(当たり前)。

又、このドライバーはE0では付けていませんが、E1では「ロンドン・ブラックキャブ 」ライセンスを首
から下げていました。 ロンドンのブラックキャブのドライバーライセンスを取得するのは大変困難だ
そうで、それ故信頼がおける立場であるという訳なので 「誰にでも信用される、誰も疑わない」とい
う幽霊の様な立場である事を印象付けていました。




・・・・・to be continued です。




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2 コメント

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>ジョンが走り出した理由 (Yam Yam)
2017-11-12 11:56:51
Mistyさん、こんにちは。
何時も有難うございますm(__)m

久々にパイロットを観直していて、忘れていた点や気付かなかった点を改めて思い出しています
が、仰る通りパイロットでの矛盾点や説明不足の点やらをE1では全部しっかり埋め直している感
じですね。
でも、私も同感なんですが、パイロットは別の意味で面白いし感動させられる部分も多いですね。
未だ発展途上の感はありますが、その分純粋な感じもします。

そう言えば、ジョンが忘れた杖ですが、E1ではシャーロックがジョンのトラウマを取り除こうとして
一見無駄に思えるタクシー追跡をしていた様に思います。 E0ではジョンがシャーロックを思い
E1ではシャーロックがジョンを思い・・・って感じでしょうか?

やっぱりダラダラ長くなっていますが、次で終わらせようと思います。
又漏れや間違いのご指摘頂ければ嬉しいです。(最近益々ボケが・・・涙)
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ジョンが走り出した理由 (Misty)
2017-11-11 20:16:04
こんばんは。
ジョンが杖を忘れてレストランから飛び出した理由、言われるまで意識していませんでしたが、確かにパイロットではシャーロックを心配して…なんですね!嬉しい発見です。

意識を失ったシャーロックをどうやって221Bの2階にあげたかとか(酔っ払いを介抱するフリで肩を貸してとか…ジョンはどうやって向かいの建物に入れたかとかも。

犯人の動機も、ジョンの射撃についても、E1では弱かったところや穴をちゃんと埋めている感じなんですね。なるほどです。

でも、色々ストーリー上穴はあったとしても、パイロットが面白いなと思えるのは、やっぱりシャーロックとジョンの友情の始まりがちゃんと中心にあることや、正典からのいろんなネタを楽しんで散りばめたんだろうなぁ…というのが感じられるところかな…という気がします。会話の骨格は結構既にできていて、セリフが気が利いていて面白いのもあるかもしれませんね。
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