田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

トイレの花子さんの裏ネタです/麻屋与志夫

2011-07-03 18:34:55 | Weblog
7月3日 日曜日

プログです。

●メイキング・オブ「学校の怪談」
making (製作中)の意味でここでは使っています。
このほかmake believeでpretence(振りをする)という意味にもなる。
わたしも昔はかなり人気のあった物書きだった。
だから、いまでも人気のある作家の振りをしてもバチはあたらないだろう。
寂しいんだよね。
カムバックしたいけど無理なのだろうな。
なかなかよろこんで読んでもらえるような作品が書けないんだ。
そこへきて、ツルちゃんから、トイレの花子さんに「怖い。怖い」と絵文字入りのコメントがはいった。
うれしいな。
これからもガンバルね。

●トイレの花子さんの裏ネタです。
まずななみちゃんありがとう。
「六年生のトイレに花子さんがいる」という情報。
おもしろかったよ。
どこの学校にもトイレには花子さんが住みついている。
とわかって、たのしかった。
その一行からこのエピソードは生まれました。

●クララのはなしは、カミサンからきいた。
彼女の東小学校での体験に由来している。
もちろん、そのころはイジメなんかなかった。
西沢先生が演劇の指導をしていて、すばらしい結果をだしていた。

●そのカミサンから、花子さんのトイレで、悲運にみまわれたのが、花子さんでは……といわれた。

●どこの学校にも「トイレの花子さん」はいると思う。
ただ、お話を作り上げる人がいないと、そこまでで、怖い話が発展しない。
これで東小学校には一つの伝説が生まれたことになる。
わたしは、こうした話はどんどん増殖していくと、さらにおもしろいとおもっている。

●花子さんの話に、新しい花子さんの話が重なっていく。
わたしが塾を始めたころ、全国の町かどに「口裂け女」があらわれたように。
その町にしかない怖い話がある。
その町でしかきくことのできない、恐怖の伝説がある。
その学校にしかない「トイレの花子さん」がいる。
それは、
それで、
恐怖の伝播力、
怖い話はウツル、
伝染するんだぞ、
ということで、怖いですよね。

●全国の学校でそれぞれの「トイレの花子さん」の話がきけたらたのしいでしょうね。

●さいごのオチは蛇足だったかな。
悪いことをすれば――報いがある。
どうも教師臭いオチだといまではおもっています。
書くことはたのしい。
されど書くことは、ムズカシイ。

●それから、小学生のわたしはトイレがこわかった。
トイレに行くのがこわくて、学校にいてもあまり水を飲まない子でした。

●話題はがらりとかわります。
先日、日光に行った時、見つけました。
「超能力シスタ―ズ美香&香世」の続編を書くときに使える建物を。
日光柳生流但馬道場としてのイメージをふくらませることのできる古いお屋敷を。
まだ日光にはこうした古いたてものがあるのですね。
古いとはすばらしいことですね。








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連載開始「とある田舎町の学校の怪談」episode 1 トイレの花子さん  麻屋与志夫

2011-07-03 11:19:32 | Weblog
     とある田舎町の学校の怪談              

episode 1 トイレの花子さん

さあ、こわがりの女の子はいないかな?
こわいはなしのすきな男の子は――キミかな。
 
放課後もだいぶおそくなった。
あすは学校祭。
演劇部のH子たちは、暗くなるまで小道具の点検をしていた。
練習のほうはもうOK。
H子は準主役のクララ。
「アルプスの少女ハイジ」がその演目だ。
H子は車いすのにあいそうな、おとなしい子だった。

H子は六年生のトイレにかけこんだ。
「ヤダァ。だれがはいっているの」
どのトイレもノブの下が使用中の赤マークになっていた。
いちばん奥なら……あいている。
だって、あそこは開かずのトイレ。
オバケトイレ。
花子さんの呪いがかかっているというトイレだ。

足踏みしながら、だれかでてくれないかな、とまった。
どのドアも赤のままだ。
だれもでてこない。
おかしいなとはおもった。
でもオシッコもれそう。
もうがまんできない。

勇気をだして奥のトイレへ進んだ。
渡り廊下がギシギシと音をたてた。
きしんだ。
わたしふとったのかな?  
少女はふとおもった。
そろそろじぶんの姿が気になるとしごろだ。
花子さんのトイレのノブにふれた。
ひんやりとした。
つめたかった。
手が凍ってしまうほどの冷気だ。
少女はブルッとふるえた。
それでも勇気をだして、おもいきってノブをひいた。
だってここまできてオシッコをもらすわけにはいかない。

さて、それからどうなったと思うかな。
トイレの内側にはノブがなかったのだよ。
少女はとじこめられてしまった。
そとに出られない。
そんなことは、きいていなかった。
ノブがないなんて……。
だれも知らなかった。
「センセイ。タスケテ」
「おかあさん。タスケテ」
「アカリちゃん。たすけて」
「絵美ちゃん。たすけて。クララの役、ゆずってもいいから」

絵美ちゃんはクラらの役、とてもやりたがっていた。
少女はいっしょに残っていた演劇部員の名前をつぎつぎに呼んだ。

そのころになって少女は気がついていた。
トイレは全部ふさがっていた。
その数は、演劇部員の員数だった。
イジワルサレテいる。
イジメだ。

……タスケテ。タスケテ。タス……ケテ。

トイレの周囲のタイルの壁に花子、花子、花子。
という文字がうかびあがった。
文字は、タイル張りの壁をながれだした。
花子。
……真っ赤な血で書いたような文字。
ながれては消えた。
消えてはまた花子、とさらにおおきな字となってうかびあがってきた。
不気味な血の色が明滅していた。

それでも、だれも助けにはきてくれなかった。

少女の声はひくくかすれてしまった。

そのあとね、少女を見た人はいない。

翌日。
クララの役をやった絵美ちゃんが――幕が下りてから叫んだ。
真っ青な顔をして。

「ごめなんさい花田さん。ごめんなさい。わたしがわるかった」

でも、絵美ちゃんはそれからずっといまでも、車いすの生活をしているんだよ。
うしろから花田さんに抱きしめられている。
悲しそうにそういっている。

少女の名前はね。花田花子というんだよ。


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