田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

episode6 二階の窓に人影が/麻屋与志夫

2011-07-09 11:36:34 | Weblog
とある田舎町の学校の怪談。
episode6 二階の窓に人影が


蒸し暑い夜。

「お父さん、車止めて!!」
「どうした。塾にわすれものか?」
「二階の窓に人影が見えた」

小学校の二階の窓。
たしかに人影を見た。
橋本修はこの小学校を去年卒業している。

「ぼくの一級センパイがあそこから飛び降り自殺してるんだよ」
「そんなこともあったな」

父親の修三も覚えている。
やはりこの小学校の卒業生です。
小さな田舎町だ。
何代にもわたって、同じ学校の卒業生。
そんな家庭がおおい。
それにしても、かわったものだ。
門扉は固く閉ざされている。
外部からの侵入を拒んでいる。
昔のように学校が安全な場所ではなくなってしまった。
たしかに修がいうように。
人影が見えたようなきがする。
息子は不満らしかった。
修三は校門から離れた。
このさきでは、クリーンセンターの所長が拉致され、殺されてしまった。
街灯もなく闇が支配している。

それからまもなく、銀輪のかすかなおとがした。
タケシと文彦のふたりずれだ。
修とおなじ塾からのかえりだ。
東京に本部のある大きな塾だ。
東京だったら、この時間でも人通りは途絶えません。
ここは田舎街。
ほとんど真っ暗です。
自転車のライトが闇をきりさいている。

かれらは、校門をのりこえました。
中学三年生。
怖いもの知らずのとしごろです。
黒い影が教室の机にすわっていた。

「ぼくも進学したいよ」
幽霊がいいました。
「おまえ、黒岩か?」
タケシがふるえながらききました。
ふりかえった顔は、崩れています。
「ぼくも宇都宮高校を受験したいよ」
「ああ、黒岩なら宇高なんがチョロいよ」
「これ、やってみるか?」
文彦は数学の問題をわたしました。
幽霊は問題を解くことに熱中している。
文彦はタケシの腕をつついた。
ふたりはそっと階段をおりた。
校門でふりかえった。
幽霊はまだ机にむかっていた。

それからまもなく、マサキと健が教室にはいた。

「ぼくも進学したいよ」
黒岩の幽霊がそっとつぶやいた。
マサキも健も恐怖のあまり腰をぬかしてしまった。
崩れた顔がせまってきます。
ウジが顔からはいだしている。
吐き気をもよおかような、腐ったにおい。
はって逃げた。
でも、幽霊のほうがはやく移動でる。
「ぼくも受験勉強したいよ」
そういって、ふたりの上におおいかぶさった。
ピチャピチャ。
ズルズル。
ふたりとも体液のすべてをぬきとられてしまった。

「ぼくも宇高へ進学したいよ」
幽霊が、まだつぶやいていた。

翌日校門の前で、ふたりの自転車が発見された。
ふたりが、どこにいったのか、だれも知りません。

ただ、そのご、窓に映る影は三つになりました。

でも夜校舎に入ろうとする少年はいまのところ、いません。
 

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吸血鬼ににらまれると石になるの? /麻屋与志夫

2011-07-09 03:12:51 | Weblog
7月9日 土曜日
episode5「図書室の二宮金次郎」の裏ネタです。

●石化したのちに再生して永遠の命を得る話は、
半村良が『石の血脈』でかいています。
高校生になったらよんでください。
そのほか、テイム・パワーズに『石の夢』という作品があります。
主人公が吸血鬼一族に追われる怖い話ですよ。
これも高校生でないとよむのは無理でしょう。
もう二冊。
『石の結社』荒巻義雄。
おなじタイトルで、デイヴィッド・マレルもかいています。
このほうはサスペンスはありますが、怖い話ではありません。

●バイブル。
ヨブ記五章二十三節にも気になる言葉があります。
『あなたは野の石と契約を結び』ざんねんながら、
わたしには意味不明です。
でもなにか、吸血一族の影のようなものをよみとりす。
ネピリムとして聖書の時代からいた種族です。

●それにしても、
わたしにとっては、
石にされ、あとになって生き返るなんて恐怖です。
石になっている間に、ハンマーで砕かれたら、
どうしょう!!
刃物や薬で殺されるよりハンマーで殴られて粉々にされるなんて、
怖いですね。
怖いです。
じぶんだけで、さくじつの、episode5は怖がってかきました。
でも、これは長編でこそいかされるテーマですよね。
いつか挑戦してみたいな。
なにしろ、この街は、
石の街大谷と鹿沼石の産地深石にはさまれた低地にあります。
舟形盆地に発展してきた街なのです。
この地方の、いろいろな伝説や民話を参考にして怖い話をかいてみたいです。

●それから、これはなんどかかきました。
九尾の狐(ナルトで有名ですよね)の伝説もあります。
玉藻の前。
那須で殺生石になりました。
ケッコウこの地方にもほりおこせば、
小説のネタはころがっているものです。

●二宮金次郎の石像が動きだす怪談はどの学校にもあるようですね。
そのうちほかのバージョンでトライしてみたいものです。
なにかおもしろいしはなしがあったら、教えてください。

●さくじつのepisode5では、
『吸血鬼ににらまれて石にされてしまったのです』
と、なんの伏線もなく一行かきました。
その言い訳、説明になってしまいました。
ゴメンナサイ。



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