田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

魔闘学園   麻屋与志夫

2008-09-23 12:07:26 | Weblog
喉が渇いた。
ここは、どこなのだ。
順序よく、思いだすことはやめた。
喉が渇き、そしてはげしい空腹がおそってきた。
ケイコはどこにいるのだ。
ケイコ。返事してくれ。
「ケイコ、どこだぁ」
かなり長く、拘束されていたようだ。
転がった。
ごろりところがると。
窓のそばで、たちあがった。
腹筋の力だけで。
窓からそとをのぞける。
「なんだこれは」
三津夫がみたものは奇異な光景だった。
Fデパートの屋上でみた鹿沼のミニイチャアにすごくよく似ていた。
しかし、どの建物も白い布で覆われていた。
布は紗のように透けている。
それがなにか得体がわからない。
特殊加工された布なのか? 
どうした意図でこんなことをするのか。
あたり一面雪でもふりつもっているような白い世界だ。 
なにが目的なのか。
三津夫の小屋を見張っている男たちも。
うえからしたまで白装束だ。
白装束の集団だ。
高い鉄塔がある。
鉄塔の基底部にも白い布がまかれている。
樹木などは細い枝のさきまでまっ白だ。
いたるところ白の世界。
白い景色を夜の月がてらしていた。
三津夫の知っているぎりでは。
鉄塔の下にこんな街はない。
むろん、街は縮小模型だが。
こうした場所がある話しはきいたことがない。 
鉄塔からは金属のこすれる音がひびいていた。
電線は巨大な弦楽器のリード。
びゅんびゅんと鳴っている。
その音に可聴領域ぎりぎりの音がはいっている。
ひとの心にヤスリをかける音。
いやな音。
不安にさせる音だ。
三津夫はその音とたちむかうように。
監禁からぬけだす意思を強めた。
ケイコに会いたい。
筋肉がこわばってきた。





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