田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夜のパトロール 3 /奥様vampire 麻屋与志夫

2009-07-01 13:10:26 | Weblog
奥様はvampire 15

○「もう遊具のある河川敷公園をぬけた。もう土手にとびのった。もうすぐそこ」

もう、もう、を連発しているのは玲加が人狼とのファストコンタクトに恐怖を感じ

ているからだ。血なまぐさい臭いがすぐ目前で発散している。それでもわたしたち

の後ろにかくれるようなことはしない。健気だ。

足音もしない。姿も消えている。獲物に食らいつく一瞬の間合いに人狼は穏行し

た。

「ここよ」カミサンのばらの鞭が玲加の眼交を薙いだ。鞭が風をきる。空間にぱっ

と蔓バラが咲いたように血が噴いた。ああ、しかしそれは緑の血だった。

「なるほど……うわさどおりのテダレだな」

「玲加。犠牲者をみてきて。助からないとはおもうけど」カミサンが囁く。

「ひとりでは危険だ。ついていってやれ」

「なめられたもんだな」と人狼。

河川敷に走り下りるカミサンと玲加を後ろ目に見ながら人狼が呟く。女子学生がさ

わぐようなイケメンのヤサオトコダ。この姿で生贄に近寄るのだろう。わたしは胸

に吊ったホルスターからクイックガン。男の胸に銀の弾を撃ち込んだ。男は信じら

れないといった表情で倒れた。ジュッと青い粘液となって溶けていく。わたしはこ

れを試したかったのだ。伝説どおり銀の弾丸の効果はあった!! 厚木の基地から密

かに持ち帰った拳銃がいまごろになってやくにたった。だがほんとうにいまごろな

のか。わたしに孫がいる。カミサンがいる。玲加が助っ人に駆けつけている。

すべてこれらは、植えつけられた、いつわりの記憶のような気がしてきた。拳銃は

艶やかな光沢をはなっている。使い慣れた感じだ。誰が手入れしていたというの

か。わたしはカミサンのたちの後を追いかけた。

       



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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