奥様様はバンパイァ 60
○「猛夫がきてくれてたすかったよ。こんなところであらそいたくはないもの」
「無断欠席がつづいたので、五十嵐先生が心配している」
「月曜日からは出席する」
「わたしもよ」
「仲がよくて、いいですね。これでお狐さんたちとのあらそいはなしですね。で
も……章夫さんたち過激派に噛まれたRFはどうなりますかね」
猛夫が固い表情で武の顔をのぞきこむ。
武もなんにんかは噛んでいる。
血をすすっている。
それがいまでは悔やまれる。
マインドバンパイァ、見園玲加とつきあいだしたからだろう。
彼女の支配下にある。でもなんともうれしい。
このキラキラするようなよろこび。
血を吸ったり、肉食系として山野をかけめぐってエモノを捜すより心が高揚する。
わくわくする。
猛夫が鼻をひくひくしている。
「だれか、スーパーのうらでおそわれている」
いちはやく玲加ははしりだしていた。
「おそわれているのは、クラスメートよ」
テレポートするように速い。
バンパイァ特有の走りだ。
武も負けていない。
「なんだぁ。きさまら」
暴走族が女子高生をとりかこんでいた。
彼らにしたら、なにもない空間に玲加と武がわいてでたように見えたろう。
「わたしは、このひとたちのクラスメート。お友だちよ」
「ぼうやたち、なにしてるのかな」と武。
「なんだぁ!! お前らのほうがガキだろうが」
暴走族のいくつもの顔が怒気を含んで叫んだ。
くるわ。
玲加は感じた。
チエンがうなりをあげてとんできた。
武と玲加がぐっとチエンをひとにらみした。
チエンの先が伸びきらず〈?〉クエスチョンマークのようにかたまった。
「なんだ。どうしたんだよ。ケントさん」
玲加もおどろいていた。
武と組むことによって、ふたりには新たな力、念動力が発現したのだ。
「ケント!!!」
どたっとケントが倒れた。
わたしたちはあらたな歴史のページのなかにいる。
サイコキネスで戦っている。
すてき。
わたし歴史をつくっている。
この歴史の好きなわたしが、歴史のなかにいる。
すてき。
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