田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

白昼の教室で3/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-07 08:00:39 | Weblog
奥様はバンパイァ 21

○武は洋子から切りとった髪を上になげた。

一瞬教室が暗くなった。

その闇の中で武は洋子の首筋を狙っていた。

白昼の教室が惨劇に戦慄した。

沈黙に支配された。


わたしたちは吸美族のものだ。人を常食としているもの、人の肉を食らい、人の血

を吸うものは許せない。玲加は吸美族だけが感応する凄まじい怒りを覚えた。そこ

で、犬飼武にストレートパンチをくりだした。わたしたちは人狼に拒まれたので、

約束の地、安住の地、陸奥に行きつくことができなかった。奈良飛鳥のころの話

だ。人狼の攻撃にあい、わたしたち吸美族はこの低地、化沼で滅亡した。この犬飼

の村落で、都をでるときから頼りにしてきた遠い昔は同族であったものたちの裏切

りにあった。ここまで逃れてきたのに……。もう陸奥はすぐそこだと安堵したため

にその隙をつかれて滅ぼされた。

吸美族の中でも武闘派。精神波、マインドで戦う術をもつものたちがいま少し早く

この化沼に到着していれば玉藻の前さまたちは滅ぼされなかった。悲しいことだ。

いらいこの地にわたしたち一族のものがひとしれず住みついてきた。それが美智子

おばさまだ。先祖の恨み、美智子おばさまの嘆きが、玲加の叱咤の言葉となった。

英語だったのが歴女にふさわしくなかったが――。

あんたら、人狼よ。なにを食い、なにを飲もうとしているの。ああ信仰うすき者

よ。さらば何を食ひ、何を飲み、何を着んとて思い煩ふな。『マタイ伝六章』

30~31 You with little faith? So never be anxious and say, ‘What are we

to eat?’ or ,‘What are we to drink?’ or, ‘What are we to put on?’

玲加はクリスチャンではない。だが、幼いときからバイブルクラスにでていた影響

で興奮するとバイブルの言葉が口をついて出る。‘What are you to drink?’ と

叫んでいた。教室の中に玲加の叫びがなりひびいた。みんな唖然としている。拍手

がした。担任の英語の先生、五十嵐満男が黒板の前に立っていた。教壇から下りて

くる。

「なにもなかった。なにもみていない。それでいいな。玲加の発音はすばらしい。

もうそれだけでも5評価をやるからな」

わたしを抱きこんでいる。生徒を、評価を楯に懐柔するようじゃあんたはダメ教師

よ。評価は1ね。とは玲加は声にはしなかった。

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