田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

先生に殺されちゃうよ イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-09-25 11:36:21 | Weblog
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やはりこの世には〈闇〉の領域がある。
それがいちばん根深く存在しつづけているのは。
学校だ。
誠がはじめて悪魔をみたのは小学校だった。
悪魔は教師の顔をしていたのだ。

それは、教師に暴力をふるわれ。
ぜったいにさからうことのできない状況。
での。
悲痛な認識だった。

泣き叫びながらも……。
それを父にもいえない。

それは誠の小学生の時の体験でもあった。
鼻血で顔を染め。
床に倒れ。
あやまる誠に。
容赦なく竹の鞭がふりおろされた。

生徒はなぐってはいけないのだ。
どんな理由があっても。
けっしてさからうことのできないものを。
抵抗できない幼いものを。
教師が……それも愛の鞭などと嘯いて。
なぐることは許されることではないのだ。

本来は竹の指示棒であったもの。
黒板の重要な文章や絵を指示して。
生徒の注意をうながすはずの。
竹の棒が。
茶筅のようにこまく細かく裂けてしまっていた。
びしっ、びしっ、びしっ。
竹は微小な鋼鉄の線。
微細な憎しみの線。
細い線のいっぽんいっぽんに憎悪が宿っていた。   
誠の背中は苦痛の悲鳴をあげていた。
ミミズ腫れになった。
橋田先生に叩かれる度に、はねあがった。  
先生の顔はこの世のものではなかった。

悪魔の形相だ。

ニッと異様に白い歯をみせて笑っている。
たのしんでいる。
殺されるかもしれない。

殺される。

いまでなくても、いつか……殺される。

廊下をほかの先生が通り過ぎていく。
先生がなんにんも、なんにんも。
顔をそむけて……。
通り過ぎていく。
先生は、なにも見ていない。
先生は、なにも聞こえない。 
先生は、なにも知らない。
先生は、まっすぐ前をみて歩み去る。

ああ、だれか。
神様たすけてください。

それほど、先生は怖かった。


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