心臓を一突き
18
兇暴な爪がじわじわと迫ってくる。
いっきに間合いをつめてこない。
そのほうが恐怖心をあおることをよくしっている。
「純。心臓よ。夢道流、胸突きの剣」
「一点に集中し敵の胸を抉る。敵をたおすには最高の技なり」
純が小声で翔子の忠告のつづき、
夢道流の奥義のくだりを暗唱する。
翔子も剣をぬいて戦っていた。
百目鬼も特殊警棒で敵の喉笛をねらっている。
それらの動きをはじめてみるゆとりが一瞬だができた。
だが、その間に、巨漢は目前にせまっていた。
巨漢の腕がヌウッと純の首筋にのびた。
かまわず、純は鬼切丸を真っ直ぐにつきだした。
ぶすぶすと肉に食い込むてごたえがあった。
巨漢がたたらを踏む。
ジワッと巨漢が縮んでいく。
みるまに、
空気をぬかれたプラスチックの人形のように舗道に皮だけがわだかまる。
そしてチリとなり、風にふかれて新宿の夜の中に散っていった。
その方角からヘッドライトを光らせて車がくる。
パトカーだった。
「今夜は、ここまでだ。引くぞ」
芝原の怨嗟をこめた低い声が夜の底にひびく。
プチしていただければ作者の励みになります。
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兇暴な爪がじわじわと迫ってくる。
いっきに間合いをつめてこない。
そのほうが恐怖心をあおることをよくしっている。
「純。心臓よ。夢道流、胸突きの剣」
「一点に集中し敵の胸を抉る。敵をたおすには最高の技なり」
純が小声で翔子の忠告のつづき、
夢道流の奥義のくだりを暗唱する。
翔子も剣をぬいて戦っていた。
百目鬼も特殊警棒で敵の喉笛をねらっている。
それらの動きをはじめてみるゆとりが一瞬だができた。
だが、その間に、巨漢は目前にせまっていた。
巨漢の腕がヌウッと純の首筋にのびた。
かまわず、純は鬼切丸を真っ直ぐにつきだした。
ぶすぶすと肉に食い込むてごたえがあった。
巨漢がたたらを踏む。
ジワッと巨漢が縮んでいく。
みるまに、
空気をぬかれたプラスチックの人形のように舗道に皮だけがわだかまる。
そしてチリとなり、風にふかれて新宿の夜の中に散っていった。
その方角からヘッドライトを光らせて車がくる。
パトカーだった。
「今夜は、ここまでだ。引くぞ」
芝原の怨嗟をこめた低い声が夜の底にひびく。
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