8
「ぼく我田先生のことウランデなんかいないからね。先生は人狼に憑かれていたんだ。のっとられていたんだね。人狼のいいなりに動いていたんだ。先生が先生でなくなっていたんだ。先生もかわいそうな犠牲者なんだ」
あれほど迫害を受けたのに翔太は泣いていた。
我田先生のために泣いていた。
恨みをのこしていない。
たとえ、悪魔にたいしてでも、完全な憎しみをもってはいけない。
慈しみの心で敵を許すのだ。
悪魔は堕天使だ。
かつては、神に一番近い天使だったのだ。
愛の一かけらくらい、まだのこっているはずだ。
その愛に訴えかけてやるのだ。そうすれば……。
「こうやって、ぼくらは戦ってきたんだね。ジイチャン。勝平ジイチャン。悲しいことだね。でもぼくらは戦いつづけなければらないんだ。セツナイね。むかしから、戦いがつづいてきてるんだね。はやくおわりにしたいね」
「そうだ。戦いのない明日のためにおれたちは戦いつづけてきたんだ」
「ありがとう、ジイチャン。いろんなことがわかってきたよ。戦いのない明日のために、いままたぼくらは戦いはじめたんだね」
ボクはこのとき気づいた。
ジイチャンの体からは血が流れていた。
背中に人狼にひっかかれた深い傷があった。
ぼくはパパに教えた。
「心配するな。これくらいの出血では死にたくてもお迎えがくることはない」
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「ぼく我田先生のことウランデなんかいないからね。先生は人狼に憑かれていたんだ。のっとられていたんだね。人狼のいいなりに動いていたんだ。先生が先生でなくなっていたんだ。先生もかわいそうな犠牲者なんだ」
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たとえ、悪魔にたいしてでも、完全な憎しみをもってはいけない。
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愛の一かけらくらい、まだのこっているはずだ。
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「そうだ。戦いのない明日のためにおれたちは戦いつづけてきたんだ」
「ありがとう、ジイチャン。いろんなことがわかってきたよ。戦いのない明日のために、いままたぼくらは戦いはじめたんだね」
ボクはこのとき気づいた。
ジイチャンの体からは血が流れていた。
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