田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

悪魔を憐れむ イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-19 13:45:46 | Weblog
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「ぼく我田先生のことウランデなんかいないからね。先生は人狼に憑かれていたんだ。のっとられていたんだね。人狼のいいなりに動いていたんだ。先生が先生でなくなっていたんだ。先生もかわいそうな犠牲者なんだ」

あれほど迫害を受けたのに翔太は泣いていた。
我田先生のために泣いていた。
恨みをのこしていない。

たとえ、悪魔にたいしてでも、完全な憎しみをもってはいけない。
慈しみの心で敵を許すのだ。
悪魔は堕天使だ。
かつては、神に一番近い天使だったのだ。
愛の一かけらくらい、まだのこっているはずだ。
その愛に訴えかけてやるのだ。そうすれば……。

「こうやって、ぼくらは戦ってきたんだね。ジイチャン。勝平ジイチャン。悲しいことだね。でもぼくらは戦いつづけなければらないんだ。セツナイね。むかしから、戦いがつづいてきてるんだね。はやくおわりにしたいね」

「そうだ。戦いのない明日のためにおれたちは戦いつづけてきたんだ」

「ありがとう、ジイチャン。いろんなことがわかってきたよ。戦いのない明日のために、いままたぼくらは戦いはじめたんだね」

ボクはこのとき気づいた。
ジイチャンの体からは血が流れていた。
背中に人狼にひっかかれた深い傷があった。
ぼくはパパに教えた。

「心配するな。これくらいの出血では死にたくてもお迎えがくることはない」



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