田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

超短編 50 シーラカンスの記憶

2014-06-18 09:18:27 | 超短編小説
50 シーラカンスの記憶

 
高田馬場の駅を降りて目白の方角に彼は歩きだしていた。
西早稲田の娘の下宿とは反対の方角だ。
その夜は、娘のところに泊めてもらうつもりだった。
新宿の「アドホック」でKの出版記念会があった。
それから、うちうちの同人誌仲間と二次会をやった。
Kを囲んで「焼酎屋」で飲んでの帰りだった。
かなり酔っていた。
jazzが歩道にながれていた。
パブの扉が幽かに開いていた。
誘われるように彼は扉を開いた。
先客がいた。
撮影の器具を足元に置いて飲んでいた。

「………が死ぬとはおもわなかったな」
「そうよね。すこし早すぎたわ」
夭折したアメリカのjazzマンのことが話題にあがっていた。
誰だったか?
あのときは、わかっていたはずなのに――。
その店の名前も思いだせない。
歩道から二段ほど下りた。
自転車が三台ほど置いてあったのは覚えている。
記憶があいまいになってきている。
なにか作品を書く上で必要とされていることなどは、スポっと記憶からぬけおちている。分厚い扉だった。なにかの拍子で、半開きになっていた。
そんなことは鮮明に脳裏に浮かび上がってくる。

彼は誘われたように、扉を大きく開いた。
そこには、先客がいた。マスコミで働いている。言葉の節々にそれを誇示しているのが感じられた。その男の話に反発を感じたためか――。言葉が口をついてでていた。呂律がまわらない。酔いがまわってきた。彼はそれでも、話しつづけた。
「ジャズの帝王。ナベサダが宇都宮工業の学生で、よく鬼怒川の観光ホテルで演奏していました」
彼はふたりの話題に割りこんだ。
「いつのことです」
テレビ局の人間なのだろう。
不愉快な顔。
冷やかすような調子で彼に訊く。
「終戦直後のことです」
「古い話ですね。化石みたいなひとだ」
オチョクラレテいる。
そう。シーラカンスの記憶だ。
「水道橋のたもとに、「スウィング」て、ジャズ喫茶がありましたよね」
彼が、バンダナをまいたママに聞いた。
「娘さんがすぐ近所でカレーライスの店をやってるわよ」
そんな応えがもどってきたのはよく覚えている。
「デキシ―専門の」
「そうそう」
先客はママが目当てで来ていたのだろうか。
すごく不機嫌な顔になっていた。
「もうやっていないのだろうな」
「そうそう」
そんな些細な会話が、よみがえってくる――。

あのとき、遠いアメリカで死んだjazzマンはだれだったのだろう






平安の昔より続く「九尾(吸美)族VS人狼」の怨念の戦いが今蘇る。勝利して月に吠えるのは、どっちだ!

猫の動きから「人狼(じんろう)」の出現を予感していた一人の老人がいた。老人の予感通り人狼が出現し、民族学者の石裂(おざく)は争いの渦にまきこまれていく。那須野を舞台に展開する千年越しの怨念の戦い。勇猛果敢な妻は「あなたのことは、わたしが守る」といい、長女の祥代は「お父さんのことは、見捨てないから」といってナギナタをふるって人狼の群れに斬りこんでいく。那須野ガ原の『玉藻狩り絵巻』さながらの戦いが妻の故郷で勃発したのだ。平安から連綿と続く「都市伝説」は平成の世にも生きていた!痛快無比の壮絶な戦いの幕が、ここに切って落とされた――。

●角川ブックウォーカー惑惑星文庫で検索してください。
 はじめの4ページくらいは立ち読みコーナーがあって気軽に読めますよ。
 ブログとは違ったGGの小説の文章を読んでみてください。



 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。


にほんブログ村 ライフスタイルブログ スローライフへにほんブログ村





最新の画像もっと見る

コメントを投稿