日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎目が合う女という回りくどい女の想像小話

2012年10月05日 | ◎これまでの「OM君」
最初に気づいたのはいつだっただろう。
夏の夕暮れ。
日差しはオレンジ色に変わっていた。
スクランブル交差点。
信号が青に変わるのを待っていた。
ビルの三階の窓からこちらをじっと見る女の視線に気づいた。
赤信号が青信号に変わった。
歩きだした瞬間、女と目が合った。
そのまま女は窓から落ちた。
何の声も聞こえず、そして誰もその事実に気づいていない。
わっ!
俺一人だけが、駆け出した。
ビルの下には何もなかった。
女もいなかった。


ホームで電車を待っていた。
じっとこちらを見ている女。
あのときの女だ。
女のホームに急行電車が滑り込んできた。
女と目が合う。
そのまま女は電車に飛び込んだ。
あっ
女のホームいたホームに駆けあがった。
しかし、周囲は何事も無かったかのような日常の光景。
電車も止まらない。

あの女は存在しない。
おばけだ。
そう思った。

外回りの営業でオフィス街を歩いていた。
また視線を感じた。
女がいた。
歩道橋の上で立っていた。
目があった。
また落ちるか。
そう思って見ていた。
落ちない。
そのかわりこちらを指さしてきた。
何だ。
後ろを振り返る。
ドーンという猛烈な爆発音。
衝撃におもわず倒れ込む。
辺りは白煙で何も見えない。
何かが爆発した。
ガスか?
命はとりあえず助かった。
歩道橋の上を見ると、もう誰もいなかった。
俺は、あのおばけに助けられたということか。
コメント
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