相棒とともに本日のパトロールに出発する。
町の平和を守るのが俺の仕事だ。
最近疲れが取れない。
ちりちりしたものが頭の後ろにいつまでもいる。
「一丁目交差点で錯乱状態の男が暴れているとの通報あり、至急現場に向かえ」
緊急無線が入った。
「近いな」
相棒が言った。
緊急走行用の赤色灯を点灯し、急行する。
(錯乱状態の男か、やばいかもな)
そう思いながら緊張する自分を奮い立たせる。
現場に到着した。他のパトカーはまだ到着していない。俺たちが一番乗りだろう。
うつむく男がこちらに歩いてくる。
静かな動きとは別の恐怖。手には不気味に光るナイフが握られている。
考えるより先に体が動いた。
車から飛び降り、男に声をかける。
「止まれ!ナイフを下に置け!」
男の歩みは止まらない。じりじりとこちらに歩み出る。
「止まれ!」
(どうしようか…う、撃つか…)
ヒップホルスターのボタンに手が掛かる。
相棒はトランクルームからサスマタを取り出していた。
まっすぐサスマタを構えたまま男に突進し、壁にそのまま男を押さえつける。
「ぐ、ぐ…」
俺は警棒を取り出し、ナイフを握る男の手を殴りつける。
金属の乾いた音が路地に響いた。
相棒はサスマタをひねり、男を地面に引き倒す。
ぐったりとする男にとびかかり、くみふせる。
「くくく」
男が笑う。
「何がおかしい!」
男の左手がキラリと光った。
手には軍用ナイフがあった。
しまった、もう一本持っていやがった。
首筋に衝撃が走る。
俺は汗びっしょりで目を覚ました。
「ゆ、夢か…」
ここは自室の俺の部屋だ。
壁の時計に目をやる。時刻は午前10時。
当直空けでさっき眠ったばかりだ。
いやな夢だ。
インターホンがそのとき鳴った。
「おとどけものです」
ゆるゆるとした動作で玄関を開ける。
あまり見かけない黒い色の制服を着た宅配便の若者が荷物を差し出す。
(荷物が届く覚えがないな)
機械的に荷物を受け取り、サインをする。
差出人の欄には財団法人の名前が書いてある。
銀色の輝く見たことの無い素材でつつまれた物が出てくる。
包み紙を開く。
「これは…」
赤い帽子に赤いシャツ。デニムのオーバーオール。
ゲームにうとい俺でもこの衣装は知っている。
これは国民的ゲームキャラクターの衣装だろう。
しかし、どうやらただの布で出来ているわけではなさそうだ。
裏地には迷路のような回路図がプリントされている。
訳は分からないが着てみる。
ハロウィーンも近い。
似合うのならそのまま外に出てみようか。
(やめておけ。DJポリスに後輩が立つと聞いている。)
心の声を無視して、着替えは終了した。
鏡の前に立つ俺は見事にあのヒーローだ。
マンマミーヤ!
と言った瞬間意識を失った。
俺は真っ赤なシャツと真っ赤な帽子、デニムのオーバーオールを着用し、立派な口ひげを生やした姿で夜の町に立っている。
ここは、見覚えがある。
Ⅰ丁目の交差点だ。
静かにたたずむ男が一人いる。
こ、こいつはさっきの男だ。
手にはナイフが握られている。
現場に到着するパトカー。
二人の警官が飛び出してくる。
同僚と俺だ。
「止まれ!ナイフを下に置け!」
まっすぐサスマタを構えたまま男に突進し、壁にそのまま男を押さえつける。
警棒を取り出し、ナイフを握る男の手を殴りつける。
金属の乾いた音が路地に響く。
男を地面に引き倒す。
ぐったりとする男にとびかかり、くみふせる。
やめろ。
そう叫んだつもりがマンマミーヤ!と叫んでいた。
ぴょーんとジャンプし、男をふみつけ持ち上げる。
えい!
とほおりなげた。
制服姿の相棒と俺はポカンとオーバーオールの俺を見つめている。
目が覚めた。
自分の部屋だ。
時刻は夜の八時。
夜勤明けでそのまま眠り続けたようだ。
久しぶりにぐっすり眠ったので頭もすっきりしている。
デニムのオーバーオールは部屋に無かった。
何だったんだろう。
スマホをみる。
相棒からメールが来ていた。
「おい、俺、変な夢を見たんだ。緑の衣装が届いていて、着たら気を失って、気がついたら自分の夢の中だったんだ。で、お前と俺を暴君から助けたんだ。目が覚めたら緑の衣装は消えているんだ。どこまでが夢かわからんよ」
そのころ宅配便の業者に変装した黒い作業着の男は赤と緑の衣装の回収が完了し、次のポリスメン宅に向かっていた。
町の平和を守るのが俺の仕事だ。
最近疲れが取れない。
ちりちりしたものが頭の後ろにいつまでもいる。
「一丁目交差点で錯乱状態の男が暴れているとの通報あり、至急現場に向かえ」
緊急無線が入った。
「近いな」
相棒が言った。
緊急走行用の赤色灯を点灯し、急行する。
(錯乱状態の男か、やばいかもな)
そう思いながら緊張する自分を奮い立たせる。
現場に到着した。他のパトカーはまだ到着していない。俺たちが一番乗りだろう。
うつむく男がこちらに歩いてくる。
静かな動きとは別の恐怖。手には不気味に光るナイフが握られている。
考えるより先に体が動いた。
車から飛び降り、男に声をかける。
「止まれ!ナイフを下に置け!」
男の歩みは止まらない。じりじりとこちらに歩み出る。
「止まれ!」
(どうしようか…う、撃つか…)
ヒップホルスターのボタンに手が掛かる。
相棒はトランクルームからサスマタを取り出していた。
まっすぐサスマタを構えたまま男に突進し、壁にそのまま男を押さえつける。
「ぐ、ぐ…」
俺は警棒を取り出し、ナイフを握る男の手を殴りつける。
金属の乾いた音が路地に響いた。
相棒はサスマタをひねり、男を地面に引き倒す。
ぐったりとする男にとびかかり、くみふせる。
「くくく」
男が笑う。
「何がおかしい!」
男の左手がキラリと光った。
手には軍用ナイフがあった。
しまった、もう一本持っていやがった。
首筋に衝撃が走る。
俺は汗びっしょりで目を覚ました。
「ゆ、夢か…」
ここは自室の俺の部屋だ。
壁の時計に目をやる。時刻は午前10時。
当直空けでさっき眠ったばかりだ。
いやな夢だ。
インターホンがそのとき鳴った。
「おとどけものです」
ゆるゆるとした動作で玄関を開ける。
あまり見かけない黒い色の制服を着た宅配便の若者が荷物を差し出す。
(荷物が届く覚えがないな)
機械的に荷物を受け取り、サインをする。
差出人の欄には財団法人の名前が書いてある。
銀色の輝く見たことの無い素材でつつまれた物が出てくる。
包み紙を開く。
「これは…」
赤い帽子に赤いシャツ。デニムのオーバーオール。
ゲームにうとい俺でもこの衣装は知っている。
これは国民的ゲームキャラクターの衣装だろう。
しかし、どうやらただの布で出来ているわけではなさそうだ。
裏地には迷路のような回路図がプリントされている。
訳は分からないが着てみる。
ハロウィーンも近い。
似合うのならそのまま外に出てみようか。
(やめておけ。DJポリスに後輩が立つと聞いている。)
心の声を無視して、着替えは終了した。
鏡の前に立つ俺は見事にあのヒーローだ。
マンマミーヤ!
と言った瞬間意識を失った。
俺は真っ赤なシャツと真っ赤な帽子、デニムのオーバーオールを着用し、立派な口ひげを生やした姿で夜の町に立っている。
ここは、見覚えがある。
Ⅰ丁目の交差点だ。
静かにたたずむ男が一人いる。
こ、こいつはさっきの男だ。
手にはナイフが握られている。
現場に到着するパトカー。
二人の警官が飛び出してくる。
同僚と俺だ。
「止まれ!ナイフを下に置け!」
まっすぐサスマタを構えたまま男に突進し、壁にそのまま男を押さえつける。
警棒を取り出し、ナイフを握る男の手を殴りつける。
金属の乾いた音が路地に響く。
男を地面に引き倒す。
ぐったりとする男にとびかかり、くみふせる。
やめろ。
そう叫んだつもりがマンマミーヤ!と叫んでいた。
ぴょーんとジャンプし、男をふみつけ持ち上げる。
えい!
とほおりなげた。
制服姿の相棒と俺はポカンとオーバーオールの俺を見つめている。
目が覚めた。
自分の部屋だ。
時刻は夜の八時。
夜勤明けでそのまま眠り続けたようだ。
久しぶりにぐっすり眠ったので頭もすっきりしている。
デニムのオーバーオールは部屋に無かった。
何だったんだろう。
スマホをみる。
相棒からメールが来ていた。
「おい、俺、変な夢を見たんだ。緑の衣装が届いていて、着たら気を失って、気がついたら自分の夢の中だったんだ。で、お前と俺を暴君から助けたんだ。目が覚めたら緑の衣装は消えているんだ。どこまでが夢かわからんよ」
そのころ宅配便の業者に変装した黒い作業着の男は赤と緑の衣装の回収が完了し、次のポリスメン宅に向かっていた。