日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(196)昔々、お爺さんとお婆さんがの「が」について。

2019-04-25 18:19:48 | 「は」と「が」

(01)
① 象ゐる=象はゐて、象以外はゐない
② 龍ゐる=龍はゐる。
である、といふ風に、仮定する。
然るに、
(02)
① 地球上には、象以外に、人間もゐるし、犬もゐるし、馬もゐるし、鳥もゐるし、魚もゐるし、・・・・・・。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 象ゐる=象はゐて、象以外はゐない
といふ「意味」であると、仮定すると、例へば、
① 象がゐる=目の前に、象ゐる。
といふ「意味」であると、せざるを得ない。
従って、
(03)により、
(04)
① 龍がゐる。
とするならば、
① 龍ゐる=目の前に、龍ゐる。
といふ「意味」であると、せざるを得ない。
然るに、
(05)
② 龍は架空の動物ではなく、何処かに、実在する。
といふのであれば、
目の前に、龍ゐる。
といふ「意味」ではない。
従って、
(01)~(05)により。
(06)
① 龍_ゐる=今、目の前に、龍がゐる。
② 龍_ゐる=龍は架空の動物ではなく、何処かに、実在する。
といふ「等式」が、成立するために、必然的に、
① 龍ゐる=今、目の前に、龍がゐる。
② 龍ゐる=龍は架空の動物ではなく、何処かに、実在する。
でなければ、ならない。
従って、
(01)(06)により、
(07)
① Aゐる(た)。
と言へば、
時間場所を限定し、尚且つ、
① A以外はゐない(なかった)。
といふ「意味」になる。
従って、
(08)
① 昔々(といふ特定の時間)の、ある所(という特定の場所)に、お爺さんとお婆さんはゐたけれど、お爺さんとお婆さん以外は、ゐなかった
といふことを、「確認」したいのであれば、
① 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さん住んでゐました。
と、 言ひ、
② 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さん住んでゐました。
とは、言はない、ことになる。
然るに、
(09)
① お爺さんは山に、薪を集めに行き、お婆さんは川へ、洗濯をしに行きました。
② お婆さんは山に、薪を集めに行き、お爺さんは川へ、洗濯をしに行きました。
に於いて、
① であれば、「桃太郎の話」と「同じ」であるが、
② であれば、「お爺さんの行き先と、お婆さんの行き先」が、「桃太郎の話とは、」である。
然るに、
(10)
②(お爺さんではなく)お婆さん_山に、薪を集めに行き、(お婆さんではなく)お爺さん_川へ、洗濯をしに行きました。
であるならば、
②(お爺さんではなく)お婆さん山に、薪を集めに行き、(お婆さんではなく)お爺さん川へ、洗濯をしに行きました。
といふ風に、言ふのが「普通」である。
従って、
(11)
②(お爺さんではなく)お婆さん_山に、薪を集めに行き、(お婆さんではなく)お爺さん_川へ、洗濯をしに行きました。
といふことを、「確認したい」場合は、
① お爺さんは山に、薪を集めに行き、お婆さんは川へ、洗濯をしに行きました。
とは言はずに、
② お婆さん山に、薪を集めに行き、お爺さん川へ、洗濯をしに行きました。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(11)により、
(12)
① お爺さんは山へ行きました=お爺さんは山に行きました。
① お婆さんは川へ行きました=お婆さんは川へ行きました。
② お爺さん山へ行きました=お爺さんは山に行き、お爺さん以外(お婆さん)は、山に行きませんでした。
② お婆さん川へ行きました=お婆さんは川へ行き、お婆さん以外(お爺さん)は、川へ行きませんでした。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① Once upon a time, there lived an old man and an old woman.The old man went to the mountains to gather wood, and the old woman went to the river to do the washing.
② Once upon a time, there lived an old man and an old woman.The old woman went to the mountains to gather wood, and the old man went to the river to do the washing.
に於いて、
① ではなく、
② であるならば、
② 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでゐましたが、お婆さん山に、薪を集めに、そして、お爺さん川へ、洗濯をしに行きました。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(13)により、
(14)
② お爺さんとお婆さんan old man and an old woman。
② お婆さんthe old woman。お爺さんthe old man。
である。
従って、
(14)により、
(15)
「は・が」の「違ひ」は、「不定冠詞(未知)・定冠詞(既知)」の「違ひ」相当する。
といふことには、ならない。
従って、
(16)
」は未知のものを受け、「」は既知のものを受ける。
例えば、「むか~し昔、あるところに、おじいさんとおばあさんいました」と言ったとき、このおじいさんとおばあさんは、突然登場した未知の人です。
でも、「おじいさん山へ芝刈りに、おばあさん川へ洗濯に行きました」と続けた時、このおじいさんとおばあさんは、名前は知らないけど、既に出てきた既知の人です。
(文章の危機管理コンサルタントが日本語について考える)
といふことに、ならない。

(195)私が大野です(大野は私です):未知と既知?

2019-04-25 13:55:55 | 「は」と「が」

(01)
標準的な論理で表してみよう。「W」は述語「・・・は『ウェイヴァリー』を書いた」を表現し、「S」は述語「・・・はスコットランド人である」を表現んするものとしよう。すると、ラッセルの三つの条件は以下のようになる。
(a)∃xWx
(b)∀x{Wx→∀y(Wy→x=y)}
(c)∀x(Wx→Sx)
(a)から(c)までを連言で結んだものは、
(d)∃x{Wx→∀y(Wy→x=y)&Sx}
と同値である。
〔言語哲学―入門から中級まで 単行本 – 2005/12/1 W.G. ライカン (著), William G. Lycan (原著), 荒磯 敏文 (翻訳), 鈴木 生郎 (翻訳), 川口 由起子 (翻訳), 峯島 宏次 (翻訳)、22・23頁〕
然るに、
(02)
「ソクラテスは人間である。」=「ソクラテスといふ人間がゐる。」=「あるxはソクラテスであり、xは人間である。」=「∃x(ソクラテスx&人間x)」
従って、
(02)により、
(03)
「ソクラテス(人名)」は、「述語」であっても、「不都合」はない。
cf.
S=ソクラテス、人=人間、動=動物、とすると、
1  (1)∃x(Sx&人x) A
1  (〃)ソクラテスは人間である。
 2 (2)∀x(人x→動x) A
 2 (〃)すべての人間は動物である。
  3(3)   Sa&人a  A
 2 (5)   人a→動a  3UE
   3(6)   人a        3&E
 23(7)      動a  56MPP
 2 (8)   Sa     3&E
 23(9)   Sa&動a  78&I
 23(ア)∃x(Sx&動x) 9EI
12 (イ)∃x(Sx&動x) 13アEE
12 (〃)あるxはソクラテスと言ひ、xは動物である。
12 (〃)ソクラテスは動物である。
然るに、
(04)
「日本語に即した文法の樹立を」を目指すわれわれは「日本語で人称代名詞と呼ばれているものは、実は名詞だ」と宣言したい。どうしても区別したいなら「人称名詞」で十分だ。日本語の「人称代名詞」はこれからは「人称名詞」と呼ぼう。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、40・41頁)
従って、
(04)により、
(05)
所謂、「日本語の人称代名詞」は、実は「名詞」に過ぎず、それ故、「(人称名詞)」は、「述語」とすることが、出来る。
従って、
(01)(03)(05)により、
(06)
(a)∃xWx
(b)∀x{Wx→∀y(Wy→x=y)}
(c)∀x(Wx→Sx)
(a)から(c)までを連言で結んだものが、
(d)∃x{Wx→∀y(Wy→x=y)&Sx}
と同値である際に、
(a)∃x私x
(b)∀x{私x→∀y(私y→x=y)}
(c)∀x(私x→大野x)
(a)から(c)までを連言で結んだものは、
(d)∃x{私x→∀y(私y→x=y)&大野x}
と同値である。
然るに、
(07)
(d)∃x{私x→∀y(私y→x=y)&大野x}
(e)∃x{私x→大野x&∀y(私y→x=y)}
に於いて、
(d)と(e)は「同値」である。
然るに、
(08)
(e)∃x{私x→大野x&∀y(私y→x=y)}
に於いて、
(e)∀y(私y→x=y)
といふことは、すなはち、
(e)すべてのyについて、yが私であるならば、xとyは「同一」である。
といふことは、この場合は、
(e)私と言ひ得るのは、一人だけである。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(08)により、
(09)
(e)∃x{私x→大野x&∀y(私y→x=y)}
といふ「述語論理」は、
(e)あるxが私であるならば、xは大野であって、私と言ひ得るのは、一人だけである。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(09)により、
(10)
(e)∃x{私x→大野x&∀y(私y→x=y)}
といふ「述語論理」は、
(e)私は大野であり、私以外に大野はゐない
といふことを、「意味」してゐる。
然るに、
(11)
(e)私は大野であり、私以外に大野はゐない。
といふのであれば、必然的に、
(e)私は大野であり、大野は私である。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
(e)私は大野であり、大野は私である。
(f)私は大野であり、私が大野である。
(g)私は大野であり、私以外に大野はゐない。
に於いて、
(e)=(f)=(g) である。
従って、
(13)により、
(14)
(e)大野は私です。
(f)私大野です。
(g)私以外に大野はゐない
に於いて、
(e)=(f)=(g) である。
然るに、
(15)
 ラッセルの記述の理論
ラッセルによる the の文脈的定義は次のようなものである。典型的なものとし、The F is G. という文の形えおとりあげよう。
 ― 中略 ―
(5)The author of Waverly was Scotch.
『ウェイヴァリー』の著者がスコットランド人であるならば、そのような著者がいることになる。また、著者が二人以上いるとしたら、the が用いられているはずがない
〔言語哲学―入門から中級まで 単行本 – 2005/12/1 W.G. ライカン (著), William G. Lycan (原著), 荒磯 敏文 (翻訳), 鈴木 生郎 (翻訳), 川口 由起子 (翻訳), 峯島 宏次 (翻訳)、21.22頁〕
(01)(15)により、
(16)
(5)The author of Waverly was Scotch.
(5)∃x{Wx→∀y(Wy→x=y)&Sx}
に於ける「the ・・・」は、「既知の存在である。」といふことより、「the ・・・」が、「唯一の存在である。」といふことを、示してゐる。
といふ風にも、「見做す」ことが、出来る。
従って、
(13)(16)により、
(17)
(f)私が大野です。
といふ「日本語」を、
(f)I am the 大野.
といふ風に、「言い換へ」ることが、出来るのであれば、
(f)I am the 大野.
の「the 大野」は、「唯一の大野」であり、その「唯一の大野」が、すでに登場していて「既知である、大野と、一致する。」
といふ風に、「見做す」ことが、出来る。
然るに、
(18)
(1) 既知と未知
 私は大野です。
という文は、檀の上に立って私なるものが聴衆に見えている。それで、私なる存在については相手もこれを見て知っている、すると、それを既知扱いにして「私は大野です」という。この「大野です」という部分は実は未知の部分にあたり、「私は(ダレカトイウト)大野です」の意味である。
(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、24・25頁)
然るに、
(19)
①  私大野です(I am 大野)。
に関しては、「それでも良い(?)」としても、
② 名前大野です(My name is 大野)。
であれば、
② 名前=大野
である。
従って、
(19)により、
(20)
①  私(知)大野(未知)です。
であって、
② 名前(知)大野(未知)です。
である。
従って、
(12)(20)により、
(21)
③  私(知)大野(既知)です。
といふことも、「疑はしい」と、言はざるを得ない。

(194)「象は鼻が長い」の「述語論理」。

2019-04-25 10:54:07 | 「は」と「が」

(01)
(ⅰ)
1  (1)∀x(Fx→Gx& Gx→ Fx) A
1  (2)   Fa→Ga& Ga→ Fa  1UE
1  (3)   Fa→Ga          2&E
1  (4)          Ga→ Fa  2&E
 5 (5)          Ga      A
  6(6)             ~Fa  A
15 (7)              Fa  45MPP
156(8)          ~Fa&Fa  67&I
1 6(9)         ~Ga      58RAA
1  (ア)         ~Fa→~Ga  69CP
1  (イ)   Fa→Ga&~Fa→~Ga  3ア&I
1  (ウ)∀x(Fx→Gx&~Fx→~Gx) イUI
(ⅱ)
1  (1)∀x(Fx→Gx&~Fx→~Gx) A
1  (2)   Fa→Ga&~Fa→~Ga  1UE
1  (3)   Fa→Ga          2&E
1  (4)         ~Fa→~Ga  2&E
 5 (5)         ~Fa      A
  6(6)              Ga  A
15 (7)             ~Ga  45MPP
156(8)          Ga&~Ga  67&I
1 6(9)        ~~Fa      58RAA
1 6(ア)          Fa      9DN
1  (イ)          Ga→ Fa  6アCP
1  (ウ)   Fa→Ga& Ga→ Fa  3イ&I
1  (エ)∀x(Fx→Gx& Gx→ Fx) ウUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x(Fx→Gx& Gx→ Fx)
(ⅱ)∀x(Fx→Gx&~Fx→~Gx)
に於いて、
(ⅰ)ならば(ⅱ)であり、
(ⅱ)ならば(ⅰ)である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)∀x(Fx→Gx& Gx→ Fx)
(ⅱ)∀x(Fx→Gx&~Fx→~Gx)
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(03)におり、
(04)
(ⅰ)すべてのxについて、xがFならば、xはGであり、xがGであるならば、xはFである。
(ⅱ)すべてのxについて、xがFならば、xはGであり、xがFでないならば、xはGでない。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)すべてのxについて、xがFならば、xはGであり、xがGであるならば、xはFである。
(ⅱ)すべてのxについて、xがFならば、xはGであり、xがF以外でれあば、xはGでない。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(06)
(ⅰ)すべてのxについて、xが私であるならば、xは大野であり、xが大野であるならば、xは私である。
(ⅱ)すべてのxについて、xが私であるならば、xは大野であり、xが私以外であれば、xは大野でない。
然るに、
(07)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(06)(07)により、
(08)
(3) 既知と未知
といふこととは、無関係に、
(ⅰ)すべてのxについて、xが私であるならば、xは大野であり、xが大野であるならば、xは私である。
(〃)            私は        大野であり、  大野は        私です。
(ⅱ)すべてのxについて、xが私であるならば、xは大野であり、xが私以外であれば、xは大野でない。
(〃)            私は        大野であり、  私が        大野です。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)すべてのxについて、xが大野であるならば、xは私である。
(〃)            大野は        私です。
(ⅱ)すべてのxについて、xが私以外であれば、xは大野でない
(〃)            私        大野です。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(10)
(ⅰ)すべてのxについて、xが「長」であるならば、xは「鼻」である。
(〃)            「長」は        「鼻」です。
(ⅱ)すべてのxについて、xが「鼻」以外であれば、xは「長」でない。
(〃)            「鼻」が        「長」です。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(10)により、
(11)
(ⅰ)∀z( 長z→ 鼻z)
(〃)「長」は「鼻」です。
(ⅱ)∀z(~鼻z→~長z)
(〃)「鼻」が「長」です。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
然るに、
(12)
〔①〕
1  (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)} A
1  (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 3 (3)   象a                           A
13 (4)      ∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  23MPP
13 (5)      ∃y(鼻ya&長y)                4&E
13 (6)                 ~∀z(~鼻za→~長z)  4&E
13 (7)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  6量化子の関係
  8(8)                   ~(~鼻ca→~長c)  A
  8(9)                  ~(~~鼻ca∨~長c)  8含意の定義
  8(ア)                    ~(鼻ca∨~長c)  9DN
  8(イ)                    ~鼻ca&~~長c   ア、ドモルガンの法則
  8(ウ)                     ~鼻ca& 長c   イDN
  8(エ)                  ∃z(~鼻za& 長z)  ウEI
13 (オ)                  ∃z(~鼻za& 長z)  78エEE
13 (カ)      ∃y(鼻ya&長y)&  ∃z(~鼻za& 長z)    5オ&I
1  (キ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&  ∃z(~鼻za& 長z)  3カCP
1  (ク)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)} キUI
〔②〕
1  (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)} A
1  (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)& ∃z(~鼻za& 長z)  1UE
 3 (3)   象a                           A
13 (4)      ∃y(鼻ya&長y)& ∃z(~鼻za& 長z)  23MPP
13 (5)      ∃y(鼻ya&長y)                4&E
13 (6)                  ∃z(~鼻za& 長z)  4&E
  7(7)                     ~鼻ca& 長c   A
  7(8)                  ~~(~鼻ca& 長c)  7DN
  7(9)                  ~(~~鼻ca∨~長c)  8ドモルガンの法則
  7(ア)                   ~(~鼻ca→~長c)  9含意の定義
  7(イ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  アEI
13 (ウ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  67イEE
13 (エ)                 ~∀z(~鼻za→~長z)  ウ量化子の関係
13 (カ)      ∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  5エ&I
1  (キ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  3カCP
1  (ク)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)} キUI
従って、
(12)により、
(13)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
① ならば ② であり、
② ならば ① である。
従って、
(13)により、
(14)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
① = ② である。
然るに、
(15)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)}
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzはxの鼻でないが、zは長い。
といふことは、すなはち、
② 象は鼻は長く、鼻以外も長い。
といふことは、
② 象は鼻も長い。
といふ、ことである。
然るに、
(16)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ~∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&    ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
① = ② であるため、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~~∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
① = ② である。
従って、
(16)により、
(17)
「二重否定(DN)」により、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&   ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(18)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻ではなく、尚且つ、zが長い。といふことはない。
といふことは、
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ、ことである。
然るに、
(10)(11)により、
(19)
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふことは、
② 象は鼻長い。
といふ、ことである。
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふことは、
② 象は鼻が長い。
といふ、ことである。
従って、
(20)により、
(21)
② 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「述語論理」に、翻訳される。
然るに、
(22)
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於いて、すなはち、
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zは鼻ではない。
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻であるならば、zは長くない。
に於いて、
②&③ は、「矛盾」しない。
然るに、
(23)
① ∃x(兎x&象x)=ある兎は象である。
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於いては、
①&②&③ のセットは、「矛盾」する。
すなはち、
(24)
① ∃x(兎x&象x)=ある兎は象である。
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
であるならば、
④ すべて象は、鼻以外長くないはずなのに、ある象は、鼻以外に、耳も長い
といふことになり、「矛盾」する。
従って、
(24)により、
(25)
1    (1)∃x(兎x&象x)                      A
 2   (2)   兎a&象a                       A
 2   (3)   兎a                          2&E
 2   (4)      象a                       2&E
  5  (5)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  5  (6)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  5UI
 25  (7)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  36MPP
 25  (8)      ∃y(耳ya&長y)               7&E
   9 (9)         耳ba&長b                A
   9 (ア)         耳ba                   9&E
   9 (イ)             長b                ア&E
 25  (ウ)                 ∀z(耳za→~鼻za)  7&E
 25  (エ)                    耳ba→~鼻ba   ウUE
 259 (オ)                        ~鼻ba   アエMPP
    カ(カ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
    カ(キ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  カUE
 2  カ(ク)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  4キMPP
 2  カ(ケ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  ク&E
 2  カ(コ)                    ~鼻ba→~長b   ケUE
 259カ(サ)                         ~長b   オコMPP
 259カ(シ)             長b&~長b            イサ&I
 25 カ(ス)             長b&~長b            ハクシEE
1 5 カ(セ)             長b&~長b            12スEE
  5 カ(ソ)~∃x(兎x&象x)                     2セRAA
  5 カ(タ)∀x~(兎x&象x)                     ソ量化子の関係
  5 カ(チ)  ~(兎a&象a)                     タUE
  5 カ(ツ)  ~兎a∨~象a                      チ、ドモルガンの法則
  5 カ(テ)   兎a→~象a                      ツ含意の定義
  5 カ(ト)∀x(兎x→~象x)                     テUI
  5 カ(〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   テUI
  5 カ(〃)兎は象ではない。                       テUI
といふ「述語計算(Predicate calculus)」は、「正しい」。
従って、
(21)(25)により、
(26)
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」に対する、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「述語論理」への「翻訳」は、やはり、「正しい」。
然るに、
(27)
伝統的論理学を清水滉『論理学』(1916年)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊の一冊で、なお引き続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
といふ風に、述べてゐる、三上先生は、「象は鼻が長い(1960年)」といふ「有名な著書」の著者であって、尚且つ、ご自分では、
② 象は鼻長い。
といふ「日本語」を、例へば、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「述語論理」には、翻訳されてゐない。
従って、
(28)
「象は鼻が長い・日本語の論理」の著者である、三上先生の、
② 象は鼻長い。
といふ「日本語」に対する、「論理学的な分析」は、「不十分」であると、言はざるを得ない。