オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『TENET』(ネタバレなし)

2020-10-02 | おすすめ映画

話題の映画を観てきました。
『TENET』
映画界の奇才と言われるクリストファー・ノーラン監督の最新作。
とは言っても、ノーラン監督作品って初めて観たんですけどね。
以下は公式サイトより転載。


【転載開始】
『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』と、斬新なアイデアや驚異的ビジュアルと圧倒的なリアリティで、常に観客のド肝を抜く映画を放ち続けている“世界でも最も次回作が期待される映画監督クリストファー・ノーラン。全世界待望のノーラン最新作『TENET テネット』が、2020年9月18日(金)に日本公開が決定! 更に、本日全世界で予告編が解禁! 遂に、その巨大プロジェクトの全貌の一部が明らかになった!
 
『TENET テネット』はクリストファー・ノーランにとって2014年公開の『インターステラー』以来のオリジナル脚本で描くサスペンス・アクション超大作。主演に、第91回アカデミー賞作品賞を含む6部門でノミネートされた『ブラック・クランズマン』で映画単独初主演を果たしたジョン・デビィッド・ワシントンを迎え、2021年公開予定の『The Batman(原題)』で新バットマンに決定したロバート・パティンソン(『ハリー・ポッター』シリーズ、『トワイライト』シリーズ)、エリザベス・デビッキ(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』)そして『ダンケルク』に続いての出演となる、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナーら実力派俳優が共演に名を連ねる。

 未だその全貌は明らかになっていない本作だが、世界解禁された予告映像では想像を超える世界が描かれている。冒頭からあるミッションと対峙する男が描かれ「この任務の内容を知りたい」「第三次世界大戦を防ぐ」「死後の世界”へようこそ」と明らかになる壮大な物語を予想させる。秘密裏に活動するエージェントたちの存在、敵も味方も分からない状況、なにより生還する鍵となる『TENET(テネット)』と呼ばれる謎の暗号。そして最後「これから起きる」と言い放つ男の前に空間が反転し時間の逆回転が!このあと何が起きるのか…!? 

 出演者のロバート・パティンソンは「長年見てきた中で、一番クレイジーな作品。」とインタビューで答えており、現実と虚構、タイムサスペンス、そして究極の映像と、まさにノーラン作品の集大成と呼ぶに相応しいこの作品は、全世界7ヵ国、IMAXカメラで撮影をしている。

 前作『ダンケルク』では第90回アカデミー賞の作品賞、監督賞他8部門にノミネートされ、編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞し、全世界でも5億ドルを超える大ヒットを記録。Netflixを中心とした配信サービスが映画界も席巻してきている中、まさに映画館でしか観れない映像フォーマットを更新し続けてきたクリストファー・ノーランなだけに、2020年、新たな映像体験が誕生することは間違いない。

 タイトルの『TENET』は前から読んでも、後ろから読んでも『TENET』であり、その文字が反転されているのは、何かの暗号なのか? 早くも挑戦状が叩きつけられている。

【転載終了】


いやーー。面白かったですね。
久々に面白かった。
時間軸や空間軸がグルグルして、最初は理解に苦しむであろう作品。
「君の名は。」や「ターミネーター」、「時をかける少女」なんて好きな人にはたまらないです。


こちら予告編。


主人公を演ずるジョン・デイビッド・ワシントンは「ペリカン文書」のデンゼル・ワシントンの息子。
親しみやすさとカッコ良さはやっぱり血筋かな。
そしてヒロインのエリザベス・デビッキはモデルのような美しさ。何と身長191センチだとか。そりゃ美しいわ。
周りの男性がみんな小柄に見えます(笑)。
ニール役のロバート・パティンソン。ちょっと切ない運命ながら、潔さが武士のよう。
キャプテンハーロックや石川五右衛門好きの私にはたまらない役どころです。


タイトルの「TENET」は「主義」という意味だそうですけど。
TEN を回文のように前からと後ろから合わせたような。
つまり「10分間の挟み撃ち」???
とにもかくにも、もう1回観よう。


こちらのネタバレ記事も興味深い。
【ネタバレ解説】『TENET テネット』の意味、SATOR式でセイター、アレポ、オペラ、ロータス考察


そして今回は、初4D体験😊✨椅子が動いたり水しぶきがかかったり(笑)。
さながらディズニーランドやユニバーサルスタジオのアトラクションのよう。
ストーリーはなかなか難解ですが、期待通り楽しめました。
とにかく「映画として、どうやって撮ったの???」という部分もめっちゃ楽しい作品。
テーマ曲の「The Plan』はトラヴィス・スコット。こちらもめっちゃかっこよくて新鮮!!



ちょっと非日常にトリップしたい方にオススメの作品です。
公式HPはこちら

映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』(ネタバレあり)

2020-04-17 | おすすめ映画

コロナ引きこもりで、おうち時間が増えたので、読んでなかった本や録画した映画を見ています。
そういえば、、と思い出した見たかった映画。
ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー。
広島では未公開だった映画ですが、どこかで見られないかな〜と探したら、You Tube ムービーで公開されてました。
やった!!!!


DVDの購入はこちらから。


ということでちょっとだけレポします(以下、ネタバレありです)。


ドリス・ヴァン・ノッテンはベルギー、アントウェルペン在住のデザイナー。
1986年にロンドンコレクションでデビュー。
独特の美的センスとデザインで世界のセレブを始め多くのファンを持つデザイナー。
広告を一切打たないことで有名だそう。


私はこのドキュメンタリー映画のプレビューを見るまで、全く存在を知らなかったのです。
でもファブリックと花を愛する・・というところに惹かれてとっても見てみたくなったのでした。
ドリスは、アントウェルペンにお城のような大きな自宅があり、広い庭で花を育ててそこからインスピレーションを得ているようでした。


年に一回のショーにかける思いや毎年の新作発表にかける熱意。
異素材の組み合わせにチャレンジしたり、古くて伝統的でシックなものの中にチープで奇抜で悪趣味なものを混ぜてみたり・・・。
「私は時代を超えたタイムレスな服を目指している。」という言葉。
同じクリエイターとして、学ぶところも多くてとっても勉強になります。
何より、まるで花畑か手入れの行き届いたお庭のような、服のデザインそのものが、着ている人や見る人をとってもワクワクさせたり情熱的な気持ちにさせてくれます。


私たちも制作する楽曲やライブで、どれだけ人をワクワクさせられるかが勝負。
いつもいつもクリエイティブな感性だけは失わずにいたいものです。


美意識やファッションセンスや感性って、どんな人にも大事。
ちょうどピチカートファイブの野宮真貴さんのこの本を読み終えたところだったので尚更そう思いました。
野宮真貴さん憧れます。
やっぱり好きだなあ。


コロナの影響でお家に引きこもりがち。
暗く憂鬱な気持ちで毎日を過ごすのも、少しでも明るく美しいものを見て過ごすのも、
それも全部、自分次第。
ファッションとお花が大好きで、ちょっとだけ刺激が欲しいあなたにオススメです。




映画『羊と鋼の森』(ネタバレあり)

2018-06-27 | おすすめ映画

映画『羊と鋼の森』を観に行ってきました。
2016年に本屋大賞受賞した宮下奈都の小説の映画化作品。
まずは映画『羊と鋼の森』公式サイトよりストーリーの紹介です。


【転載開始】

「羊」の毛で作られたハンマーが、
「鋼」の弦をたたく。
 ピアノの音が生まれる。
 生み出された音は、
「森」の匂いがした―


将来の夢を持っていなかった主人公・外村(山﨑賢人)は、 高校でピアノ調律師・板鳥(三浦友和)に出会う。
彼が調律したその音に、 生まれ故郷と同じ森の匂いを感じた外村は、 調律の世界に魅せられ、果てしなく深く遠い森のような その世界に、足を踏み入れる。
ときに迷いながらも、先輩調律師・柳(鈴木亮平)や ピアノに関わる多くの人に支えられ、磨かれて、 外村は調律師として、人として、逞しく成長していく。
そして、ピアニストの姉妹・ 和音(上白石萌音)由仁(上白石萌歌)との出会いが、 【才能】に悩む外村の人生を変えることに―。


【転載終了】


映画は期待した以上に良かったです。
監督は橋本光二郎監督。
「1つの音から森の映像が広がる」。小説では文章で書かれた情景を実際にピアノの鍵盤の映像から森の映像にシフトさせていく描写、板鳥の調律を聞いている外村の背景に木々の影が流れる描写、心を閉ざしてピアノから遠ざかっていた和音が外村の調律したピアノを弾いていくうちに海の底から目覚めて水上に上がっていく描写、言葉を映像と音に変えるという映画のこだわり、監督の映画に込めた思いが随所に現れていました。


ピアノ調律師を扱った映画でとっても印象的だったのは2012年に観た『ピアノマニア』(2012年8月3日の日記)。
こちらは実際の調律師を追いかけたドキュメンタリーでしたが、「羊と鋼・・」の方は小説。
その映画化に当たって俳優さんたちは実際の調律師さんの指導を受けて何ヶ月も特訓があったそう。
それも大変な話ですね。


ピアニスト役の上白石姉妹はこれまたやったことのないピアノを何ヶ月も特訓したそうです。
連弾のシーンなんて本当にお見事でした。
もちろん、音声やアップのシーンは多少の吹き替えはあったと思いますが、それでも何の違和感もなく映画に入り込めました。
映画って本当にすごいですね。


北海道の旭川の森の美しさや雪景色の美しさも素晴らしかった。
極寒の地での撮影はスタッフさんも俳優さんたちもさぞかし大変だったことと思います。
それにしても日本の森って本当に本当に美しいですね。
この自然を大事にしていきたいって改めて思えます。
そしてピアノの音がとっても印象的なサントラは、83年生まれの作編曲家でシンガーソングライターの世武裕子さん。
森の梢の音や風の音、ピアノがホールに響く音、などなど、音声さんや録音さんの技術も素晴らしかった。


そして最後に特記しておきたいシーンは、調律師となった外村が目標とする調律師・板鳥に「どんな音を目指していますか」と問うシーン。板鳥はそこで詩人・原民喜の言葉を引用し答えます。

 

「明るく静かに澄んで懐しい文体、
 少しは甘えてゐるやうでありながら、
 きびしく深いものを湛へてゐる文体、
 夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体」
(随筆「沙漠の花」より)


 

外村は「もう一度お願いします」と板鳥に乞うて、急いで手帳にこの言葉を書き留めますが、この文章は原作の宮下さん自身が感銘を受け、自分が目指しているのはこういう文章だと手帳に書き留めていたものだったそうです。
宮下さんの小説はほとんどデビュー当時の2007年の『スコーレNo.4』を文庫本で読んだっきりでしたが、自分が目指すものに向かって、コツコツと書き続けて、本屋大賞を受賞するような作品を書き上げるようになられたんだなって感慨深く思いました。原作もぜひ読んでみたいと思います。


私もコツコツと頑張ろう。
いい映画に出会えて良かったです。




こちらの、監督と出演者さんたちの制作秘話も興味深いです。





 






映画『LA LA LAND』(ラ・ラ・ランド)(ネタバレなし)

2017-03-23 | おすすめ映画

『LA LA LAND』観ました。
本年度アカデミー賞、6部門受賞作品。
・・・だけありますね。


『君の名は。』も『この世界の片隅に』も『スノーデン』も吹っ飛んじゃったよ。
映画人が映画業界の映画を撮るのは「ずるい」です(笑)。
だって出演者全員が関係者なんだから。
ある意味ドキュメンタリーじゃないですか。リアルストーリー。


画面の端々から漂ってくる映画人のリアルストーリー。
それが全部盛り込まれた映画なんですね。
実際、この映画自体、チャゼル監督(なんと32歳)の10年来の夢だったらしく、この映画にかける意気込みもハンパなかったことでしょうね。
それだけ感動を呼ぶのも当然といえば当然。


映画の作り方は時系列が一直線のようでいて行ったり来たりパラレルに進む。
事実と空想、そして登場人物の記憶をたどるように何層にも織り込まれたストーリー展開は観てるこちら側を飽きさせない作り方。
女優を目指すミアとジャズピアニストのセブ。二人の夢追い人が夢を掴むまで。
そのシンプルなストーリーはハリウッド映画ではやっぱり「よくある展開」なんだけど、実体験に基づくシーンの数々に映画人が映画に「YES!!」と言ってる、そして最後はホロリとさせるスパイスも効いたいい映画でした。 


古くは『サウンド・オブ・ミュージック』や『雨に唄えば』、最近だと『レ・ミゼラブル』など。
ミュージカル映画ってやっぱり好きです。
そして何と言ってもこの映画は「音楽」がいいです。


帰りにオリジナルの挿入歌が頭の中でヘビーローテーション。
いや〜〜映画って本当にいいですね〜〜!!!って言いたくなる映画でした。


あなたが「夢追い人」ならきっと共感できるシーンはいっぱいあるはず。
人生の節目、節目できっと見たくなる映画。
DVDもきっと欲しくなる。
まだ見てない方はぜひ劇場で。オススメです。


 



 


映画『この世界の片隅に』(ネタバレあり)

2016-12-06 | おすすめ映画

今日は話題の映画『この映画の片隅に』をやっと見ました。
『君の名は。』と並ぶ今年を代表するアニメ映画。
あまり下調べをせずに映画館に行ったんですが、いつもの八丁座がほとんど満席の状態。
それもちょっとご年配の方が多い。広島ならでは?と思いながら映画を見ました。


以下公式HPに紹介されたストーリー。

【転載開始】

18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。

良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。 

【転載終了】


少し感想を書いてみます。
以下ネタバレあります。


徹底した時代考証とリサーチで生み出された原作とアニメーション。
まるでそれはリアルなストーリーのように心に迫ってきます。
特に馴染みの広島の地名がたくさん出てくることと広島弁で語られることでまるで知っている誰かの話を聞いているようです。
ただ、それがアニメであること、のんの淡々とした柔らかい声、コトリンゴの音楽が添えられ、戦時中の苦しい毎日が少し和らいだ印象で、感情をそれほどえぐられずに見ることができました。


すずさんは特別ではなく当時の日本のどこにでもいた普通の女性で、 きっとそれは世界中のどこにでもいる女性。突然の縁談にお嫁に行った場所で淡々と生きていく暮らし。
「ぼーっとした性格」のすずさん。
唯一あったのは絵の才能。
貧乏でも絵を描いていれば幸せというつつましい性格。


「お前は普通やな。ずっと普通でおってくれな。」同級生の水原の言葉。
戦争という非常事態の中で普通でいることの貴重さ。でも最後にすずさんは唯一の才能であった絵を描ける大切な右手を、晴美さんの命とともに爆弾で失ってしまいます。そして終戦が来て。


「良かった、良かった、って何が良かったんやろう。」
「最後の一人まで戦うんやなかったんですか!?」
 

誰もが胸のうちに抱えた敗戦の苦しみ。 
でも明日が来て、明後日が来て、5年後が来て、10年後が来て、そして日本は戦後70年を過ごしました。


忙しい毎日、豊かになった暮らし、娯楽、食べるものの有り余る生活。
あの時代からすれば天国のような暮らし。
これを求めてみんなが走ってきたのに、ここへ来て何か見失ってきたことはなかっただろうか?
ちょっとだけ立ち止まって考えさせられる映画でした。


何にも特別なことのなかったすずさんの人生ですが、最後の最後に特別なシーンがでてきましたね。
すずさんと周作さん、元安橋の上で人さらいのカゴの中で出会ってたのね〜って(笑)。 
なんだかほっこりとさせられました。
 

「悲しくて悲しくてとてもやりきれない。」
そう思いながらもささやかな幸せをのどかに生きていくこと。
そうやって生き抜いていくことの大切さをつくづくと感じます。


クラウドファンディングで集められた制作資金で作られたこのアニメーション。
「100年先に伝えたいアニメ」だそうですが、本当にそんな映画だと思います。
できればもう1回見たいです。



映画『シーモアさんと大人のための人生入門』(ネタバレあり)

2016-10-25 | おすすめ映画

今日は思い切って朝から映画を観に行きました。
『シーモアさんと大人のための人生入門』。
公開前からずっと観たいと思っていた映画です。


人生の折り返し地点――アーティストとして、一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で当時84歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアと彼のピアノに魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画を撮ろうと決める。シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。(公式サイトより)


とっても素晴らしい映画でした。
何度も感動で涙が溢れました。


少し感想を書いてみたいと思います。
ここからはネタバレありです。


舞台恐怖症に陥っていることを誰にも打ち明けられなかった俳優イーサン・ホーク。シーモアさんと出会った時にその暖かい眼差しについ自分の悩みを打ち明けることに。長年解決しなかった彼の悩みがその1回の出会いで解決することになった、その出来事を通じて、シーモアさんを紹介するドキュメンタリー映画を撮ろうと決めたとか。


57年間ワンルームのアパートで暮らすシーモアさん。
シンプルでそして幸せに満ちたその生き方は何によってもたらされるのか。


映画は彼のレッスン風景に始まり、教え子たちとの会話、朝鮮戦争に出兵した時の回想シーン、公開レッスン、映画のためのプライベート・コンサートの模様などいろんなシーンから断片的に構成されます。

  

何のために生きるべきか?
物質的な豊かさや名声を追い求めることで得られない幸福とは何か?
と、問いかけるイーサンにシーモアさんは答えます。


「音楽家としての自分と普段の自分を深いレベルで一致させることができると、やがて音楽と人生は相互に作用し、果てしない充足感に満たされる。」


「人格の本質は、その人が持つ才能を通じて現れてくるものだと私は思っている。自分の才能や情熱を傾けられるものに対し、献身的になることができると、究極の報酬が得られるということを、人々に知ってほしい。感情と思考を一体化させ、さらに楽器奏者や俳優やダンサーにとっては、肉体までも一体化させると、普段の人格ともう一つの人格を統合したり、調和させたりすることは可能だと知ってほしい。」
(パンフレット「インタビュー」より)


自分が情熱を傾けるものに献身的になること。
音楽なら音楽、ダンスならダンス、ビジネスならビジネス、そのものに深く深く入り込むことで出会う究極の自分、ある意味で「狂気の自分」と「日常の自分」は調和させることができるというシーモアさんのメッセージは、何かを深くやり遂げたことがある人ならきっとわかる言葉。


映画を観ながら、改めて自分の音楽を献身的に追い求める生き方を追求したくなりました。
ピアノももっと練習しよう。



全編にわたり登場する数々のピアニストの演奏シーン、グレン・グールドの演奏シーン、ラストを飾るシーモアさんの35年ぶりの映画のための演奏会シーン、そして中でもシーモアさんの師匠クリフォード・カーゾンの演奏シーンは美しすぎて圧巻です。


この映画はすべてのピアニスト、芸術家、そして「本当の幸福とは?」と問いかけるすべての人に観ていただきたい映画です。


夢にも思っていなかった
━━この二つの手で
青空さえつかめるとは。
(by シーモア・バーンスタイン) 




予告動画です。
 
 

 
 
 


映画『君の名は。』(ネタバレあり)

2016-10-04 | おすすめ映画

観てきました。
話題の映画『君の名は。』。
10代、20代が大感動、みたいな様子だったのでこれは観てみようかと思い立ち。
感想は、、うむ、なるほど。という感じ。
ここからはネタバレあります。


千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。
「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!」
そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
念願だった東京での生活を思い切り満喫する三葉。
一方東京で暮らす、男子高校生瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。
繰り返される不思議な夢。そして明らかに抜け落ちている、時間と記憶。そして二人は気付く。
「私/俺たち、入れ替わってる!?」


以上、公式サイトより転載。


映画「転校生」や「秘密」、など、入れ替わりを扱った物語はあるけど、この「君の名は。」の面白さはそこにタイムスリップが絡んでいるところ。ある意味映画「バックトゥーザフューチャー」や「ターミネーター2」「時をかける少女」的なのです。


「出会うことのない二人の出逢い。運命の歯車が今動き出す」
というキャッチコピーの真の意味。


それは入れ替わっている二人の時間軸に3年というギャップが存在しているということ。つまり入れ替わっている17歳同士の二人は違う時間軸に生きていたということ。
そこがわかった時「へえ〜〜」ってなってくるわけです。


実際に存在する東京と、想像上の糸守町。
口神酒という風習、巫女に代々伝わる夢のお告げ、隕石落下により消えた町。そこで死んでしまった三葉と3年後の瀧がなぜか出会う。
ノンフィクションとフィクションが上手に混じって、観てる私たちをトリップさせてくれる。


これが実写版のハリウッド映画ならあんまり新しくはなかったかもしれないけど、これがアニメということで意外にリアル感を増すというか意外にすんなり入り込めるんですね。


好きなシーンは違う時間軸に生きる三葉と瀧が宮水家の御神体のある山の尾根で黄昏時に出会うシーン。
「たそがれ=誰そ彼」の時間は、時間軸が曖昧になるという設定。
時空を超えて出会った二人が過去と現在を書き換える。


人生ってある意味「パラレル・ワールド」。
今生きてる人生と別の時間軸がもしかしたらあるかもしれないって誰もが一度は思うこと。違う時間軸にもし生きられたら、あなたは誰と出会い何を選ぶんだろう。


人生って決まってるようで実は決まってない。
今日選ぶことを自分が変えれば明日はガラッと変わってしまう。
そんな真実に誰もがそろそろ目醒めてもいい頃かもですね。


「君の前前前世から僕は 
 君を探しはじめたよ
 そのぶきっちょな笑い方をめがけて
 やってきたんだよ」

(RADWINPS「前前前世」より)
 

 こちらのサイドストーリーも面白そうです。

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
田中 将賀,朝日川 日和,「君の名は。」製作委員会,新海 誠
KADOKAWA/角川書店

  

君の名は。(通常盤)
Universal Music =music=
Universal Music =music=


 

小説 君の名は。 (角川文庫)
新海 誠
KADOKAWA / メディアファクトリー

 

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド
新海 誠,東宝,コミックス・ウェーブ・フィルム,角川書店
KADOKAWA/角川書店

 

【映画パンフレット】 君の名は。
君の名は
君の名は




映画『神様メール』(ネタバレあり)

2016-07-18 | おすすめ映画

今日は海の日。
『神様メール』という映画を見てきました。


すっごく面白い映画でした。
公式HPのストーリーから。


「神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神さあのパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変! エアが大パニックな世界を救う旅に出ると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決してく。
会社員は鳥を追い北極まで大冒険、殺し屋は不死身の美女に巡り会い、主婦はゴリラと恋に落ち・・・・・皆、それぞれの生きがいを見つけていく。しかしエアが最後に出会ったウィリーは死期が迫っていて──── 。
小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への{最高にハッピー}なメールとは?」


こちら予告編動画です。



ここからは《ネタバレあり》なのでこれから観る人は読まないでね。


まず「神」が超イジワルなのが印象的。
人類に用意した「不快の法則」が2000以上もあって、それは例えば「洗濯物が乾くと雨が降る法則」とか「列に並ぶと隣の列が早く進む法則」とか「ジャムを塗ったパンは必ずジャムの方が下になって落ちる法則」とか「バスタブに浸かると電話のベルがなる法則」とか。
思わず「あるある」と言ってしまうイヤな法則のオンパレード。
そんな「不快の法則」で神は人間をコントロールしているのです。


神には子供が2人いて、主人公エアのお兄さんは世界的にも有名なあの人。
もちろんJ.C.ことジーザス・クライスト。
父の悪行に苦しむ人類を見かねて下界に降りて行った兄は、
「愛」の教えを説くんですが磔にあってあえなく撃沈。


そこでいよいよ妹の出番なのです。
兄が言うには兄の救済計画は使徒が12人だったから成功しなかった。
使徒は18人必要で、エアにあと6人の使徒を探すように言います。
妹が書くことになる『新・新約聖書』。


そしてエアが探し当てていく6人は、
1.事故で片手を失った女性
2.仕事だけをしてきた会社員
3.殺し屋
4.性的倒錯者
5.愛に飢えた金持ちの主婦
6.病弱な男の子
みんな現代の問題を抱えた人生を送っていました。


余命を知って混乱する彼らに出会い、彼らの中にある音楽を教えて、彼らに違う生き方を示唆していくエア。
それはあたかもJ.C.が使徒たちに新しい生き方を示唆した時のようです。
彼らが流す涙をガラス瓶に採取していくエア。
「私は泣いたことがないの」
淡々と話す主人公エアを演じるピリ・グロワーヌの表情がとってもいいんですね。


エアを追って初めて下界に降りた「神」は自分の作ったこの世の「不快」をことごとく体験することになるという。
そして最後は天国へ帰れないままベネズエラの工場で作業員として働くというオチ(笑)。


そして天国に帰れなくなった「神」に代わってパソコンを操作するのは女神である母。
18人の使徒のおかげで母は自由を得、母のパスワードでパソコンは起動します。
母の作る世界は涙のない世界。
人々は海底を散歩し、花模様のカラフルな空を楽しみ、植物と対話し、男性が子供を産み、、、不可能のない世界なんですよね。ブラボー!!!


原題は『新・新約聖書』。
ということはつまり父は『旧約聖書』の神で、兄は『新約聖書』のキリスト、そしてエアは『新・新約聖書』の新しいキリストということになるのかな。
監督なりのいろんなメタファー(暗喩)が隠されてる感じがしますね。


個人的にはそんな難しいことを考えなくても映像や音楽の面白さに時間を忘れる映画でした。
ファンタジーってこうじゃなくちゃね。
『アメリ』とか好きな人にはオススメです。


公式サイトはこちら
エンディングテーマがとっても可愛かったので貼っておきます。



原曲はベルギーのAn Pierleというシンガーソングライターの『Sing Song Sally』という曲だそうです。
とっても素敵な曲です。

 


『スターウォーズ 7 フォースの覚醒』(ネタバレあり)

2016-01-19 | おすすめ映画

 

大変遅ればせながら観てきました。
『スターウォーズ 7 フォースの覚醒』 。
話題になっただけあって、ストーリーも映像もとっても素晴らしかった。
もちろん欲を言えばいろいろあるけどそこは置いといて、とりあえず感想(ネタバレあり)でも書いてみたいと思います。


ここからネタバレありです。
以下は『Ciatr(シアター)』より転載。


【転載開始】

ストーリーの舞台は前作のラストにあたるエピソード6の30年後。前作で壊滅的なダメージを受けたと思われた帝国軍は、その残党がファースト・オーダー(The First Order)として銀河の支配を企んでいます。一方銀河には新共和国が復活。しかしかつての規模ではなく、ファースト・オーダーに抗うためレイアの私設軍隊レジスタンス(Resistance)が存在、新共和国が手を貸しています。

銀河を救った英雄ルークは、ある出来事がきっかけで行方不明に。最高指導者スノーク、そして直属の部下であるカイロ・レン、ハックス将軍らファースト・オーダーは彼の行方を追っています。一方レジスタンスもルークを必死に捜索しており、その居所の鍵を見つけ、エースパイロットのポー・ダメロンを派遣しますが..?

砂漠の惑星で廃品回収をして暮らしてるヒロイン、レイ。彼女は「家族」の帰りを待ち続けています。そんな彼女は、ある重要な秘密を託されたBB-8やファースト・オーダーの脱走兵フィンに出会いファースト・オーダーとの争いに巻き込まれることによって思いがけぬ旅が始まります。

 【転載終了】


映画の感想を少し。
CGがこれだけ進んだ今の時代、セットを重視して作るスターウォーズの映画作りは、賛否両論あるかもしれないけど私は人間味があって好きですね。殺し合いのシーンもドンパチやる割にはそれほど残虐性を感じないアニメみたいな感じ。


あくまでスペクタクル・ファンタジーでファミリー向けの映画だというところでしょうね。
技術の進歩とともに映像も音もどんどん過激になる映画が多い中、こういう基本的に平和的な映画も必要かもね。個人的にはエピソード1、2、3の方がちょっとだけ大人向けの感じで良かったなあと思うけど。


キャストは豪華。なにせ登場人物が多い。名前覚えられないし・・(汗)。
新人の登場と共に、旧作に登場した俳優さんも多く起用されていて、往年のスターウォーズファンにとってはベテラン俳優と若手俳優の夢の共演という作品でもあります。
ヒロインのレイ役に大抜擢されたデイジー・リドリー、フィン役のジョン・ポイエガ、ポー役のオスカー・アイザックの3人は特に好キャスト。そしてハン・ソロ役のハリソン・フォード、レイア姫のキャリー・フィッシャーなど素晴らしくそして懐かしい顔ぶれも。


スターウォーズシリーズの第1作である「エピソード3」が1970年代に作られたことを思うと、この映画の奥深さを思います。ハリウッド版「北の国から」か「男はつらいよ」でしょうか。キャストもスタッフも新旧交替していく中、そこに貫く一本のストーリー性だったり理念だったりこだわりだったり・・。映画って難しいなあと改めて思います。


エピソード8の公開も2017年5月26日と日付まで決まってるそうですが、次の公開が今から待ち遠しいです。ルーク・スカイウォーカーによるジェダイの訓練でレイのフォースがどう覚醒していくのか、、そして再びカイロ・レンとの対決がどうなるのか、さらに新しいキャラクターの登場など個人的には楽しみです。


次回作もこのファミリー・タッチで進むのもいいけど大きく裏切ってほしい感じもありますね。
エピソード1〜3のようにもうちょっと登場人物の心理描写にスポットを当てた展開も欲しいような。まあ欲を言えばきりがありませんけどね。


余談ですが、新登場のドロイドBB-8がすごく可愛かった。

R2-D2に変わる新たなマスコット的存在。
この子がこれからどうなるのかもちょっと楽しみです(笑)。



 

未来の芸術

2015-10-21 | おすすめ映画

ここ数日間、にわかに映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』ブーム。それは1985年公開のこの映画のシリーズ2でデロリアンが向かう未来が実は今日「2015年10月21日」だったから。


この30年で世界はそして日本はどうなったのか。
そして30年後の世界はどうなっていくのか。


この30年の間に無くなったもの(廃れたもの)。
ブラウン管テレビ、ダイヤル式電話、カセットテープ、ビデオテープ、自動車電話、ウォークマン、公衆電話、テレフォンカード、MD、ファミコン、・・・etc。他にもあるかな?
映画の中の2015年と実際の2015年を比較したこんなページもありました。


30年後の未来には、今は当たり前のものや当たり前のシステムが全く姿を変えていくんだろうと容易に想像できます。今は不可能なことで可能になっていくこともきっとたくさんあるんでしょうね。
もちろん文化や芸術の形もいろいろと変わっていくんだろうなと思います。


芸術については尊敬する千住博さんのインタビューページがあったので載せます。

芸術とは、常の枠を広げ変革していくこと、そして時代に提言しつつ、革新的に創造していくこと。


以下本文より転載。

【転載開始】

――千住さんは「藝術学舎」の学舎長として後進を指導されています。将来を担う若い世代に伝えたいことは何でしょうか。
  
千住 今日の私は多くの人たちに支えられて存在しています。自分の能力や努力だけでやって来られたわけではありません。私を世に出してくれたのは建築家やグラフィック・デザイナーの方々で、絵をカレンダーなどに使っていただいた。今度は私が次の世代にアドバイスする立場です。そう思って藝術学舎では、あとひと押しで世の中に出られそうな才能ある若い画家たちを、全力で応援し教えています。
人々が必要とする芸術には、必ずその中に人々が求めるメッセージが入っています。ルノワールは愛が必要だと考え、ピカソは人間性を復活させたいと考えた。時を越えて普遍的に貫かなくてはいけないものは大事にしつつ、時代が求めているものを、ピンポイントのように鋭く冷静に突き、発信していくことが大切だと教えています。

 【転載終了】

なるほど深いです。
心にしっかり刻んで私もますます精進します。

話を戻して『バック・トゥー・ザ・フューチャー』の3部作シリーズ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー [DVD]
マイケル・J・フォックス,クリストファー・ロイド,リー・トンプソン
ジェネオン・ユニバーサル

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2 [DVD]
マイケル・J・フォックス,クリストファー・ロイド,リー・トンプソン
ジェネオン・ユニバーサル

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 3 [DVD]
マイケル・J・フォックス,クリストファー・ロイド,メアリー・スティーンバージェン,リー・トンプソン
ジェネオン・ユニバーサル


この映画はもともと大好きだったんですけど久しぶりに観てやっぱりワクワクしました。
アラン・シルヴェストリーの音楽もいい。ケビン・コスナー主演の『ボディ・ガード』、『フォレストガンプ』、『ナイトミュージアム』シリーズなどたくさんの映画音楽を手掛けてる作曲家です。
作曲家としてはこういう映画音楽もいつか作曲してみたいですね。


今はまだ実現していない時間旅行(タイムトラベル)がもし実現したら、世界はどうなるんだろう。
建設中のピラミッドやマチュピチュの町々を実際に見たり、宇宙旅行が当たり前になった時代の乗り物に乗ったり、未来の食べ物を食べて、言語が生まれる前の音楽を聞いたらどんな気持ちになるのか。テレパシーやテレポーテーションが当たり前になった世界でも人は恋に悩むのか?宇宙の人々との交流が当たり前になったら人はどんな音楽を聴くのか、何を食べて、何を見て、何を重要と考えるのか。


そんなことを考えるとなんだかワクワクしてきますね。
そして未来の私たちはどんな文化や芸術を生み出していくのか。
ワクワクしながら、ますます頑張ります。