オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

『女房とワシと恋女房の51年209日』 山根進著

2020-01-13 | おすすめ本

先日、声楽の玉ちゃんこと平田玉代さんと、クラウドファンディングで作られた山根さんの本『女房とワシと恋女房の51年209日』を受け取りに行ってきました。


そして今日ようやく一気に読み終えました。
多くの方から慕われたゲバント山根こと山根進さんが、末期がんのため惜しまれつつこの世を去られたのは、昨年9月21日のこと。
この本は山根さんが存命中に書き綴られたFacebookの記事を元に作成されたものです。
日々山根さんが自分の言葉で綴られた記事を元にしてあるからか、なんだか山根さんの生き様を山根さんの口から直に聞き終わったときのような、そんな感じがありました。


私が山根さんと出会ったのは大学生の頃。
同じ学部の同級生が元広島大学のすぐ近くにあったマンガ喫茶「びっくの〜ず」に入り浸ってミニFM局を開局したりしたことがきっかけで知り合いましたが、体が大きくて声も大きい山根さんは、何だか近寄ると怒られそうなそんな感じもあり、おいそれとは近づきがたい存在でした。
今思えば、もっと山根さんが生きているうちに自分から近づいて、色んな話を聞いておけばよかったと思います。


そんな私のような人にもこの本はピッタリ。
町づくり、イベントづくりはまず「人」が始めるもの。
そんな基本的で大事なことを山根さんはこの本で改めて教えてくれている気がします。


いつどこでお会いしてもエネルギーの塊だった山根さん。
何かやってみたかったら人に言ってみる。
そして「言ったらやる。やったら結果を出す。」をモットーにされていた山根さん。
今、山根さんの後を継ぐ20代の若者たちが鷹野橋の「びっくの〜ず」を拠点に次の広島づくり、町づくりをしようと行動を起こし始めています。どちらかというとおとなしいと言われる今の20代。次の時代を担う人たちが自ら行動を起こし、立ち上がり始めていることは本当に素晴らしいと思います。


これから人口減少、高齢化、空洞化、過疎化、が心配される日本。
一人一人が山根さんのように生涯現役意識で、毎日を生きることが大事になってきますね。
文字通り最後の最後まで生き切った人。
山根さんに改めて大拍手を送りたいです!!


本を受け取りに行った日。
恋女房こと美貴子さんから「昨日ようやく絵が描けたんですよ」と報告を受けました。
そして見せてくださったのがこの絵。


美貴子さんは、山根さんが亡くなってからずっと絵を描く気になれなかったそう。
それがふと昨日ようやく描いてみようかと思えたとか。
山根さんが背中を押してくれたのかもしれないですね。


山根さんを支え、山根さんに愛し愛された美貴子さんの再出発。
山根さん亡き後、「焼肉大学」と「びっくの〜ず」の女主人として、そしてアーティストとして活動される美貴子さんの人生を心から応援したいです。


「生きる」ということは、人生にどんなことがあってもその日その日で自分のエネルギーを燃やすこと。
残念ながら山根さんの存命中の発刊には至らなかったものの、この本のタイトルの「51年209日」という数字を含め、何もかもが運命的に完成したとしか思えない本です。
制作にあたられたミチコーポレーションの植田さん、構成の掘さん、本当にご苦労さまでした。


この本の詳細は版元ドットコム(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784990315047)などでご覧いただけます。全国の書店ならびに「びっくの〜ず」や「焼肉大学」でも取り扱っておられます。
山根進さんからの魂のメッセージの込められた本。
どうか皆さんも読んでみてくださいね。



『ハートドリブン〜目に見えないものを大切にする力』 塩田元規著

2020-01-11 | おすすめ本

前から気になっていたけれどなかなか読めなかった本、『ハートドリブン』を読み終えました。
これはなかなか面白かった!!!


売上高281億円・利益136億円の大成功企業アカツキの社長、塩田元規さん。
若干36歳にして大成功者。
この人が大切にしているのが、感情(ハート)を大切にするという姿勢。
読みながら、そうだそうだ、と納得の本でした。


この本で紹介されてもいましたが、由佐美加子・天外伺朗さんの共著、『メンタルモデル〜痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』もちょっと前に読んだところだったので、理解しやすかったです。


人は自分自身のシャドウ(影の自分)を統合していくことによって、不安や怖れをベースにした生き方ではなく、喜びと愛をベースにした生き方ができるようになるようです。
それは仕事でも人生レベルでも同じ。
そういう考え方のリーダーが事業を興し、そしてその企業が成功している。
すでに時代の価値観は変わったんだなって思います。


そして、この傾向は遅かれ早かれ音楽業界にも起きてくるだろうし(ひょっとしたらすでにそうなってるかも)、利益第一主義の考え方ではうまく行かなくなるんだろうなと思います。
大転換期ですね。


余談ですが、シャドウの統合ができた人は恋愛やパートナー選びも変わるそう。
大恋愛の相手というのは、なぜか自分のシャドウに強く引っ張られるそうですが、自分のシャドウを統合できている人は、少し違ったタイプのパートナーを選ぶらしいです。
恋愛でつい同じタイプの相手を選んで失敗を繰り返している人は、一度立ち止まって自分のシャドウを見た方がいいかもね。


この世界の平和の実現も、他人や核兵器への怖れをベースにした緊張感や牽制による平和ではなく、他人への信頼と安心をベースにした平和の実現へ向かうといいですね。





Imagine there's no Heaven
It's easy if you try
No Hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today...

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one

(「Imagin」Jhon Lennon)


池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』

2019-10-01 | おすすめ本

読書の秋です。
というか本を読むのは大好きなので日頃から2〜3冊読みかけの本をいつも抱えている私です。


今日は最近読んで役立ったこちらの本のご紹介。
池谷裕二著の『単純な脳、複雑な「私」』。 

単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)
池谷 裕二
講談社

これは、著者池谷裕二さんが20年前に卒業した母校で現役の高校生に向かって最新の脳科学を語った話。
とっても専門的なことも高校生の目線に合わせて書いてあるので、私たち素人にもわかりやすいです。
そして脳のしくみって案外単純なんだな〜ってビックリします。


単純なだけによくミスジャッジも起こす脳。
「ああ勘違い!!」って日常的に誰もが出会うことですね。


その中でも面白かったところを抜粋。
脳はこじつける。
脳は勝手に予測する。
脳は嘘をつく。
脳はゆらいで自由を作る。


こういうことがわかってくると、恋愛のことや人間関係のなぞもちょっとずつわかってきます。
長い間、私を悩ませていたことは「な〜んだ、そういうことだったの?」ってことも。
特に恋愛なんて「好きになった理由は後づけ」なので、実は案外単純な理由で「好き」と思い込んだりしてるものなんですよね。


てなわけで、そんな脳の理屈がわかっても、私たちは自由気ままに悩んだり苦しんだり泣いたり笑ったりすればいいと思います。それが生きてる証拠なんだから。
ただ、恋愛中は脳の中のテグメンタ(快感中枢)が活動するらしく、それがあまりに活動してると中毒性があるので、寝食を忘れてのめり込んで命に関わることもあるらしいです。なのでそこまで入り込まないようにセーブするのも大事かもね。
なかなか冷静になれないのも恋でしょうかね?


でも、音楽や文学や映画の世界は大フィクション!!
100%のめり込んでもらっても大丈夫です。
音楽を聴いてる時やライブを見てる時だけは、別人格のあなたになって、主人公に感情移入して一緒になって恋したり失恋したり泣いたり笑ったりしてください。


「Love and Love Lonely night  愛し合うほど哀しくなる
 Love and Love Lonely night  幸せが悲しいよね」

(Peppermint Leaf「Love and Love」三輪真理作詞・作曲より)


ということで、
これを読んでそろそろPeppemint Leafの禁断症状が出始めたあなた!!
10月と11月にはライブがあります。 
ぜひご家族、ご友人、恋人とライブにお越しくださいませ。


第2回 ポリネシアンダンスフェスタ in Hiroshima
     
日時:2019年10月14日(月祝)12時30分〜
出演:ヘイ・ティアレ
音楽担当:Peppermint Leaf 
      三輪真理(Vo&Pf)
      石井聡至(Dr)
      岩藤洋(Ba)
      小田原政広(ゲストGt)
              Hei Tiare Porinesian DrumTeam Pate Pate

場所:東区民文化センター
入場料:999円(未就学児は入場無料)
主催:ポリネシアンダンスチーム Hei Tiare
お問い合わせ:090-5379-6118(Mizue)


Peppermint Leaf 食欲増進スパイシーLive!!

日時:2019年11月9日(土)18時30分〜

出演:Peppermint Leaf
    三輪真理(Vo&Pf)
    石井聡至(Dr)
    岩藤洋(Ba)
場所:一楽章f未完成(広島市中区紙屋町1丁目4-6 ウイニーズ紙屋町3F tel 082-249-0221)
チケット:2000円(小学生以下半額)(当日500円UP)
ご予約・お問い合わせ:090-6833-0037(miwa)
e-mail/ orangeblue522@gmail.com


 

 


『「響き」に革命を起こすロシアピアニズム〜色彩溢れる演奏を目指して〜』大野眞嗣著

2019-03-21 | おすすめ本
「響き」に革命を起こすロシアピアニズム~色彩あふれる演奏を目指して~
大野 眞嗣
ヤマハミュージックメディア


レクトの蔦屋書店をウロウロしていていて、たまたま見つけた本。
ロシアのピアノ奏法には以前から興味があったので買ってみました。


内容は、
『現在世界中で、ロシアピアニズムの流れを汲んだピアニストが活躍している。ではロシアピアニズムとはいったい何なのか?その特徴は?奏法は?約30年にわたりロシアピアニズムを研究してきた著者によるロシアピアニズム入門。口コミが口コミを呼ぶ超人気ブログ「大野眞嗣ロシアピアニズムをつぶやく」より大幅に加筆・修正をしたピアニストに衝撃を与える一冊!」
(帯より)


まだまだ途中ですが、ピアノをやっていく上で大事にしたいことを再確認できるような本です。
ピアノを弾かれている方は是非ご一読されるといいと思います。


私が高校時代に強く影響を受けた、当時の作陽音大の客員教授だったジャン・ミコー先生。
私のピアノの野崎陽子先生が作陽音大の出身で、ミコー先生の九州での演奏とレッスンをアテンドされたおかげで、先生から直々に貴重なレッスンを受けることができました。
先生には手の形、ピアノの音の出し方から脱力の方法、そして楽曲の解釈、曲想、表現方法から指使いに至るまで細かく指導をうけました。
その時に紹介された本はこちらの本。

ピアノ奏法の基礎 ジョセフ・レヴィーン 中村菊子/訳
中村 菊子
全音楽譜出版社


ジョセフ・レヴィーンは1874年生まれのロシア人のピアニスト。
ピアノ奏法について書かれたこの小さな本は私のピアノとの向き合い方を変えてくれました。


当時からロシアのピアノ奏法というのにずっと興味があったので、「ロシアピアニズム」をまとめた今回の大野さんの本はとても役に立ちそうです。しっかり読んで身につけようと思います。


ところで。
私の多感な高校生の頃に出会ったピアノの巨匠、ジャン・ミコー先生。
どこかに紹介記事はないかとネットで調べてみると、なんと94歳でまだお元気でピアノを弾かれているということ。
素晴らしい〜〜〜!!








Facebookページもありました。感動〜〜〜〜!!!

https://www.facebook.com/jeanmicault/



先生にお会いすることは叶わないかもしれませんが、これからも先生に教えていただいたことを心に留めて頑張っていこうと、さらに気持ちを新たにできました。頑張ります。



 


最近読んだオススメ本紹介(4冊あります)

2018-03-19 | おすすめ本

みなさん、お久しぶりです。
ここのところ忙しくしていました。
ブログの更新はできてませんでしたがおかげさまで元気にしています。


今日はここのところで読んだ本でオススメ本の紹介。
まずは1冊目。
ほぼ日刊イトイ新聞でも有名な山田ズーニーさんの本です。
山田ズーニー著『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
山田 ズーニー
PHP研究所

ブログやSNS、はたまたメールやLINEなど、昔に比べて文章で情報を伝える機会が増え、文章力(テキスト力)があるかないかが人生や仕事を左右するようになってきています。
とは言うものの自分の文章を磨くことは意外に難しいもの。
そんな自分のテキスト力をUPするヒントが得られるかもしれない一冊です。


2冊目はこちら。
白鳥マキ著『モテるメール術』(ダイヤモンド社) 

モテるメール術
白鳥 マキ
ダイヤモンド社

こちらはもうそのままズバリ、モテるためのLINEやメールの活用法です。
男女間のやり取りを中心に書かれてますが、ビジネスシーンでも確実に使えます。
特にLINEにおけるNGワードやOKワード、LINEで絶対送ってはいけない文章など、目からウロコの一冊です。
私もどちらかというとLINEが苦手だったので、すごく役立ちました。


最後にこちら。
アニ&カースティン・セノフ(石原まどか訳)『女性のためのエネルギー護身術』(ヒカルランド)

保護の壁を作り誰からも奪われない 女性のためのエネルギー護身術
石原 まどか
ヒカルランド

これも衝撃の1冊。
エネルギーって目に見えないけどちゃんとあって、自分のエネルギーを他人に与えすぎないように護ることの大切さも良くわかりました。ピンときた人はぜひ読んでみてね。


ついでに読みかけの本もご紹介。
松久正著『高次元シリウスが伝えたい 水晶(珪素)化する地球人の秘密』(ヒカルランド)

高次元シリウスが伝えたい 水晶(珪素)化する地球人の秘密
松久正
ヒカルランド

こちらは図書館で借りた本。
こちらはエネルギーを整えることによって病気を根本から治療する超医療について書いた本。
今、ガン闘病中や精神疾患、難病などでお困りの方にもヒントになるかもしれない1冊です。
こちらもピンときた方は是非。


とまあ、本の紹介ばかりしましたが、音楽活動の方も着々と進めてます。
まずは4月のライブに向けて準備していますので是非楽しみにしていてくださいね!!
ライブでお会いしましょう。



G. マクドナルド『リリス』(荒俣宏訳)(ネタバレあり)

2018-01-13 | おすすめ本
リリス (ちくま文庫)
荒俣 宏
筑摩書房

G.マクドナルドの『リリス』読了しました。
何がきっかけで買ったか忘れたけど、買ったまま読んでなかった本。
(一度読んだと思っていたのはカン違いでした。)
『不思議の国のアリス』のルイス・キャロルにも影響を与えたと言われる作家、G.マクドナルドの最高傑作と言われる幻想小説。500ページもある長編でしたが案外すんなり読めました。


さっそく感想(ネタバレあり)書いてみますね。


主人公ヴェインは幼いころ父親が死に、母親もその1年後に亡くなるという天涯孤独の身の上。
オックスフォードでの勉学が終わって、休暇を楽しんでいる時の出来事として、物語は始まります。
先祖から受け継いだ広い屋敷の図書室で本を読んでいる時に現れる見知らぬ老人、その老人を追って行くうちに、塔の階段を登りつめたところの屋根裏スペースにある鏡の中に入り込んでしまう主人公。
老人は大鴉(オオガラス)に姿を変えて、鏡の中のヒースの草原へと主人公を導きます。


そこからの展開はもう奇想天外。
・・・幻想小説(ファンタジー)って本当に自由でいいですね(笑)。


主人公ヴェインは鏡の中の国でたった一人で「本当に生きるとは?」ということを問いかけながら旅をします。
旅の途中で出会う、墓守の夫婦、毎夜舞踏会を繰り広げる骸骨たち、喧嘩している骸骨の夫婦、ラヴァーズ(恋人たち)と呼ばれる小さな民族とバッグ族と呼ばれる愚かな巨人たち、キャットウーマン、ブリカという市(まち)とその市を支配する、豹に変身する美しい女王、、、。まるで夢の中の物語のように世界は次々と広がっていきます。
キャラクター設定も表現もユニークで、これ今3D映画にしたら相当面白いんじゃないかなと思うほどです。


カラスがメッセンジャーの役割として登場するのは村上春樹の『海辺のカフカ』にも通じるし、「影」が人に取り憑いてその心を「恐れ」で虜にして苦しめ続けるストーリーは同じイギリスの幻想小説の『ゲド戦記』、小さな知恵ある人が悪い女王をやっつけるストーリーはフランスの『キリクと魔女』にも影響している気がします。
おおよそ幻想小説のプロットというのはもう出尽くしていて、知らず知らずどこかしら似てしまうのかもしれないですけどね。


最終的に、物語はアダムとイブ、生と死、善と悪、天国への扉という壮大なストーリーに展開していき、なかなか哲学的で深い内容で終わります。それもそのはず、作者がこの幻想小説を書いたのは1895年つまり71歳のとき。
おそらく作家としても人としても円熟して晩年に差し掛かった頃なのでした。


最終章「終わりのない終末」にはこうあります。

「人間は夢を見、また希(ねが)う。神は考え、意図し、促す。
人間が自らの夢をみるとき、彼はその夢と戯れあう。だが、アナザー(他の者)がかれに夢を与えたとき、アザー(別の者)がその夢を実現してくれる。」
(中略)
「わたしは待っている。眠りながら目醒めながら、待ちつづけている。
あのノヴァリースは言う、
「私の生命は夢ではない。しかしそれはやがて、夢とひとつになるだろう」と。」


人生が晩年に近づき生と死を振り返るとき、人は人生を「目醒めて見る夢」のように感じるのかなと思います。
確かにある意味において「死ぬこととは夢の中に入ること」なのかもしれないです。
自分の死生観と照らし合わせてみても面白いです。


脳みそをコチョコチョとくすぐってもらえるような物語。
読み終わった後はちょっと新しい世界に生まれ変わったような気分になれます。


毎日がちょっと単調で薄曇りの天気のように感じてしまっている人にもオススメです。
ぜひ読んでみてね。

 


森沢明夫著『きらきら眼鏡』(ちょっとネタバレあり)

2017-11-18 | おすすめ本

森沢明夫の『きらきら眼鏡』という小説を読みました。
ぱっきぱきの恋愛小説。
そして久々に恋愛小説を読んで泣いてしまいました(笑)。


ここからは多少ネタバレありです。
これから読もうという人はご注意くださいね。


主人公の立花明海は25歳。あまり仕事のできない入社3年目のタイプのサラリーマン。
子どもの頃にいじめられた経験があるトラウマを抱えたちょっとナイーブな青年。
同期(のお姉さん)から譲り受けたペロという猫が死んで、ペットロスになってぼーっとしている時にたまたま出会った一冊の自己啓発系の本。その本に挟まれていた栞代わりの名刺の大滝あかねという名前の女性と運命の出会いをするというストーリー。


「こんな恋愛、ないっしょ!?」ってツッコミたくなるんですけど、これが「船橋」というリアルな場所とその街の様子や登場人物のその時々の気持ちまで丁寧に描いた文章のせいで、もしかしたら本当にこんな場所があってこの主人公の明海もあかねもこの街に実在するんじゃないかって気にさせるから不思議。


森沢さんの小説を読んだのは初めてだけど、これまで何作品か映画になっているそうで、この丁寧な描写を読めば、確かに「これを映画にしたい」って思う人の気持ちもわかる。
とにかく描写が細かくて丁寧。


「きらきら眼鏡」は大滝あかねがちょうど1年前から、かけることにしたという架空の眼鏡。
「視界に入ったものすべてを、きらきら輝いたものにしてくれる眼鏡」だそう。


「それはなんだか子どもじみた遊びのようでもあるけれど、でも、よくよく考えてみれば、人生の価値を決めるのは、その人に起こった事象ではなくて、そのひとが抱いた感情なのだ。あかねさんのように、この世のきらきらした部分にフォーカスして、きらきらした感情を丁寧に味わえたなら、人生の幸福度は限りなく百点満点に近づいていくだろう」という明海の心象を描いた文章も、確かに25歳くらいの男子が思うかもしれない描写。


そしてその後ストーリーは、どうしてあかねが「きらきら眼鏡」をかけることにしたのかを明海が知ることになるという流れになるのだけど、ここから先は触れずにおきます。


読みながら、私自身も色々感じることがありました。
私はこの丁寧に書かれた森沢さんの文章にとても惹かれたこと、そしてこの小説に出てくるような何気ない、だけど素敵な会話を誰かとしたいなあと思ったこと。


「安物のサンダルをつっかけて、深夜の庭に出た。庭といっても、それはワンルームマンションの一階の住民に割り当てられた、猫の額ほどの地面だ。時折、南から夜風が吹いて、東京湾の潮の匂いを運んでくる。僕は、まだ土の付いていない、下ろしたてのスコップを手にした。金属のグリップは、妙にひんやりとしていて、なんとなくスコップに拒絶されているような気がした。しかも、わざわざ軽量タイプを選んで買ったのに、今のぼくには少しも軽くは感じられない。」という書き出し。


ちょっと描写は細かすぎて、ウザい?かな・・って最初は思ったけど、これくらい描写しないと誰かとイメージを共有することのできにくい時代になってしまったのかもね・・・。


私たちはいろんな体験や経験を言葉にして脳にインプットしていくものだけれど、現代のように、リアルに誰かと声を出して会話をするよりもスマホの画面で会話をする人たちは、生身の肉体の経験が明らかに不足して、何か実体のないふわふわした感覚で生きてる人も多いんじゃないかなあって感じます。


そんなふわふわな人たちにとっては現実の人生って泥臭くてそれこそ「ウザイ」かもしれないけど、人間ってそういう「ウザイ」ことをたくさん経験するためにこの世に生まれてきたんだと思うから、正面からがっつり向き合って泣いたり笑ったりしながら生きていかないと勿体ないって思います。
リアルな人生は小説のようにドラマチックでもないし都合がいいことばかりとも限らないけどね(笑)。


「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。他に何ができる?」


この本の中に出てきたこのフレーズが全てを物語ってますね。
『きらきら眼鏡』はもうすぐ映画化されるそうです。
関連HPはこちら。楽しみです。


きらきら眼鏡
森沢 明夫
双葉社


 


仲暁子『ミレニアル起業家の新モノづくり論』

2017-10-18 | おすすめ本

昨日は久しぶりにフタバ図書に行きました。
リアル本屋は久しぶり。
たまに足を運ぶといい本に出会えるね。


色々気になった中で今日は仲暁子という人の『ミレニアル起業家の新モノづくり論』をゲット。
早速読み終えました。気になる箇所がいっぱい、付箋もいっぱい(笑)。
すごく参考になりました。


ミレニアル世代とは80年〜90年生まれ以降の人たち。
著者自身も82年生まれ。
それまでの世代とは一線を画すような価値基準を持つ世代。
この世代に刺さるストーリーを鮮やかに描き出すことがこれからのヒットのカギ。


ベストセラー『ライフシフト』でも言われてるように、人生はこれから100年時代になる。
そしたら誰もが1回の人生で何ステージも、いくつもの仕事を経験することになる。
そうまるで生きながら生まれ変わるように。


学生(学ぶ)→仕事(稼ぐ)→引退(余生)という人生ではなく、仕事が稼ぐためではなく生きがいのためになり、何度も転職したりいくつもの仕事を始めたり辞めたりしながら生きる時代がくる。そんな時に「何を」ではなく「何故」「何のために」がちゃんと語れることが大事なんだなあ、ってつくづく思います。


人生はただ生きてても生きていけるけど、生きがいがなければただの生存。
あなたは何のために生きてますか?
そして今日あなたは幸せですか?


人って、ただお金があるだけではダメで、人とつながって人のために生きてると思う時にとっても幸せを感じるもの。
自分自身の「快」を知り、他人の「快」を創造し、毎日の人とのつながりを感謝して一生を生きていけたら、こんなに幸せなことはないよね。
これからAIやビッグデータやロボットの時代。
人は人でないとできない、生きがいを感じる仕事をして、ますます仕事に快を感じながら生きていくようになるんでしょうね。


10年後、20年後、30年後、40年後、50年後、あなたはどう生きますか?
一生現役で人のために生きられたら幸せなことですね。


人生は誰と出会うか、何と出会うか。
今日の出会いがあなたの人生を激変させるかもしれない。
楽しくワクワク、仲暁子さんの言うところの「ココロオドル」仕事をしながらしなやかに人生の海を泳いでいきたい。
人生まるごとご一緒に楽しんでいきましょうね。



ミレニアル起業家の 新モノづくり論 (光文社新書)
仲 暁子
光文社

 

ココロオドル仕事を見つける方法
仲 暁子
サンマーク出版

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
池村 千秋
東洋経済新報社

 


村上春樹『騎士団長殺し』(ネタバレなし)

2017-10-06 | おすすめ本

村上春樹の『騎士団長殺し』(全2巻)を読み終えました。
前作『1Q84』から7年ぶりの書き下ろし長編小説。読み応えありました。


たまたま本屋で見かけて手に取ったものの、その本はビニールでしっかりパッキングされていて、立ち読みすらできないようになっていました。何でも無料で手に入る時代、ともすれば本の内容さえすっかり無料公開されている時代に逆行するような徹底ぶり(笑)。
でもきっとそれは作家本人の意図なんでしょうね。
なのでここでは直接的な内容には触れずにおきます。全ては読んでからのお楽しみ。


熱心な村上ファンというわけでもない私ですが、最初に読んで虜になった『海辺のカフカ』以来、村上春樹の小説には多かれ少なかれ影響を受けています。特にそこに登場する音楽や文学、絵画、国、食べ物、お酒などの様々な具体的なモノが私を捕らえて離さなくします。


人間にはファンタジーが必要である。
って言ったのは誰だっけ?


どこまでも具体的であることとどこまでも幻想的(ファンタジック)であること。
この2つの不思議なミックスが村上小説の特徴のように思います。
どこまでもフィクションなのに、どこかドキュメンタリーのように感じさせる要素のある小説。
いつも村上さんの小説を読むとそういう気持ちが芽生えます。


人生って、特にそれが過酷な時ほどファンタジーが必要なんじゃないかな。
小説はあくまで小説という時点で現実逃避だし、現実逃避もできない息の詰まる日々は辛すぎます。ゆるやかに私たちを非現実の世界に誘いそして最後に現実世界に引き戻してくれる、そして本を閉じた後に生きる力と希望を与えてくれる、そういう力のある小説が私は好きです。


世の中にはそれこそ何億冊、何兆冊もの本が出版され、その中で時代や世代を超えて残っていく本はそれほど多くないと思われる中、村上春樹の本はこれからも世界中でいろんな国の言葉に翻訳されて読み継がれていくのだろうと感じます。そうした本はおそらくそれほど多くなく、それだけ村上さんの言葉の持つ力を特別なものだと思えるし、それはとりもなおさず村上さんが言葉を大切なものとして扱ってるからなのでしょうね。
私も自分から生まれ出る言葉や音楽をもっともっと大切にかつ慎重に扱いたいと思いました。


読んでる間中もそして読み終えた後、どこかへトリップしてきたように思える作品。
余談ですが『海辺のカフカ』を読んでから無性にレディオ・ヘッドが好きになったように、この小説の影響でリヒァルト・シュトラウスの「薔薇の騎士」も少なからず聴きたくなるかも、と思います。


兎にも角にも素敵な作品です。
ご一読をお勧めします。 
 

表紙画像からamazonサイトに飛びます。 



 






『速さは全てを解決する『ゼロ秒思考』の仕事術』(赤羽雄二著)

2017-06-20 | おすすめ本

仕事の生産性と効率を上げたくて読んだ本。
とってもいい内容でした。


第2章、スピードを上げるための8つの原則。
 

【原則①】まずは全体像を描く
【原則②】丁寧にやり過ぎない
【原則③】仕事のツボを押さえる
【原則④】好循環をつくる
【原則⑤】工夫の仕方を工夫する
【原則⑥】前倒しする
【原則⑦】一歩先んじる
【原則⑧】二度手間を全力で避ける


この辺は特に大切。
思考のスピードを上げるためのトレーニングとかメールやコミュニケーションのためのツールを増やすとかミスを防ぐためのちょっとしたアイディアとか色々参考になりました。


SNSが広がってきたことによりより多くの人とつながる機会が増えたため、人によって物事の解釈にバラツキがあり、仕事が早い人遅い人、反応のセンスがいい人から悪い人までさまざま。
そういう中で周りに振り回されずに快適に仕事をするには、自分の仕事はスピーディーに終わらせて余裕を持つにこしたことはないですね。
色々とヒントが得られてますますストレスフリーになれそうです。


人生をますます快適で楽しく。
仕事を速く終わらせてゆっくりした時間が欲しいと思ってるあなたにもオススメです。

速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術
赤羽 雄二
ダイヤモンド社