ヤスくんが図書館から借りてきた本。
一気に読みました。
「あなたは凡人?秀才?それとも天才?」
カバー裏には「公開後瞬く間に30万PVを超えた、大人気ブログ「凡人が、天才を殺すことがある理由。」が物語となって書籍化。」とありました。
「この世界は天才と秀才と凡人でできていて、三者は殺し合うことがある」という作者の理論。
この理論をわかりやすく物語にしたものがこの本です。
この本にはいろんなキャラクターが登場します。
以下【解説】より。
上納アンナ・・・天才。病める天才。
神咲秀一・・・秀才。エリートスーパーマン。
上山・・・秀才。サイレントキラー。
横田・・・凡人。最強の実行者。
青野トオル・・・凡人。共感の神。
ケン・・・天才。すべてを理解する者。
主人公青野トオルの目を通して書かれた物語。
「会社あるある」だなーと思いながら、青野にアドバイスをしていく「ケン」(なんとハチ公)という存在が、この世界の仕組みを語ります。
『夢を叶えるゾウ』に登場するガネーシャとか『嫌われる勇気』に登場する先生のような存在です。
この本の登場人物の9つのキャラクターはこちら。
天才・・・「創造性」に価値を置く人種。しかし「人への共感」「説明力」が弱く、
「多数決の力」で殺されることも多い。
秀才・・・組織やチームに「再現性」をもたらす天才の相棒。
ただし天才への「強烈なコンプレックス」があることも。
凡人・・・人々の気持ちを理解し、サービスや会社への「共感を生む力」が強い人。
ただイノベーションを殺す存在にもなる。
エリートスーパーマン・・・「高い創造性と論理性」を兼ね備えるザ・エリート。
投資銀行などに存在。共感性はゼロに近い。
最強の実行者・・・何をやってもうまく行く「極めて要領の良い」人物。
結果多くの人を巻き込める。最も「モテる」存在。
病める天才・・・一発屋のクリエータータイプ。凡人の気持ちを理解する優しさを持つが、
「再現性」がなくムラが激しい。
サイレントキラー・・・秀才の亜種。「ロジックと効率」を武器に、ひそかに組織を蝕む。とても厄介な存在。
共感の神・・・凡人タイプの究極進化系。「あまりに共感性が高くて、
誰が天才かを見極めること」ができる稀有な存在。
すべてを理解する者・・・創造性、再現性、共感性のすべてを兼ね備えた存在。
とっても面白く読めました。
自分がどのタイプかということは置いておいて、この本に書かれてることは、全ての人の中にある「才能」つまり「天才」が「凡人」によって殺されようとしているこの世界に、そろそろ「NO」と言いませんか?ということだと思いました。
作者の北野さんのあとがきにあった言葉。
「私は誰かが新しいことにチャレンジするときに邪魔をしたり、足を引っ張ったりする人や、物に対して猛烈な怒りを感じます。
世の中には、国籍や、職業、生まれなど、「その人のせいではない理由」だけで、足を引っ張られていることがまだまだ山ほどあります。私は小さい頃から、そういう環境やシチュエーションをみると、憤りを感じていました。その背景にあるのは、「人や自分の可能性を信じたい」という未来への執着だと思います。」(本書 P226より抜粋)
本当にそうだなと思います。
この本の初版が出版されたのは2019年の1月。
そして2020年になって世界は大きく変わりました。
どの業界においても、再現性や効率といった「秀才」の得意分野は大きく打撃を受けました。
今までのルールが全く機能しないコロナ禍という特殊な時代において、今こそイノベーション(新しいアイディア)が求められています。
世界が求めている「天才」はあなたの中にいるのかもしれない。
その「天才」を「凡人」のあなたが殺さないで世に出してあげることが大事かな、と思います。
今みんなが薄々感じていることは「未来はどうなっていくんだろう」ということ。
今は、まるで突然戦中下に巻き込まれたようです。
予定調和で予測可能だった明日が、全く予測できないようになってしまった。
今日ふと「今から10年後も世界中の人がマスクをしている世の中になったとしたら」と考えてゾッとしました。「そんなことはイヤだ。」と思っている人たちが日夜、最前線でワクチンや薬やコロナに負けない最強の健康についての研究を重ねています。
私にできることは何?
私は私に生み出せるアイディア(天才)を殺さずに育てて世に出すこと。
そのために自分自身から出てきた言(ことば)をきちんと発すること、だと思いました。
偉い人が言った、ビジネス書で学んだ、成功者が語った、友人たちの間で流行った、鎧のようにまとった借り物の言葉。そんな言葉ばっかりのSNS。
そんな中で自分自身の心をさらけ出す本心(本当の言(ことば))を発するのは少し怖い。どうしてか?
「本当の言」は無防備で打たれ弱くて、傷ついた過去があって、そうなって欲しいと心から信じたのに思うようにいかなかった経験があるから。
だけど私も、勇気をもって本当の言、本当の音を発する自分でありたい。
この本を読んでそう思いました。
人生はいつ終わるか誰にもわからない。
どんなに傷ついても、本心じゃないと、ヒリヒリするような真実じゃないと生きている意味がないしね。
最後にケンの言葉を転載します。
「おめ、こんなことないか? 夜中に、めちゃくちゃ面白いことを思いついて見て、メモった。明日すぐに発表してみようと思う。ワクワクする。だども、翌朝見直して見たら急に『全然筋が悪そう』に見える。結果、昨日の自分がなんかバカみたいで恥ずかしく思い、メモを削除する。・・(中略)実際、この時のプロセスってのは、頭の中で、天才→秀才→凡人の三者が、順番にポコポコ出てきているんや。君の中にいる『天才』が思いついたアイディアを、社会的な基準やロジックで『良いか悪いか』を判断するのが、秀才や。そして最後に『恥ずかしい』とか『周りからどう思われるか』と感情で判断する。結果、やっぱりやめとこう、と凡人が出てきてしまう」
「んだ。つまりな、たしかに世の中には天才中の天才がいる。彼らと君が同じ土俵で戦ったら勝てるわけない。それは事実や。やけどな、それと『君の中にも少なからず、天才がいる』。これは全く別の話や。そして人は『才能があるか、ないか』だけにフォーカスしようとする。だどもな、才能を活かせないのは、才能があるかないかより前に『ストッパーとなる存在』を取り除くことのほうがはるかに大事なんや。これが『本当の自分になる』ための方法論なんや」
今日から私もまた「本当の自分になる」旅を始めようと思います。