お見舞いをかねて旅行へ出かけていました。
母親が連れ合いを亡くした後しばらく一人暮らしをしていたのだがどうも様子がおかしいのではないかと心配になり、検査の結果アルツハイマー型痴呆が始まっているのではないかとの診断になったようです。
その結果その男性はかなり重要な役職の立場にあったにもかかわらず58歳にしてきっぱり仕事を辞めふるさとへ帰宅、母親と暮らす事の決断をしたようです。
その事だけでも思い切った決断に驚いていたのですが、数日前そのお宅を訪ね超驚く事を目の辺りにしました。
私の頭の中ではまだまだ男性社会の中での生活感覚で、どうかすると家事は女性がする方が良いのではないかと固定観念に捉われておりました。理想的には双方が助け合い家事をこなして行くことが老後の暮らしには必然的な事だと深く感じてはいましたが。
我が家の場合いざ身に差し迫っても、協力体制が取れず老後の計画も実現が出来ないまま、慣れている方がするのが当たり前の様な流れで「まぁいいいいか」と「自分が犠牲になれば・・」なんてしおらしいことを思いながらも本心では強く不満を持ちながら暮らして来ました。
我が家の場合改革の狼煙を上げてストライキほどの実力行使をしなければ実現することは無理です。そこまでしても無理かもしれません、情けないのですが決断も出来ぬままに今に至っております。この状況は今後も続くことでしょう・・・・
家事は出来なくても庭の担当をして貰えていますので良しとしましょう。
話は逸れましたが、母親の介護の為に立ち上がった男性は3年前に決断し、とこトン料理を学び家事をこなすように努力をしてきたのだそうです。
専業主夫を始めて3年ほどが経過しています。お見事!主婦の鏡ともいえるような状態でした。お見舞いをかねて一泊させて頂いたのですが、それはもう驚くばかりの出来事が次々と。
先ずは到着して夕方だったので夕食の支度に入ります。台所で何やらことことと音がしていました。しばらくしてダイニングテーブルには次々にお皿が並びまして3人分のご飯が炊かれたお釜が運ばれて、お味噌汁が鍋敷きの上に置かれました玉ねぎとジャガイモのお味噌汁です。
こちらの女性たちは久しぶりの逢瀬でお話に盛り上がっていて何もお手伝いしないままに・・・さぁ・・どうぞ・・・とテーブルにつきました。
手伝うと余計に神経を使うのではないかと考えました。だから何気なくお任せして手出しはしなかったのです。
お見事!・・・ご飯は電気釜でスイッチ一つで・・では無いのです。始めコトコト中パッパッ・・赤子無くとも・・などと思いだしますねぇ。
お釜で炊いたご飯です。何とキューリのお漬物も塩こぶと茗荷と生姜を刻んで胡瓜を揉みんだものです。わかめの酢の物も素晴らしいのです。何一つ出来あいの調味料を使っていないようでした。肉じゃがも上品な味付けでそれはそれは料亭の味付けのようでした。
何年ぶりでしょう料理の原点に気づかされました。「お上手ですね。」と言いましたら「いいえ調味料はさ・し・す・せ・そ」ですよね。。。。とのこと。。。
何か忘れていた主婦業にハッとさせられました。
食事後懐かしいお話しに華が咲いている時、いつの間にか姿がありません、スゥーと立って。。お風呂を沸かしに行っていたようです。しばらくして、2階へお布団を敷きに行ったようです。何気なく流れるように行動するさまはベテランの主婦そのものです。
驚きました。男性はいざとなったら女性には負けないだけの能力を発揮するのですね。男性を見縊っておりました。台所を覗いてまた驚きました。料理をしながら鍋を片付けていたのです。
一人暮らしをしていたと言っても、役職についていて、食事等は自分ではあまり作った事が無かったとのことです。その気になったら凄いのですっ!
そう言えば・・一流の料理人は男性が多いですよね。
「いざとなると、男性はすごい」というのではなくて、そういう男性もいるということですね。女性もすべての女性が家事が好き、あるいは得意ということでもなさそうですし・・・・風船屋も引退後、修行中の身ですが、まだまだ前途遼遠です。
まあ男性も女性もそれぞれですものね。
前途遼遠と言えば我が家も何時までも改革は出来ないことでしょう!私自身も日に日に衰えを感じていますから、川の流れのように流されていくだけです。
定年退職後のまだ若い時にはそれなりに頑張って下さいませ。京大からプロ野球の選手も出る時代ですから各方面に頑張れる人は何かを持っている人なのですよ!
ボクの友人にも、老母が心配なので、奥さんを自宅に残して実家で二人暮らしをしている男がいます。
彼は奥さんと一緒の生活のときでさえ、留守がちの奥さんを当てにせずに一人で夕食を作って食べていました。
まったく人それぞれだと思います。
ただ男性も一人で何でもできるようにしておかないと、奥さんに先立たれた時、それもかなりの高齢になってからだと、ずいぶんとみじめな暮らしをすることになるだろうと思います。
「だからオレは絶対におまえよりも先に死ぬ」なんて奥さんにエバって言うような男性にはなりたくないものです。
今日も買い物の時に身体の具合が悪そうな奥様を連れてお散歩している姿を目にいたしました。最近多くなりました。
デイサービスを利用するとは言ってもやはり連れ合いが寄り添う事が大切なことですよね。
私もあきらめないでもう一歩でも家事をしてもらえるように頑張ってみます。