徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

福島原発事故 プルトニウム汚染について

2011年03月22日 | 福島原発

福島第一原発3号炉はプルサーマル・MOX燃料にプルトニウムを含んでいる。また問題となっている使用済み核燃料にも%オーダーのプルトニウムが含まれる。プルトニウムは最強の毒物でその汚染拡散が最も懸念される。それに関するデータが今朝、IAEAより出されているのでレポートします。

Fukushima Nuclear Accident Update (21 March 2011, 15:30 UTC)

I have no further information available regarding the measurement of alpha radiation. As I reported yesterday, from the measurements taken within the evacuation zone (20 km), no significant alpha radiation had been detected at that time.

プルトニウムは崩壊するときにアルファ線を出す。アルファ線は中性子2個、陽子2個からなるヘリウム原子核で紙一枚も透過しない、また空気中も数センチしか飛ばない。よって、プルトニウムの飛散を確認するには現地に赴いて、GM計測器で地面を丹念に当たって回るしかない。今回のIAEAの報告は炉心から20kmの場所で顕著なプルトニウムによる汚染は検出されなかった、と解釈できる。

 


海外から見た震災 ファイナンシャル・タイムス抜粋

2011年03月22日 | 文明

ファイナンシャル・タイムスの海外記者が見た今回の地震、原発事故に関する記事の抜粋です。

http://jbpress.ismedia.jp/category/ft

地震と日本人

 

 ...しかし、筆者の頭に一番長く残るだろう2つのイメージは、それよりずっと小さな出来事だ。1つ目は、マグニチュード9.0の地震がその破壊力を解き放った瞬間のスーパーの様子を捉えた映像だ。商品がきれいに積み上げられた棚が揺れ始めた時、店員たちは慌てて逃げ場を求めたりしなかった。その代わり、醤油の瓶や味噌のパックが床に落ちるのを防ごうとしたのだ(概ね努力は無駄に終わった)。 店員たちの勤勉さは、今ほど困難でない時に人が日々目にする、さりげない献身的な行動を思い出させてくれる。

...日本はその国民以外にほとんど天然資源を持たない国だ。日本の奇跡を生み出したのは彼ら日本人であり、また、世界がこの国の経済停滞にうんざりし、幻滅した時でさえ、別の種類の日本の奇跡を守り通してきた人々だ。

... 壊滅的な被害に遭った大船渡港の住民たちが、破壊された家からモノを盗んだ容疑で4人が逮捕されたという噂を聞いてうろたえていること自体、日本人が自らに課している社会秩序の高い基準を示すものだ。「ここはいい町だと思っていたのに」と、ある住民はこぼす。瓦礫の山の中でも、住民たちが礼儀正しいユーモアをもって、隣人や訪問者と接する様子がうかがえる。こんな時になぜ被災者たちが笑うことができるのか尋ねると、釜石市内のある村の漁業組合代表を務めるミウラ・マサトさんは「我々は日本の侍だからだ!」と言って、友人たちの笑いを誘った。「私たちは顔で笑って心で泣くんです」とミウラさんは言う。

原発事故について

...臨時ニュースや各紙1面が伝えるただならぬ光景は、そうした冷静な対応に不利に働く可能性が高い。米国原子力規制委員会(NRC)の元委員、ピーター・ブラッドフォード氏が指摘するように、我々は今まで1度も「テレビで原子力発電所が爆発する映像」を目の当たりにしたことがない。

...東電は原発で起きた爆発について1時間も首相官邸に連絡せず、菅直人首相は東電幹部に対して「一体どうなっているんだ」と、強い口調で情報を要求する羽目になった。連絡の遅れは、東電のエンジニアたちがずっと「中央政府に問題を報告することを避ける」傾向を引きずってきた可能性があることを示唆している。これは、過去20年間の安全性評価報告の改竄が発覚した2002年に同社自身が認めざるを得なかった失態だ。

...(スリーマイル島は)汚染除去を完了するのに12年間の歳月がかかった。米国では30年間にわたって、新たな原子力施設を建設することがほぼ不可能になり、歴代政権も反発を恐れて、警戒する有権者にこの問題を突きつけようとしなかった。

... 素人には狂気と思える状況(世界で最も地震が起きやすい島国に55基もの原子力発電所を設置すること)を後押しした背景には、外国の石油と石炭に依存する日本の弱さに対する意識があった。だが、そこには、日本政府の究極の思い上がりもあった。国民がどう思っていようとも、日本の技術者はこれだけ当てにならない土地に安全な原子力産業を築くことができると確信していたのだ。

...だが、切迫した危機が収まるに従って、世間の関心は、何が問題だったのか、という点に向かうだろう。問題の原発を運営する東京電力に対する疑問が出ている。同社はこれまでにも、隠蔽を図ったり、安全性基準を破ったりしてきた過去がある。

そして

...「歴史的に日本という土地は、非常に長い間、年に数回の台風に襲われてきた。だから、恐らく我々の精神も影響を受けてきた。我々は災害を受け入れ、立ち直る」慶應義塾大学の嘉治佐保子教授(経済学部)も、2011年の地震と津波が転機となる可能性があると考えている。「学生たちに、日本はここからスタートしなければならないと言っている。これがグラウンド・ゼロだ」と嘉治氏。「我々は町全体を再建しなければならない。単に、元の場所で元のまま建てるわけにはいかない」 「今ほど技術に依存しない未来、あるいは違う種類の技術に頼る未来が必要だ。我々は、どうやって発電するかも再考しなければならない。それが明るい面だ。もしかしたら、それが全く新しい産業を生み出すかもしれない」