ricetta della vita

イタリア料理教室「COMODO」主宰 
美味しい話をしましょう

エマ

2008-08-18 | 本と雑誌
ジェイン・オースティンの後期の作品「エマ(上巻)(下巻)」は、ひとことで言えば、200年前のイギリスの『渡る世間』だね!ってつまりは向こう3軒両隣のどたばた、といったら言いすぎか!ま、美しいイギリスの田園風景と上流階級の方たちが織りなす『渡る世間』なので、この上なく上品でしかも滑稽だ。「いったいこの主人公は気は確か?単なる空気の読めないただの面倒くさいヤツじゃないの?」と首をかしげずにはいられない箇所が随所に出てくる。登場人物の紹介ページには、“美人で頭が良くて、村一番の大地主のお嬢様”と書いてあるが…???←正直いって理解できなかった。最初はね。

しかし、前半にハラハラさせておいて最後はしっかりまとめる手法が小気味よい。作者自身がこの主人公をとても愛着を持って育てながら書いていることがよくわかる、非常に計算し尽くされた構成が特徴的だ。読み終えると、エマが本当に“美人で頭が良くて、村一番の大地主のお嬢様”に見えてきた。

2度、3度と読むごとに違った発見があり、より理解も深まる。中でも43章と49章は何度読み返しても引き込まれる。少女マンガのお気に入りの場面を何度もページをめくると同じと思ってもらえればわかりやすいか!


説きふせられて

2008-08-05 | 本と雑誌
オースティンの作品をまた読んでみた。「説きふせられて

この前読んだばかりの「自負と偏見」が名訳で、あっという間に読んでしまったため、こちらの訳を気にしつつ手に取った(アマゾンのレビューを見ても訳に関する注文が多くてね)。読み始めてみると、確かにこの本の訳に慣れるのに時間がかかった。恐らくはだいぶ昔に訳されたのであろうことが容易に想像できるし、特に前半は主人公の出番がかなり少ないため、引き込まれるようには読み進めることができなかった。自分の語彙力も不足しているのも事実だが、海外ものなのに、どう転んでも古き良き日本の姿を思い起こさせるような表現はやはり引っかかるものがある。

とはいえ、決してストーリーが悪いわけではない。むしろ、42才で亡くなったオースティンの最後の作品ということがまず興味深い。非常に落ち着いた主人公(とはいっても28才)が終盤にひとり語る場面は読み応えがある。