日経によると、「中国版GPS網、世界最大 130カ国で米国製抜く」とのこと! 2010年頃から、急激にGPS 人工衛星の数をふやしている。あまりにも急激なため、軍事面で危惧を憂える国々も増えているようだ。
電子機器や自動車などが位置情報を得るために必要な「測位衛星」。中国が開発した衛星の稼働数が2018年に米国製を抜き、世界の3分の2を超す国の上空で最も多いことが明らかになった。中国製に対応したスマートフォンや自動運転用の受信機も急増している。宇宙のインフラ網を広げ、位置データビジネスで主導権を握ろうとする中国の狙いが鮮明になってきた。
測位衛星の代表格は米国の全地球測位システム(GPS)で、EU(欧州連合)、ロシア、インド、日本も打ち上げている。中国は独自開発した「北斗」を2000年に初めて発射した。日欧以外は軍事目的だったが、民間に開放。スマホやカーナビゲーションシステムのほか、航空機や船舶、農機、鉱山機械の監視・制御といった高度利用を実現した。
■一気に18機発射
利用者の位置を把握したゲームや施設案内、安否確認など様々なサービスの基盤でもある。欧州衛星航法システム機関(GSA)の予測では、関連市場は20年に1800億ユーロ(約22兆円)に達し、受信端末は80億台に迫る。測位衛星は国の産業競争力に影響を与える。
日本経済新聞は米受信機大手トリンブルが持つ衛星軌道のデータを集計し、どの国の衛星が優位にあるかを探った。鮮明になったのは北斗の急伸ぶりだ。18年に一気に18基を発射し、19年6月末の稼働数は35基とGPSの31基を抜いた。EUの衛星は22基、ロシア製は24基。地域専用の日本製「準天頂」は4基、インド製は6基にとどまる。
国連加盟国にバチカンとパレスチナを加えた195カ国の首都上空の状況(6月28日時点)を個別に見ると、全体の3分の2にあたる130カ国で、1日の最大観測数がGPSを上回った。中国本土はおおむね20基以上を観測できた。
■パキスタンでは軍が採用
中国は自ら主導する広域経済圏「一帯一路」を北斗利用を促す強力な舞台にしている。一帯一路に参加する137カ国中、東南アジアやアフリカを中心に100カ国で北斗の観測数が最大だったこともわかった。
パキスタンは軍の測位システムに取り入れ、チュニジアでは4月、首都で無人トラクターのデモ走行を実施した。すでに中東やアフリカを含む30カ国以上が北斗を実際に活用。これらの国で北斗が標準になれば、中国は幅広い分野で次世代技術を売り込める。

日米欧にもじわりと広がる。ニューヨークやロンドンの北斗の観測数は10基前後とアジアより少ないが、GPSやEU機に匹敵する時間帯もある。日本の上空には準天頂4基が飛び、10基程度のGPSと組み合わせて運用することが多いが今では北斗だけで最大20基以上が観測できる。
米連邦議会の米中経済安全保障調査委員会の報告書によると、中国が衛星測位システムの整備に投じる資金は1994年から20年までの累計で最大106億ドルに達する見込み。今後も北斗を10基前後を打ち上げる。観測できる衛星数が多いほど測位精度を高めやすく、東京海洋大の久保信明教授は「数年後には北斗の精度が先進国に追いつく」とみる。
■北斗対応の製品広がる
見逃せないのはビジネスへの波及効果だ。中国製のスマホやカーナビは北斗対応が標準機能となったが、海外企業も追随している。北斗に対応した製品・サービスは中国にとどまらず、多くの国で利用できるようになったからだ。
米クアルコムは北斗を受信できるスマホ向け半導体をいち早く供給。米アップルを除く主要企業が最新機種で搭載している。スイスのSTマイクロエレクトロニクスは15年に車載用半導体で北斗を採用した。同社日本法人オートモーティブ・デジタル製品部の本橋裕司部長は「単一の半導体システムで世界の測位衛星に対応することが求められている」と話し、世界で拡販するには北斗対応が欠かせないとの認識を示す。
中国ハイテク企業も北斗の活用で技術を底上げしている。レノボグループの常程副社長は5月、新型スマホ「Z6」が誤差1メートルを実現したと明らかにした。北斗から複数の周波数の信号を受信する半導体を搭載し、3~5メートルとされる誤差を大幅に縮めた。

衛星測位システム「北斗」の展示用模型=ロイター
アリババ集団などが出資する位置情報サービスの千尋位置網絡は北斗の信号と2千以上の地上局のデータを併用し、自動運転向けにセンチメートル級の測位サービスを開発中だ。米国がGPSをテコにサービス開発の主導権を握ったように、今後は新たな衛星利用技術が中国で誕生し、世界に広がる流れが勢いづく。
■米国で安全保障上の懸念の声
北斗の台頭に対し、米国では安全保障面の脅威を懸念する声も出ている。測位衛星はミサイル誘導や軍隊の展開把握のために開発された経緯があるだけに、主導権を奪われることへの危機感は強い。
しかもGPSなどは地上に信号を送るのみで、受信した端末の位置情報は特定できないが、北斗はメッセージを送受信できる機能を持つ。米ヘリテージ財団のシニアリサーチフェロー、ディーン・チェン氏は「カーナビで北斗を用いる場合、理論的には(信号の受信者側から)位置情報を送信できる」と指摘する。特定の地域に限定して信号を狂わせることも可能という。米政府はこうした機能を通じて、サイバー攻撃などに悪用されることを警戒する。
私は今中国にいるのですが、中国ではGPSの電波を利用した位置特定機器が安価で売っています。確かに、「北斗の電波を利用した」という広告宣伝を見かけるようになりましたが、こういうことだったのですね。日本でも、そもそもアメリカのGPSを利用していたということは、日本でにおいても、中国のこの位置特定の機器を持って行っても使えるということなのでしょうか?