イスラエル国会で表題の新法が7月19日に成立したとBBCが報じているが、賛成62対反対55で、人口880万人のうち、アラブ系は20%であることを考えると、ユダヤ人の大多数の賛成ではないことが分かる。中東の新たな火種になりはしないかと危惧する。
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イスラエルの国会(クネセト)は19日、同国における民族自決権はユダヤ人のみにあるとする法案を62対55の賛成多数で可決した。
今回可決された「ユダヤ人国家」法は、アラビア語を公用語から外したほか、ユダヤ人の入植地開発を国益と位置付けた。また、「不可分で統一された」エルサレムがイスラエルの首都だとしている。
アラブ系の国会議員たちは法案を強く批判したが、法案を支持する右派政権のベンヤミン・ネタニヤフ首相は、法案の可決を「決定的な瞬間」と称賛した。
法案には、「イスラエルはユダヤ人にとって歴史的な母国であり、民族自決権はユダヤ人の独占的権利」だと書かれている。
クネセトでは激しい議論が戦わされ、審議は8時間以上続いた。
しかし、ルーベン・リブリン大統領などの反対を受けて一部の条項が削除された。これにはユダヤ人だけの共同社会の建設に触れた条項が含まれる。
イスラエルの総人口約900万人のうち、およそ20%がアラブ系で、法律上は平等な権利が保証されているが、二流市民のような扱いを受けているとの訴えが長らく出ている。差別に遭い、教育や医療、住宅面で不利な状況に置かれているとの不満もある。
アラブ系議員の一人、アハメド・ティビ氏は、法案の可決は「民主主義の死」を意味すると語った。
アラブ系住民の権利を擁護するNGO「アダラ」は、法案が「人種差別的な政策を推し進めることによる、民族的な優位性」を強めようとする試みだと指摘した。
ネタニヤフ首相は先週、法案を擁護する発言で、「イスラエルの民主主義において公民権は保証され続けるが、多数派にも権利があり、多数派には決定権がある」と述べていた。
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