- 日本経済新聞によると、MaaS急拡大するも、、動けぬ日本 北欧など規制緩和で先行という。 日本では、国土交通省は19のモデル事業を選び、各地でMaaSの実証実験が動き出した。ただ企業や地方自治体の前には、事業化のスピードに影響しかねない細かな規制が立ちはだかり、思うような進展が出来ないと言う。安部政権、失われた20年を回復できるような科学技術政策何もできなかった。優秀の美を飾るためにも最後の奉仕をしてほしいものだ!
ライドシェア、鉄道など複数の乗り物の予約や決済をアプリで済ませ、使いたいときに使う。次世代の移動サービス「MaaS」が世界で急拡大している。シンガポールやフィンランドなど先行する国は企業が動きやすいようにルールを柔軟に変え、データの活用を都市計画に組み込む。日本でも各地で実証実験が広がるが制度の壁はなお高い。
シンガポールのスタートアップ、モビリティXは今春、複数の交通手段を1つのアプリで利用できるサービスを始めた。鉄道、バス、ライドシェアの運営企業などと連携し、あらゆる交通手段からルートと料金を即座に提示する。
中心部のホテルから動物園に行く場合、アプリが示す経路は5つ。バスなら約1時間、料金は1.8シンガポールドル(約138円)。ライドシェアは20シンガポールドル、約30分で着く。ルートを選べば専用のカードで決済できる。基本はスマートフォン1つで移動できる。
モビリティXはシンガポールの公共交通大手SMRTが昨年設立した。同社に出資する豊田通商は新サービスをすぐ打ち出せる背景に「政府のリーダーシップと柔軟さ」があるとみる。
シンガポールのリー・シェンロン首相は2014年から、デジタル技術を活用した「スマートネーション」構想を掲げる。政府がバスやタクシーがどこを走り、渋滞はどの程度かといったリアルタイムの交通データを集め、MaaSに参入する企業が利用しやすい仕組みを作ろうとしている。モビリティXのコリン・リム最高経営責任者は「統合されたデータはサービスに欠かせない」と話す。
国が交通改革を主導する姿は北欧のMaaS先進国フィンランドにも共通する。首都ヘルシンキで会社を経営する男性(37)は「1つで全部乗れて便利」と公共交通やシェア自転車などが使えるアプリ「Whim(ウィム)」を愛用する。定額制で近郊の交通が乗り放題となるサービスだ。
先進的な企業が集積し次世代サービスが根付く土壌をつくったのは国だ。所管する交通通信省は通信と交通インフラを一体で担う。
ルールも変えた。18年施行の交通法は鉄道、タクシーなど乗り物別に分かれていた法律を1つにして、交通サービス全体を管轄できるようにした。
政府の方針は明解だ。規制を緩め、データを開放する。ライドシェアが参入しやすくする一方、企業には時刻表、料金といったデータの開放を求めた。データを元に不動産、IT(情報技術)など「異業種が連携し、新サービスが広がれば相乗効果は高まる」(日本総研の井上岳一氏)。
一方、日本では手探りが続く。国土交通省は19のモデル事業を選び、各地でMaaSの実証実験が動き出した。ただ企業や地方自治体の前には、事業化のスピードに影響しかねない細かな規制が立ちはだかる。
東京急行電鉄は12月、静岡県でバス会社などと組み、定額制サービスの実験を広げる。運賃は各社が協議して配分額を決め、それぞれの認可手続きに沿って申請する。「一括申請できるといいんだが……」と担当者は漏らす。
5月、条件付きで自動運転車の公道走行を認める改正道路交通法が成立した。ただ自動運転の特性を生かした車が走るには制約がある。例えばトヨタ自動車、ソフトバンクなどが出資するモネ・テクノロジーズ(東京・港)は自動運転で移動するオフィスや診療所の構想を練る。現行の安全基準を守ろうとすると車の内装の設計が難しくなる。
戸嶋浩二弁護士は国内の交通規制が「既存の事業者を前提に決められており、想定外の新サービスに対応しづらい」と話す。スタートアップが参入しにくい状況が続けば「地元の事業者と組んで新サービスを開発したり利用者を広げたりする機会も失われる」。世界で拡大するライドシェアも日本では禁じられている。
消費者が使いやすいサービスかどうかは利用できるデータの量と質が決め手となる。フィンランドなどが政府主導でデータを統合しているのに対し日本は企業ごとに分断されたままだ。
交通インフラを国や自治体が保有し運営を企業に委託する欧州と、鉄道を運営する企業がインフラも保有する日本とでは事情が異なる面もある。ただ日本でも政府が司令塔となりMaaSを浸透させれば、高齢化と過疎が進む地方で住民の移動が難しくなるといった課題の解も見えるはずだ。データを軸とした柔軟な政策が交通の未来を開く。
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