四季の変化に富んだ日本の模様は、植物の文様が多いのですが、秋の模様として「きもの」や「帯」に染められて和服美を彩ります。
今朝も、舞い散った落ち葉を掃き清めましたが、散り落ちた紅葉や、木の葉はそのまま彩り豊かな小紋柄になります。
「吹寄せ文」は、そのような木の葉の風に吹寄せられた様子が、秋の模様として昔から親しまれています。紅葉葉や、松葉、松かさ、柿の葉、銀杏など折混ぜ散らした模様です。
吹寄せは風情ある言葉として、和菓子や、日本料理にも、その名のものが有ります。
「銀杏文」は、吹寄せ文の中の銀杏の葉だけを散らして構成された模様です。銀杏の葉の形の面白さから好まれています。
そのほか、「紅葉文」や、「竜田川文」がありますが、この時期の模様として紅葉が主体の模様で、きものや帯の柄として古くから用いられてきました。
紅葉、楓は流水や、波、菊の枝折りをそえて「紅葉文」とされています。
一方、「竜田川文」は同じく流水に紅葉を散らした模様ですが、奈良県生駒郡を流れる竜田川は、紅葉の名所として愛でられ、その風情ゆえ古来多くの文学や、詩歌で著名で、模様も、流水に紅葉とくれば、「竜田川文」と決まりものとして定着しています。
秋には、秋の模様のきものを装うことは、大変お洒落ですよね。
楓や、秋の模様に、桜や梅をあしらって、春にも着られるようにした柄のきものは「春秋模様」といって、期間限定のお洒落から救ってくれますよ。
最近は、クリスマスだけに締めるトナカイのそりや、サンタさん、ツリーなどの模様の染め帯がでています。季節限定の贅沢なお洒落を楽しむことが出来ます。
旬のきもの帯は、旬の模様で、そして色も秋らしいものを洋装にも採り入れて楽しみましょう。