ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「オラクル・ナイト」

2010-12-06 12:41:27 | 読みモノ
こんにちは。「フリーセル57勝3敗で95%の勝率」だけが自慢のぽてちです。
そのかわり「ハーツ」は散々で、「なんでいーっつもスペードのQ,K,Aが来るんだ!」
と毎回憤慨してもおります。

それはともかく、「オラクル・ナイト」(ポール・オースター)を読んだ。

柴田元幸の翻訳はうまいなぁ。本国アメリカで話題にならない作品も、
翻訳がいいせいで日本では好評らしいです。

とにかくいろいろな物語やエピソードが登場し、それでこの作品ができている、
といってもいい。主人公が闘病生活後に書き始める小説、その小説の中で
読む小説、という入れ子構造になっているのをはじめ、ちょっと不気味な
中国人の文房具店主の怪しげな文化大革命時の話、SF映画の脚本等々。

一番興味深いのは、元タクシー運転手が地下倉庫に世界中の電話帳を蒐集し、
「歴史保存局」と名付けている話。わかるようでわからない話でした。

多分作者はストーリーが泉のようにわき出てくる人なんでしょうね。
(スティーブン・キングを思い出した。)そのどれもがおもしろいので、
スイスイ読んでいるうちに、衝撃的な結末でスパッと終わってしまうのです。

お見事でした。読後に、いろんな話を思い返して余韻にひたることのできる
いい作品だと思います。

それでは最後にアマゾンの紹介文を載せておきますね。

「重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンを
歩き始める。不思議な文房具店を見つけ、そこで買ったブルーのノートに
新しい物語を書きだすと…。美しく謎めいた妻グレース、ダシール・ハメットの
エピソード、ガーゴイルのように動き出す物語の渦。ニューヨークの闇の中で
輝くものを描き出す、感動の長編。」