国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

TPPの本質

2011年02月07日 | 米国
ブログ「地政学を英国で学ぶ」のコメント欄が興味深い。米国の推進するTPPを、太平洋ブロック国家と指摘している。EUというブロックの登場に続き、米国も自国の主導するブロックの結成を目指し始めたということなのだろう。私は日本は東アジアブロックを主催し主導すべきだと考えているが、アメリカを敵に回すべきではないので、一時的にTPPに加盟するのは悪くない選択枝だと考えている。2008年のリーマンショックをきっかけに全世界は事実上大恐慌時代に突入しており、ブロック経済化は避けられないのかもしれない。日本経済新聞が日本の医療の生産性の低さを指摘している。日本の医療の生産性が低いのは、医療費が安いことが原因であり、それは国民福祉から見て好ましいことである。医療費の大部分は老人が消費していること、老人は貧富の格差が大きいことを考えれば、安価で高レベルの医療が供給される日本の現在のシステムをある程度維持していくことが必要不可欠だろう。それにもかかわらず日経が日本の医療の生産性の低さを批判するのは、恐らくTPPで米国から日本に対し医療分野での要求があったためと考えられる。同様に米国が強みを持つ金融や法曹などの分野でも要求があるのだろう。医療・金融・法曹や農業を含め、日本にとって重要な産業やシステムを米国からの理不尽な要求から守りつつ、日本の国益を実現していくことが求められている。野党である自民党がTPPへの意見決定を先延ばしにしているのも注目される。「国論を2分するような課題で方向性を示すのは得策ではない」とあるが、国論を二分するような重要な課題で方向性を示せない政党に存在価値があるとは思えないのだ。恐らく、TPPについて真剣に議論すれば反対派が勝利してしまうので、議論を避けるべきだという判断を日本支配階層が行ったためだと思われる。現在の世界は、米国一極体制から多極体制への移行期という不安定な時期にある。米国のどの様な勢力がどの様な意図でTPPを推進しているのかを見極めることが必要だ。そして、その勢力の今後の推移を予測した上で日本は戦略を組んでいくべきだろう。もちろんその最終目標は、米国からの独立と東アジアブロックの支配権確立である。 . . . 本文を読む
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